小学校時代を思い起こしてみると、そこには自分の無力さや、無知から思い知らされる絶望があったような気がします。
そんな中でも自分なりに誰もが一生懸命過ごしていたのではないでしょうか。
そんなほろ苦いような思い出を振り返ってみたくなる3冊を紹介します。
『ネコの目からのぞいたら』
著・シルヴァーナ・ガンドルフィ
ダンテは、家庭教師のドレンテ先生から生まれたての子ネコをもらうことになりました。黒い体に手足の先だけブーツをはいたように白い子ネコです。先生は、密かに研究している薬を、子ネコの目に指しました。
もし、子ネコが最初にダンテの瞳の奥をじっと見ることになったら、ダンテは、ネコの目をとおして物が見られる、つまり、ダンテが目を閉じれば、子ネコの見ているものを見られるというのです。
そして、その通りになりました。
イタリアの普通の小学生ダンテの日常と、子ネコの目をとおして進行する誘拐事件とが交互に語られ、ハラハラしながら読むうちに、意外な結末が訪れます。個性的でしゃれた作品なので中学生にオススメです。
『ゆうかんなアイリーン』
著・ウィリアム・スタイグ
アイリーンのおかあさんが、おやしきの奥様に頼まれたドレスができあがりました。こんやのパーティに間に合うように、届けなくてはなりません。でも、おかあさんは、風邪をひいたようです。
「わたしがとどけてあげる」アイリーンは、大きな箱にドレスをつめて、さあ出発。雪が降っています。風が強く吹いて、アイリーンはうしろむきになって、すすみました。風は、ますますつよくなり、箱に絡みつき、殴りかかり、奪い取ろうとします。
おかあさんからひきうけた仕事をやりとげようとする、勇敢なアイリーン。だれもが応援したくなるお話です。冬の日の読み聞かせにも向いていますね。
『かいじゅうになった女の子』
著・末吉曉子
みちこは、テレビの「まほうのマリちゃん」がおまじないを唱えたときに、怪獣になりたいと叫びました。すると、その通りになってしまいました。
全身に硬い鱗がはえて、太いしっぽがついています。大きな口には、牙もあります。外に出ると、ガキ大将のタイタくんが、自転車でやってきました。みちこは、前に飛び出すと、ガオーッと口をあけました。
タイタくんは、夢中で逃げていってしまいました。みちこは、尻尾で地面をたたいて、おおわらい。
1975年に出版され、長く子どもに愛読されている本で、内容は小学校中学年におすすめです。
読み聞かせにも、もちろんオススメですが、おとなになってから小学生に戻りたいという願望が湧いたときにもおすすめの本ですよ。