ほんのむし

本と知をつなぐ、静かな読書メディア。

【民話・昔話絵本おすすめ】日本と世界の名作を親子で読む

民話・昔話の絵本を選ぶなら、まずは声に出したときのリズム、くり返しの楽しさ、絵の力が残るものから入るといい。日本と世界の名作を並べて読むと、国や時代が違っても、人が怖がったもの、笑ったもの、願ったものが少しずつ見えてくる。

読む目的別の入り口

民話・昔話絵本を読むときに大切にしたいこと

民話や昔話は、ただ古い話を子どもに伝えるためだけのものではない。何度も語られ、少しずつ形を変えながら残ってきた物語には、声に出したときの強さがある。くり返しの言葉、怖いものが近づいてくる気配、最後にふっと息が抜ける感じ。そういうものは、説明よりも先に体で伝わる。

大人はつい「この話の教訓は何か」と考えたくなる。けれど、民話絵本を読むときは、まず教えようとしすぎないほうがいい。子どもは、やぎの足音や、動物たちが次々に入ってくるてぶくろや、抜けそうで抜けないかぶの重さを先に受け取る。そこに笑い、怖さ、安心がある。意味は後からゆっくり追いついてくる。

今回選んだのは、日本と世界の民話・昔話を親子で読みやすい流れに並べた七冊だ。低年齢でも参加しやすい本、少し怖さを含む本、日本の昔話らしい情が残る本、そして昔話の型を現代的にひっくり返す本まで入れている。どれも同じ「昔話」ではなく、読む時間の空気が違う。

朝の明るい時間に読むと楽しい本もあれば、冬の夕方、部屋の明かりが少し濃くなったころに読むとしみる本もある。親子で声を合わせたい日、静かに聞いてほしい日、少し笑って終わりたい日。民話絵本は、子どもの年齢だけでなく、その日の家の温度に合わせて選ぶとよくなじむ。

世界の民話から読む

1.三びきのやぎのがらがらどん(福音館書店)

『三びきのやぎのがらがらどん』は、世界の民話絵本の入口として置きたい一冊だ。北欧の民話をもとにした物語で、小さいやぎ、中くらいのやぎ、大きいやぎが、山の草を食べに橋を渡ろうとする。橋の下には、恐ろしいトロルがいる。筋だけを言えばとても単純だが、この単純さが強い。

この絵本の魅力は、ページをめくるたびに緊張が少しずつ大きくなるところにある。最初に橋を渡るのは小さいやぎだ。足音は軽い。次は中くらいのやぎ。音が少し大きくなる。そして最後に、大きいやぎがやってくる。読み聞かせをしていると、声の大きさや間の取り方だけで、子どもの体が前に乗り出してくるのがわかる。

怖いものが出てくる絵本を避けたい時期もある。けれど、この本の怖さは、子どもを置き去りにする怖さではない。トロルは確かに恐ろしいが、物語の形がしっかりしている。三回のくり返しがあり、最後には大きいやぎが向き合う。怖さがただ残るのではなく、越えていく感覚が残る。

民話らしさを子どもに味わってほしいなら、この「怖いけれど先が知りたい」という感覚は大切だ。昔話は、いつもやさしいだけではない。橋の下には何かがいるし、知らない場所へ進むには足音を立てなければならない。子どもはその緊張を、絵と声の中で安全に体験する。

読み聞かせでは、やぎの大きさごとに声を変えすぎなくてもいい。むしろ、橋の音を少しずつ重くするだけで十分だ。小さく「かたこと」、次に少し太く、最後に床を踏むように読む。部屋の空気が一瞬静かになる。その静けさが、この本の読書体験をつくる。

初めて読む子には少し怖いかもしれない。だから、寝る直前よりも、昼間や夕方の元気が残っている時間に読むほうが合うこともある。怖がりやすい子には、大人がそばにいて、物語のリズムを楽しめるように読むといい。怖さそのものより、「次はどうなるのか」を共有する本だ。

世界の民話を一冊目からきれいごとにしない。その意味で、この本は入口として頼もしい。橋を渡る、声が響く、何かが待っている。読後、子どもはただ「勝った」というより、怖いものに出会う物語の型を一つ覚える。それは、これから多くの昔話を読むための足場になる。

2.てぶくろ(福音館書店)

『てぶくろ』は、ウクライナ民話として親しまれてきた絵本だ。おじいさんが雪の道に落とした片方のてぶくろに、ねずみが入り、かえるが入り、うさぎが入り、きつね、オオカミ、いのしし、くままでやってくる。そんなに入るはずがない。けれど絵本の中では、入ってしまう。

この本は、民話のくり返しの楽しさをとてもよく伝えてくれる。新しい動物が来るたびに、すでに中にいる動物たちが応じる。名前も楽しい。言葉が積み重なり、てぶくろの中のにぎやかさが増していく。子どもは次に誰が来るのかを待つようになるし、慣れてくると一緒に言いたくなる。

雪の白さの中に、てぶくろだけが小さな家のように見える。その感覚がいい。外は寒い。けれど中には動物たちの体温がある。ぎゅうぎゅうで、少し無理があって、でもどこか楽しそうだ。寒い日に読むと、ページの中から息の白さや毛皮のあたたかさが立ってくる。

『三びきのやぎのがらがらどん』が橋を渡る緊張の本なら、『てぶくろ』は集まってくる楽しさの本だ。どちらもくり返しでできているが、向いている感情が違う。こちらは怖さより、受け入れるリズムが中心にある。小さな場所に世界が増えていく感覚がある。

低年齢の子どもにも読みやすいが、ただかわいい絵本として読むだけでは少しもったいない。動物たちはそれぞれ違う大きさをしている。最後には、どう考えても入らないほど大きな動物までやってくる。現実ならありえないことを、物語のリズムが受け入れさせる。民話の面白さは、ここにある。

「仲良くしましょう」と言わなくても、読み終えるころには、狭い場所で一緒にいるおかしさとあたたかさが残る。兄弟姉妹で布団にもぐり込んでいる夜、保育園や幼稚園で友だちと距離が近かった日、誰かと一緒にいることが少し窮屈で少し楽しい日に読むと、子どもの感覚にすっと重なる。

声に出すときは、動物の名前を急ぎすぎないほうがいい。ひとつずつ中に入っていくたびに、てぶくろが少し膨らむように読む。子どもが先に動物を言い当てるようになったら、この本はもう家の中の遊びになっている。読み聞かせの絵本として、何度も戻れる力がある。

3.おおきなかぶ(福音館書店)

『おおきなかぶ』は、低年齢の子どもに民話を手渡すときの、もっとも入りやすい一冊のひとつだ。ロシア民話をもとにした絵本で、おじいさんが植えたかぶが大きく大きく育ち、抜こうとしてもなかなか抜けない。おじいさんがおばあさんを呼び、おばあさんが孫を呼び、犬、猫、ねずみまで加わっていく。

この本を特別にしているのは、物語のほとんどが「引っぱる」というひとつの動作でできているところだ。複雑な設定はいらない。子どもは、かぶが抜けるか抜けないかを体で理解できる。だから、まだ長い物語を追うのが難しい年齢でも参加できる。

「うんとこしょ、どっこいしょ」という言葉は、読んでいる大人の口にも残る。声に出すと、自然に体が前後に揺れる。子どもが横で真似をする。絵本を読むというより、部屋の中で一緒にかぶを引っぱっているような時間になる。民話のくり返しが、ここでは遊びになる。

大人の目で見ると、ねずみ一匹が加わったことでかぶが抜ける展開に、協力の教訓を読みたくなるかもしれない。もちろん、その読み方もできる。けれど最初は、そこまで言葉にしなくていい。小さな力が最後に加わる。その瞬間のうれしさを、子どもはちゃんと感じる。

この絵本は、初めての読み聞かせに近い時期にも合う。長い説明を聞くより、くり返しの音に反応する時期。大人の声に合わせて笑ったり、次の言葉を待ったりする時期に強い。読書というより、声と体の遊びから物語へ入っていく本だ。

また、何度も読んでいるうちに、子どもは順番を覚えていく。次に来るのは誰か。誰が誰を呼ぶのか。抜けるのはいつか。わかっているのに楽しい。わかっているから楽しい。この感覚は、昔話や民話を読むうえで大きな土台になる。

疲れている日の夜にも読みやすい。複雑な感情を追わなくていいし、最後にはすっきり終わる。親子で声を合わせたい日、子どもが絵本に集中しにくい日、短い時間で読書の楽しさを戻したい日に向いている。民話絵本の一冊目として、今も強い理由がよくわかる。

6.王さまと九人のきょうだい(岩波書店)

『王さまと九人のきょうだい』は、中国の民話をもとにした、勢いのある絵本だ。年老いた夫婦のもとに生まれた九人の兄弟は、それぞれ不思議な力を持っている。物語は、横暴な王さまに対して、兄弟たちがその力を使いながら立ち向かっていく形で進む。

この本は、低年齢向けの単純なくり返しから少し進んだところに置きたい。『おおきなかぶ』のように一つの動作で進む本ではなく、兄弟それぞれの力が次々に現れる。子どもは「次はどんな力が出るのか」と待つ。昔話の面白さが、知恵と痛快さの方向へ広がる。

王さまは強い。命令できる側にいる。けれど、物語の中では、その強さが少しずつ崩れていく。九人の兄弟は、ひとりだけが英雄になるのではない。それぞれ違う力を持ち、違う場面で効いてくる。この「ひとりではなく、ばらばらの力が集まる」感覚が面白い。

民話には、弱い立場の人が知恵や不思議な力で権力をかわしていく話が多い。『王さまと九人のきょうだい』にも、その痛快さがある。子どもは難しい社会の話としてではなく、「王さまが困っていく」面白さとして受け取る。大人が読むと、そこに民話が長く語られてきた理由も見えてくる。

この本は、少し長めの物語を楽しめるようになってから読むとよく響く。三歳前後でくり返しを楽しむ時期より、登場人物の違いや展開を追える時期のほうが、兄弟それぞれの力を味わいやすい。年長から小学校低学年くらいの子が、物語の痛快さに乗りやすい本だ。

読み聞かせでは、九人の力を説明しすぎないほうがいい。登場するたびに「そうきたか」と感じる余白を残す。子どもが途中で笑ったり、驚いたり、王さまの反応を待ったりする。その反応が、この本の呼吸になる。

日本昔話やヨーロッパの民話とは違う味わいを入れたいときにもいい。絵の雰囲気、人物の動き、物語の大きさが少し違う。世界の民話を読むということは、同じ型をなぞるだけではなく、別の土地の笑い方や、強いものへの向き合い方に触れることでもある。その広がりを、子どもにもわかる形で渡してくれる一冊だ。

 

日本の昔話を読む

4.ももたろう(福音館書店)

日本の昔話を読むなら、『ももたろう』はやはり避けて通れない。桃から生まれた子どもが成長し、きびだんごを持って鬼退治へ向かう。あまりにも有名な話だからこそ、どの絵本で読むかによって印象が変わる。福音館書店の『ももたろう』は、言葉の力と絵の骨太さがよく残る一冊だ。

この本では、桃が流れてくる場面から言葉がよく動く。川の水、桃の重さ、おばあさんの驚き。昔話は筋を知っていると流して読んでしまいがちだが、声に出すと、言葉の一つひとつに力があることがわかる。子どもは「桃太郎」という名前だけを知っていても、桃が割れる瞬間をあらためて楽しめる。

桃太郎の成長も印象的だ。食べるほど大きくなる場面には、昔話らしいおおらかさがある。現実的に考える必要はない。赤ん坊がぐんぐん大きくなり、旅に出られるほどの力を持つ。その飛躍を、絵本は当たり前のこととして進めていく。子どもは、説明より先にその勢いを受け取る。

鬼退治の話として読むと、今の感覚では少し引っかかる部分もあるかもしれない。だからこそ、大人は単純に「正義が悪を倒す話」と言い切らず、物語の型として味わうほうがいい。桃太郎が仲間を得て進むこと、犬・猿・きじが加わること、最後に帰ってくること。日本昔話の骨格が、ここにしっかり入っている。

読み聞かせでは、きびだんごの場面が効いてくる。桃太郎はひとりで進むのではなく、出会った相手に分け与えながら仲間を作る。子どもはそこに、交換や約束の感覚を見る。言葉にして教えなくても、物語の中で「一緒に行く」理由ができていく。

『ももたろう』は、元気な気分の日に向いている。少し大きな声で読みたい日、物語の進行に乗って楽しみたい日、子どもが「次は誰が出る」と覚えている時期にいい。静かな余韻より、前へ進む力がある本だ。

一方で、日本の昔話をこれ一冊だけで代表させると、少し強すぎる。だからこそ、次に『かさじぞう』のような静かな昔話を読むと、日本昔話の幅が見えてくる。勇ましい旅の話と、雪の中の小さな情の話。その両方があるから、昔話は長く残ってきたのだと思える。

5.かさじぞう(福音館書店)

『かさじぞう』は、日本の昔話の中でも、静かな情が残る一冊だ。大みそか、貧しいおじいさんが町へ笠を売りに行く。けれど笠は売れず、帰り道で雪をかぶったお地蔵さまを見つける。おじいさんは、売れなかった笠をお地蔵さまにかぶせる。足りない一つには、自分の手ぬぐいをかぶせる。

この話には、大きな冒険も、派手な戦いもない。あるのは、雪の冷たさと、貧しさの中で誰かを思う小さな行いだ。民話や昔話というと、鬼退治や不思議な力に目が行きやすいが、『かさじぞう』はもっと生活に近い場所にある。寒い、売れない、家にはあまり食べ物がない。それでも、目の前のものを見過ごさない。

冬の絵本として読むと、この本はとてもよく響く。雪の白さ、帰り道の暗さ、家の中の静けさ。子どもにとっては「貧しさ」を理解するのは難しくても、「寒そう」「かわいそう」「よかった」という感覚は伝わる。昔話の情緒は、理屈よりも先に肌に触れる。

大人が読み聞かせるとき、ここでも教訓を急がないほうがいい。「親切にするとよいことがある」とまとめてしまうと、話が少し小さくなる。おじいさんは見返りを求めて笠をかぶせたのではない。ただ、雪をかぶったお地蔵さまを見て、そのまま帰れなかった。その気持ちの自然さが、この話の芯にある。

『ももたろう』が外へ向かう昔話なら、『かさじぞう』は家へ戻る昔話だ。町へ行き、売れず、帰り、夜を迎える。物語の動きは小さい。けれど、夜のうちに何かが起こり、朝になると世界が少し変わっている。この「静かな変化」がいい。

子どもが少し落ち着いて話を聞ける日に向いている。はしゃぎすぎた日より、布団に入る前や、冬の夕方、外の暗さが早くなってきたころに読むと合う。読後に大きく盛り上がる本ではないが、しんとしたあたたかさが残る。

日本の昔話を親子で読むとき、この本を入れる意味は大きい。昔話は、強い主人公の勝利だけではない。何も持っていないように見える人が、それでも誰かに差し出す話もある。子どもがそれをどこまで理解するかは、その時々で違う。ただ、雪の中のお地蔵さまと、おじいさんの手の動きは、長く残る。

昔話の型を広げる

7.3びきのかわいいオオカミ(冨山房)

『3びきのかわいいオオカミ』は、民話・昔話絵本の最後に置くとよく効く一冊だ。タイトルからわかるように、「三びきのこぶた」の型をひっくり返した物語である。ここに出てくるのは、かわいい三びきのオオカミ。そして彼らを困らせるのは、悪い大ブタだ。

昔話をいくつか読んだあとにこの本を開くと、子どもはすぐに「あれ」と思う。普通はブタがかわいくて、オオカミが怖いはずだ。けれど、この絵本ではその役割が逆になっている。すでに知っている物語の型があるからこそ、反転が楽しい。昔話を読む経験が、そのまま笑いの土台になる。

この本の面白さは、ただ逆にしただけでは終わらないところにある。三びきのオオカミたちは、家を作る。けれど大ブタは、それを壊そうとする。わらの家、木の家、れんがの家というおなじみの流れから、さらに予想外の方向へずれていく。子どもは、知っている話をなぞりながら、知らない展開に引っ張られる。

民話や昔話を読むとき、大人は「正しい昔話」を選びたくなることがある。もちろん、まずは定番を読むことも大切だ。けれど、定番だけをきれいに並べると、昔話が固定されたものに見えてしまう。『3びきのかわいいオオカミ』を入れると、物語は変えられるもの、遊べるものでもあるとわかる。

この本は、すでに「三びきのこぶた」を知っている子に特に向いている。元の話を知らなくても読めるが、知っているほうが笑いが深くなる。年中から小学生くらいまで、物語の反転を楽しめる時期に読むと、反応が大きい。子どもが「それ逆じゃない」と言いたくなるなら、この本の入口に立っている。

絵にもユーモアがある。かわいいオオカミたちのまじめさと、大ブタの乱暴さの対比が楽しい。怖いものとして描かれがちなオオカミが、ここでは守られる側にいる。その入れ替わりは、単なる冗談ではなく、ものの見方を少しずらす体験になる。

昔話の最後にこの本を置く理由は、読者を現代の絵本へ橋渡ししてくれるからだ。『三びきのやぎのがらがらどん』で怖さを知り、『てぶくろ』や『おおきなかぶ』でくり返しを楽しみ、『ももたろう』『かさじぞう』で日本の昔話の型に触れる。そのあとでこの本を読むと、昔話は保存されるだけでなく、読み替えられ、笑い直されるものでもあるとわかる。

子どもが「悪いのはいつもオオカミなの」と聞くような時期にも合う。物語の中の役割は、最初から決まっているようで、実は入れ替えられる。そう知ることは、絵本の外の世界を見る目にも少しつながる。決めつけずに読む。その軽やかさをくれる一冊だ。

関連グッズ・サービス

本を読んだ後の学びを生活に根づかせるには、生活に取り入れやすいツールやサービスを組み合わせると効果が高まる。

Kindle Unlimited

絵本は紙で読む楽しさが大きいが、民話や昔話の周辺にある児童文学、昔話集、親向けの読み聞かせ本を探すときには、電子書籍の読み放題サービスが下調べに役立つことがある。家に置く一冊を決める前に、関連する本を少し広く眺めたいときに向いている。

Kindle Unlimited

Audible

民話や昔話は、声で聞くと印象が変わる。読み聞かせの間の取り方や、くり返しのリズムをつかみたい大人にとって、朗読で物語を聞く時間は、絵本を読む前の小さな練習にもなる。

Audible

読み聞かせ用の小さなブックスタンド

親子で絵本を読むとき、膝の上で本を支えるのがつらい日もある。小さなブックスタンドがあると、ページを開いたままにしやすく、子どもと同じ向きで絵を眺められる。とくに『おおきなかぶ』のように声や動作で参加したい本では、両手が少し自由になるだけで読み聞かせの空気が変わる。

まとめ:民話・昔話絵本は、声に出して残る本から読む

民話・昔話の絵本は、国や有名度だけで選ぶより、まず声に出したときに子どもが入っていけるかを考えると選びやすい。最初の一冊なら、くり返しに参加しやすい『おおきなかぶ』が入りやすい。少し緊張感のある物語も読めそうなら、『三びきのやぎのがらがらどん』で民話の怖さと力強さに触れるといい。

世界の民話を広げたいなら、『てぶくろ』で集まってくる楽しさを味わい、『王さまと九人のきょうだい』で不思議な力と痛快な展開へ進む。どちらもくり返しがあるが、残る感情は違う。前者はあたたかく、後者は力強い。

日本の昔話を読むなら、『ももたろう』と『かさじぞう』を並べて読むのがいい。『ももたろう』には旅立ち、仲間、鬼退治の勢いがある。『かさじぞう』には、雪の中で誰かを思う静けさがある。日本昔話の幅は、この二冊を読むだけでもかなり見えてくる。

定番を読んだあとには、『3びきのかわいいオオカミ』がよく効く。昔話の型を知っているからこそ、ひっくり返したときに笑える。物語は覚えるだけのものではなく、遊び、読み替え、別の見方を生むものでもある。その感覚まで渡せると、民話絵本の読書はぐっと広がる。

  • はじめて読むなら、『おおきなかぶ』から入る。
  • 声の緊張感を楽しむなら、『三びきのやぎのがらがらどん』を読む。
  • 冬や静かな夜には、『てぶくろ』『かさじぞう』が合う。
  • 日本昔話の入口には、『ももたろう』を置く。
  • 少し大きくなったら、『王さまと九人のきょうだい』『3びきのかわいいオオカミ』で物語の幅を広げる。

民話や昔話は、急いで意味を教えるものではない。声に出し、笑い、少し怖がり、また同じところで待つ。そのくり返しの中で、子どもは物語の形を少しずつ覚えていく。まずは一冊、今日の家の空気に合う本を開いてみるといい。

FAQ

何歳ごろから民話・昔話の絵本を読めるか

くり返しが多く、動作がわかりやすい絵本なら、幼い時期から楽しめる。『おおきなかぶ』は声を合わせやすく、話の筋も追いやすいので、最初の民話絵本に向いている。少し怖さのある『三びきのやぎのがらがらどん』や、展開を追う楽しさがある『王さまと九人のきょうだい』は、子どもの反応を見ながら読むといい。年齢だけで決めず、怖がりやすさ、長い話を聞けるか、その日の疲れ具合も見て選びたい。

昔話の教訓は、読み聞かせのあとに説明したほうがいいか

最初から説明しすぎなくていい。民話や昔話は、声、くり返し、絵、展開の面白さで先に届く。大人が「これはこういう意味だ」とまとめると、子どもが感じた怖さやおかしさが小さくなることもある。読み終えたあとに子どもが何か言ったら、そこから話せば十分だ。『かさじぞう』なら「寒そうだったね」でもいいし、『てぶくろ』なら「まだ入るのかな」でもいい。感想の入口は、教訓よりもずっと自由でいい。

日本昔話と世界の民話は、どちらから読むといいか

どちらからでも読めるが、最初は子どもが入りやすいリズムの本を選ぶと続きやすい。参加しやすさなら『おおきなかぶ』、日本昔話の定番から入りたいなら『ももたろう』、冬の静かな雰囲気を味わいたいなら『かさじぞう』が合う。世界の民話から入ると、動物や怪物、不思議な力の面白さが見えやすい。日本昔話から入ると、言葉の響きや季節感が残りやすい。親子がその日に読みたい空気で選んでいい。

怖い場面がある昔話は避けたほうがいいか

怖がりやすい子には無理に読まなくていい。ただ、昔話の怖さには、物語の中で安全に怖いものへ近づく意味もある。『三びきのやぎのがらがらどん』のトロルは怖いが、くり返しの形があり、最後に物語が閉じる。大人がそばにいて、声の調子を強くしすぎずに読めば、怖さよりも「どうなるのか」の気持ちが勝つこともある。寝る前に怖がるようなら、昼間に読む、途中でやめる、別の本に替える。それでいい。

関連記事

Copyright © ほんのむし All Rights Reserved.

Privacy Policy