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【夏 小説 表現】タイトルから夏を感じる、おすすめ名作小説。

 ひと夏の思い出という通り、夏はすぐに過ぎ去ってしまうもの。身体で感じたその体温の暑さ、ぎらぎらと照りつける太陽。

残るのは甘くほろにがいノスタルジー。そんなほとばしるような情熱と倦怠感を味わえる小説を集めました。夏の夕暮れに手にとりたい本です。

 

海色の壜

食からの異文化理解―テーマ研究と実践

 田丸 雅智(著) (双葉文庫)
 海をテーマにした全20編のショートショート。どこまでも広がっていくような不思議なストーリーとキラキラした余韻が残る作品。ほんわかしたもの、少し怖い話、ブラックな話など幻想と哀愁を想わせる世界観。眠る前に一話ずつ読むにもおすすめです。

次世代ショートショート作家との呼び声が高い夏にぴったりの爽やかな一冊です。お祭りをテーマにしたショートショート千夜一夜」も併せてどうぞ。

 

神様のボート

神様のボート (新潮文庫)

 江國 香織(著) (新潮文庫)

 深い郷愁と待機をテーマにした作品。骨ごと溶けるような恋をした人。子どもと母親を残して「必ず帰る」と言い残して消えたパパ。あの人のいない場所になじむわけにはいかないと引越しを繰り返すママ。母と娘、それぞれの視点から語られる狂気に満ちたノスタルジー。静かに流れていく時間の波がいったりきたり。

恋という幻想の世界をボートに乗って漂っているかのような心地よい揺らぎを感じる恋愛小説。何度読んでも解釈が変わる本です。

 

解夏

解夏 (幻冬舎文庫)

 さだ まさし(著) (幻冬舎文庫)

 解夏とは仏僧が行う修行が終わるときのこと。何かから解き放たれるとき。進行性でだんだん視力を失っていく主人公と故郷の風景。

彼を支える人たちを描いた表題作のほか、「サクラサク」「水底の村」「秋桜」4編の中編を収録。優しい気持ちになれる心が温かくなる作品。絶望的状況でも希望ある未来へと力強く歩もうとする昭和独特の雰囲気を味わえる一冊です。

 

 夏の終わり、感じる郷愁。そこから新しく何かを始めるほんのひとときでもあります。一瞬のきらめきを抱きしめて、新しい一歩に備えてください。

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