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感情移入してしまう、ほほえましい泥棒のお話

いうまでもなく泥棒は犯罪です。私達が暮らす、ここ日本以外でも法律で定められていなくても人のものを盗むというのは道義的にも許されることではないでしょう。
でも今回、紹介する本に登場する泥棒たちは、許してもいいかなという理由付けが存在するのです。

 

『チンパンジーとさかなどろぼうタンザニアのおはなし』

チンパンジーとさかなどろぼう―タンザニアのおはなし (大型絵本)

著・ジョン・キラカ
チンパンジーのソクべは、さかなをとる漁師です。きょうは大漁。ソクベは、ともだちのイヌに1匹わけてあげました。つぎの日、ソクべは市場にさかなを売りにいきました。
シマウマ、カバ、ブタ、ヒョウ.........他の動物も、いろいろなものを売りに、いっしょにいきます。でも、イヌは売るものもないのについていって、魚を食べるすきをねらっています。
タンザニアの民族衣装がいろあざやかで、とてもきれいな絵本です。
何度注意されても、イヌは魚を盗む。村いちばんの年寄りのゾウが裁判官になって、何日も裁判が続く。いいわたされた刑は「木をうえよう大会」で2倍の数の木を植えるというおおらかなものだったというほのぼのとしたお話です。

 

『大どろぼうホッツェンプロッツ』

大どろぼうホッツェンプロッツ (偕成社文庫 (2007))

著・オトフリート・プロイスラー
ホッツェンプロッツは、大どろぼうです。もじゃもじゃの黒ひげで、ピストルをもって、こしには7本の短刀をさしています。この大どろぼうが、カスパールのおばあさんのコーヒー挽きをとったのです。カスパールは友だちのゼッペルといっしょに。
大どろぼうのかくれ家をさがします。カスパールの見事な作戦で、かくれ家はみつかりそうだったのですが......。
ところで、おまわりさんの名がディンペルモーザー、大まほうつかいの名前がペトロジリウス・ツワッケルマン。むずかしいけれど、音読してみるとリズム感が味わえて楽しいですよ。

 

『怪盗紳士ルパン』

怪盗紳士ルパン (偕成社文庫―アルセーヌ・ルパン・シリーズ)

著・モーリス・ルブラン
アルセーヌ=ルパン。それは、なぞの怪盗紳士!無礼な権力者には容赦なく、女性には礼儀正しく、楽天的で、優雅なスタイル。
運転手からテノール歌手、競馬の予想屋、老人、青年、ほらふきのセールスマン......ありとあらゆるものに変身できる男、それが怪盗ルパン。
このルパンをとらえようと、しつこくおいかけるのは、ガニマール警部。一旦は囚われの身となったルパンですが、はたして、脱獄できるのでしょうか?
1905年に雑誌に掲載されたルパンシリーズの第1作「ルパン逮捕される」をふくむ、短編9作を収録しています。

 

日本にも昔から勧善懲悪ものの物語が人々を魅了してきました。ねずみ小僧に代表されるように法で裁けないものを懲らしめるヒーローものですね。
そんな存在を、人々はこころのどこかで待ちわびているのかもしれませんね。

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