都会で働く忙しい社会人は、夏になっても蒸し返すアスファルトの熱気で熱中症にかかりそうになりながら、ドライヤーの温風みたくモワ~っとしたビル風に吹かれて、朝から終電近くまで仕事に励んでいることが多々あるのではないでしょうか。
せっかくの夏も滅多に海へ出かけられないほど多忙な人には、吉本ばなな著『TUGUMI(つぐみ)』という、伊豆の海を間近に感じられる小説をオススメします。
『TUGUMI』
病弱な美少女・山本つぐみ、旅館を営む両親、ケーキ屋さんでアルバイトをしている姉の陽子、大学生で幼なじみの白河まりあ、伊豆の田舎町に突然引っ越してきた恭一が繰り広げる他愛のない日常を描いているだけなのですが、抒情的で何度でも繰り返し読みたくなるような要素がある不思議な小説です。
海、スイカ、花火、夜、泳ぐ、祭りといった夏の風物詩がたくさん登場するものですから、ひょっとしたらリアルな夏よりも季節を感じることができるかも知れません。
ここがおすすめ
さて、『TUGUMIつぐみ』の中で私が好きなフレーズをいくつか紹介します。
「スイカは水っぽかったが、とても淡い甘い味がした。闇の中にしゃがんで、次々と食べた。手を洗うホースの水が冷たく、暗い土に小さな川を作って流れていた。」
田舎の夏らしい描写でワクワクします。
都会のスーパーでは人暮らし向けにカットしたスイカを売っていますが、田舎ではこんな風に、庭先でひと玉のスイカを切って複数で食べることがよくあります。
最後に
『TUGUMI(つぐみ)』は1992年初版で、ちょうどバブルの絶頂期が過ぎて日本経済期に陰りが出てきた頃の伊豆をテーマにした小説です。
しかし、どこか昭和の懐かしい香りがする落ち着いたストーリー展開になっており、昼間の場面ならニイニイゼミ、夕方の場面ならヒグラシの鳴き声が聞こえてきそうなほっとする文言でいっぱいです。
私は北国出身ですが、上京してから『TUGUMIつぐみ』を読んで感激したため、どうしても伊豆の海を見たくなって、民宿に泊まったくらいです。
「ひと夏の思い出」をテーマにした本を読みたい人にオススメできる一冊です。
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