絵本で会える楽しいともだち
毎日会えるお友だちじゃなくても、すぐに一緒に遊べてしまうのが子どもたちの不思議なところ。大人の時間枠で生活しなくてはならない子どもたちは友だちと楽しく遊んでいても、お迎えが来たら、塾やお稽古の時間だからと急にバイバイさせられてしまいます。
時間の使い方を練習させるためでもありますが、去り際の寂しそうな表情をみると少し可哀そうな気もします。
そこで、絵本で会うことができるお友だちをつくってあげてください。ページを開けばいつでも大好きなお友だちと会えたらどんなに嬉しいことでしょう。
夏休みなどの長期休暇や、おうちに帰っても今すぐお友だちと会いたいと寂しがっているときに読んであげてくださいね。
だくちる だくちる
阪田 寛夫 (著) (福音館書店)
人間が生まれるずっと前に、ひとりぼっちのイグアノドンが暮らしていました。どかーんという火山の音以外は聞いたことがありません。
寂しさに胸がいっぱいになったとき、耳のそばで聞こえた「だくちる だくちる」という小さなプテロダクチルスの声。初めて聞いた友だちの声、一緒にいられる喜びが繰り返しのリズムで表現されています。
長新太さんのダイナミックな色使いが見開きのページに溢れんばかりに咲き乱れ、強烈なインパクトを残してくれます。
シニガミさん
宮西 達也 (著) (えほんの杜)
お腹がすいたオオカミが見つけたのは森で病気で倒れているコブタ!オオカミはコブタの病気を治してから食べようと企んで家に連れて帰り看病をしますが…。
どんな姿にもなれるシニガミさんが二匹の姿を見ながら「何をしてもムダだ」と言いますが、固い友情で結ばれた二匹は死の恐怖を乗り越えていきます。
タイトルや表紙から怖いお話を連想してしまいますが、心がとても温かくなるお話で、命の尊さ、友情の大切さ、支えあうことの清らかさを学べる絵本です。
ふたりはいっしょ
アーノルド・ローベル (著) (文化出版局)
純粋にお互いを思いやるがまくんとかえるくんの物語のシリーズ2作目。
予定表が風で飛ばされてしまい、行動できなくなったふたりを描いた「よていひょう」、国語の教科書にも掲載された「はやくめをだせ」、くすっと笑える「クッキー」の他、「こわくないやい」「がまくんのゆめ」の5篇が収録されています。
素朴な世界観で、毎日ふたりでいっしょにいることが幸せ。相手を思いやることの大切さを教えてくれるピュアな絵本です。
子ども時代の友情はとても大切なもの。お互いが未完成だからこそ、正直にぶつかりあえます。たまには喧嘩したりもするけれど、やっぱり一緒にいたいなと思える友情が育ち、大人になっても支えあう関係を作り上げてほしいものです。