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辛くて、目を背けたくなる現実がある時に。読んで欲しいおすすめ本3選

なぜ世界には悲劇というものがなくならないのでしょうか。
まるで悲劇を望んでいる人がいるようにしか思えないときもあります。
そんな見たくはない、知りたくはないけど知らんぷりをしてはいけない話があるのです。

 

『わたしのいもうと』

わたしのいもうと (新編・絵本平和のために)

著・松谷みよ子
このお話は作者松谷みよ子さんの元へ届いた一通の手紙がもとになっています。それは私の妹の話を聞いてくださいという始まりで、いじめに遭い登校拒否になり心を閉ざしてしまった子の事を綴った手紙だそうです。
その手紙に書かれた最後の言葉が作品の最後に、妹の残した手紙として出てきます。妹はずっと振り向かず妹の顔が描かれていません。
それが逆に心の闇の深さを描き出しているようです。読んだ後は胸が詰まってやりきれない思いになりますが、あらゆる人に一度は読んでおいてほしい作品です

 

『アンナの赤いオーバー』

アンナの赤いオーバー (児童図書館・絵本の部屋)

著・ハリエット・ジーフェルト
戦争が終わったら新しいオーバーを買ってあげようね、アンナの古いオーバー擦り切れて小さくなってしまっていたから、去年の冬お母さんはそう言いました。
でも戦争が終わっても、お店に物はなく家にもお金ありませんでした。お母さんはアンナに新しいオーバーをつくるために知恵を絞ります。
おじいさんの金時計と引き換えにお百姓さんから羊毛もらいます。でも羊の毛を刈るのは春なので毎週羊に会いに行って春を待ちます。
これは第二次世界対戦後の実話を元にしたお話です。戦後の物の無い時代に一枚のオーバーを手に入れることは大変なことでした。
現在はモノ余りの時代ですが、この話を子供に読んであげたいものです。大人の心も豊かにしてくれます。

 

『風が吹くとき』

風が吹くとき

著・レイモンド・ブリックス
イギリスの田舎に住む定年後の夫婦、子供は独立し二人でのどかに暮らしています。ラジオが戦争の勃発を告げ3日以内に核シェルターを作るようにと促します。
でも大丈夫、夫は町の役所で手引きや広報をもらってきたのです。その通りにしっかり準備を進めれば大丈夫に違いありません。
前の戦争の時もそうやって乗り切ってきたのですから。そのときラジオから臨時ニュースが流れます。
敵のミサイルが飛んできてあと3分少々で避難しろとのことです。日々の生活の中で危険を感じる機会は極めて限られているからこそ、このコミカルなそして恐ろしい物語から感じた違和感を胸の奥にしっかりとしまっておきたいと思うのです。

 

不幸をしらなければ、本当の幸せというのは分からないのかもしれません。
無関心というものが不幸を呼ぶならば、みんなが関心を持てば少しは世の中から嫌なことが減るのかもしれません。

 

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