ほんのむし

本と知をつなぐ、静かな読書メディア。

【麻布競馬場おすすめ本】東京の孤独・SNSの痛み・Z世代の現実を読む代表作8選|“タワマン文学”の核心に触れる【代表作まとめ】

東京で暮らしていると、たまに理由のわからない息苦しさに襲われることがある。仕事も家も、それなりに整っているはずなのに、スマホ越しに流れてくる誰かの生活と比べてしまい、胸の奥がざらつくような感覚。麻布競馬場の小説は、まさにその「名前のついていないざらつき」に輪郭を与えてくれる物語だと思う。

いわゆる「タワマン文学」「意識高い系の物語」とひとことでまとめてしまうには惜しい。そこに描かれているのは、バズを狙った現代風味ではなく、都市で生きる人間の、どうしようもなく普遍的な寂しさや虚栄心、そしてそれでも誰かとつながりたいというささやかな願いだ。

 

 

麻布競馬場とは?

麻布競馬場は、X(旧Twitter)での短文連載から注目を集めた作家だが、単に「SNS発の作家」という枠に閉じこめてしまうと、その魅力の半分も伝わらない。彼の作品は、タワーマンション、ベンチャー企業、FIRE、D2C、コワーキングスペースといった現在進行形のキーワードを拾いつつ、そこに生きる人の痛みや滑稽さ、みじめさをとことんまで掘り下げる。

特徴的なのは、誰かを断罪する物語になっていないところだ。見栄っ張りな人間も、SNSで承認を求め続ける人も、収入や学歴に取り憑かれた人も、すべて「いまの東京に生きる普通の人」として描かれる。だからこそ、読んでいる側がどこかで自分の姿を重ねてしまい、気づかないうちに心がじわっと痛む。

物語の舞台はたいてい、決してドラマチックとは言えない日常だ。マンションの一室、職場のデスク、大学のサークル部室、サウナのロッカー前。そこに、年収や居住エリア、ブランドのバッグ、いいね数といった“見えやすい指標”がちらつく。その表面をサラッとなぞるのではなく、指標に振り回される人間の内側のざわめきを丹念に拾う。その筆致が、麻布競馬場の真骨頂だと思う。

今回はそんな麻布競馬場の作品群のなかから、まずは出発点ともいえる一冊、『この部屋から東京タワーは永遠に見えない』を前編でじっくり掘り下げていく。中編・後編では、同じ世界を別の角度から照らす作品たちへと進んでいく。

読み方ガイド(アンカーリンク)

記事内の各レビューへ飛びたい場合は、以下のリンクからどうぞ。

おすすめ本

1. この部屋から東京タワーは永遠に見えない

最初にこのタイトルを目にしたとき、「東京タワーが見えない」ことが、こんなにも感情を刺激するのかと少し驚いた。見えないだけなのに、そこにはっきりとした上下関係が立ち上がる。東京タワーが見える高層階と、見えない低層階。見える側に行けなかった自分。まだ行けるかもしれないという淡い期待。そうした感情のグラデーションを、麻布競馬場は短編の連なりとして描いていく。

この短編集に登場する人物たちは、一見するとどこにでもいそうな「普通の東京の住人」だ。会社員、大学生、同棲カップル、少し背伸びした若手ビジネスパーソン。彼らが暮らすのは、そこまで古くもないけれど、タワマンほどの華やかさもないマンションの一室だったりする。その「微妙なライン」が絶妙で、読んでいるうちに、東京という街が持つ残酷なグラデーションがじわじわと滲んでくる。

面白いのは、物語がきらびやかな成功談でもなく、どん底転落劇でもないところだ。少しだけ背伸びした部屋を借りたカップルが、「この家賃を払い続けられるのか」という不安を共有する代わりに、お互いのSNSを覗き合っている瞬間。会社帰りに寄るスーパーで、半額シールの貼られた惣菜を手に取るのを、なぜか誰かに見られたくないと感じてしまう瞬間。そういう、小さすぎて物語にならなそうな感情が、短編の中で丁寧に光を当てられていく。

読んでいて何度も感じたのは、「ああ、これ、言われるまでうまく言語化できなかったやつだ」という感覚だ。たとえば、自分より「上」にいるはずの同級生の結婚報告をSNSで見たときの、祝福と刺すような劣等感が入り混じる気持ち。タワマンの夜景写真にぶら下がる、何気ない一文の中に潜んでいる自慢と不安。麻布競馬場は、それらを派手な言葉で批判したりはしない。ただ静かに、でも逃さずに掬い上げる。

文章のトーンは全体的にクールで、過剰な感傷に流れない。それが逆に、描かれている感情の生々しさを増幅している。登場人物は大声で泣き叫ばないし、「自分探し」みたいな台詞も口にしない。それでも、ページを追うごとに胸がじわっと重くなるのは、彼らの小さな選択や沈黙が、読者自身の記憶とどこかでリンクしてしまうからだ。

個人的に強く残ったのは、「東京タワーは見えないが、見えるはずの場所を想像してしまう」登場人物たちの視線だ。実物のタワーを見上げているわけではなく、SNSで流れてくる夜景写真や、同僚が自慢げに語る“ビュー”付きの部屋の話を通して、彼らは「自分の持っていない景色」を具体的に思い描いてしまう。その想像が、現実の部屋を一層狭く感じさせる。ここに、この短編集の痛みの核がある。

この本は、いわゆる「格差」や「階級」の問題を正面から論じる社会派小説ではない。むしろ、そうした大きな言葉にまとめてしまった途端にこぼれ落ちてしまう、小さなちいさなトゲを描いている。だからこそ、読み終えたあとに「これは自分の話かもしれない」という感触が残る。東京に住んでいなくても、地方都市で「東京的な価値観」に触れてきた人なら、きっとどこかで共鳴してしまうはずだ。

どんな読者におすすめかと言えば、まず「東京で働く20〜30代」にはほとんど無条件に刺さると思う。タワマンに住んでいる人も、そうでない人も、それぞれ別の痛みを見つけるはずだ。さらに、子ども世代がまさにその渦中にいる40〜50代の親世代が読んでもいい。彼らがどんな価値観の海で泳いでいるのかを知る手がかりになる。

読書体験としては、一気読みよりも、1日1編ずつじっくり味わう読み方が合っている。たとえば、仕事終わりの夜に、部屋の明かりを少し落として1編だけ読む。ページを閉じたあと、そのまま自分のスマホを見てみる。タイムラインの光が少し違って見えるはずだ。その「見え方の変化」こそ、この本がもたらしてくれるものだと思う。

電子派なら、 Kindle Unlimited で気軽に読み始めて、気に入った編だけ何度も読み返す、というスタイルもいい。短編なので、通勤電車の数駅分や、寝る前の10分でも十分に浸れる。紙でじっくり読みたい人は、折り目をつけたり、気になるフレーズに付箋を貼りながら、自分だけの「東京タワーの見えない部屋」をつくっていく感覚を楽しんでほしい。

2. 令和元年の人生ゲーム

「人生ゲーム」という言葉には、本来もっと牧歌的なニュアンスがあったはずだ。家族や友人と卓上ゲームを囲み、マス目に一喜一憂するあの軽やかさ。しかし麻布競馬場の『令和元年の人生ゲーム』に漂う温度は、それとはまったく異なる。静かで、冷たくて、じわじわと胸の奥に入り込んでくる。「生き方」が選択肢として提示され続ける時代の、逃げ場のない疲労感。それを彼は連作短編として描き切っている。

舞台は、大学の“意識高い系”サークル、メガベンチャー、FIRE、投資、副業、D2Cブランド立ち上げ、キャリアアップの話題が飛び交う令和の東京だ。言葉だけを拾うと華やかに見えるが、登場人物たちの表情は決して明るくない。「正解の人生」を歩まなければという焦燥が、生活の隅々にまで染み込んでいる。

とくに強烈なのは、“自由であることが、逆にプレッシャーになる”という構造だ。仕事を辞めてもいいし、起業してもいいし、副業をしてもいい。どれを選んでもいいと言われるほど、人間は迷い、苦しむ。誰もが「成功者のストーリー」を探し、SNSがその比較を容易にする。そこに漂う息苦しさは、令和を生きる読者なら何度も心当たりがあるはずだ。

短編集のなかでも印象に残ったのは、大学時代のサークル仲間たちが、期待ほど輝けなかった自分に向き合う話だ。同じ教室で学んだ仲間たちが、外資系やベンチャーのオファーを得ていくなか、自分だけが置いていかれるような感覚。そのくせ「焦っている」と口にすれば負けのような空気がある。読んでいると、心に蓋をしていた記憶が静かに疼き始める。

麻布競馬場の筆は、誰かを断罪しない。サークル仲間に自慢げな投稿をする者も、自虐をこじらせた者も、他人を羨みすぎて自分を見失う者も、全員がどこか不器用で切ない。誰かの人生を笑うための小説ではなく、「こういう痛みを抱えながら、自分もなんとか生きている」と感じられる物語だ。

文章には派手な演出はない。けれど、比喩のひとつひとつが異様に鋭く、読んでいると胸の表面をカッターでゆっくりなぞられるような痛みが残る。沈んだトーンのまま、どこか突き放すような冷静さを保ち続ける。そのドライさが、物語に変な湿度を与えない。むしろ読者が自分の気持ちを投影しやすくなる。

特にSNSの扱いには、麻布競馬場の持ち味がよく出ている。誰かの成功報告ツイートを見た瞬間に胸がザワつく感じ。褒められている投稿でも、どこか自慢に見えてしまう心の歪み。自分も“いいね”を求めてしまう小さな欲。そして、それらすべてを自覚した瞬間に押し寄せる自己嫌悪。そのリアリティが生々しいほどに正確だ。

読後感は、不思議な静けさを伴う。本の最後に「救い」があるわけではない。けれど、絶望だけが残るわけでもない。“みんなそれぞれ揺れながら生きている”という温度が、じんわりと心に残る。華やかな東京の裏側にある、くすんだ灰色の影。その灰色が、決して一色ではないことに気づかされる。

年齢によって見えるものが変わる本だと思う。20代の読者は焦燥や嫉妬に心が波立つかもしれないし、30代は「あの頃の気持ち」を思い出して少しだけ苦くなる。40〜50代の読者なら、いまの若者が抱える重さを立体的に理解できる。読み方によって景色を変える、そんな器の大きさがこの本にはある。

Audibleで聴くなら、 Audible の淡々としたナレーションが合う。淡泊な語り口が、物語のドライな質感を際立たせ、通勤電車や夜の散歩といった“現実の景色”と自然に溶け合う。

3. #ハッシュタグストーリー

この作品の中心にあるのは、“SNSという鏡”だ。ただの機能でも道具でもなく、人間の心を映す黒い水面のような存在として描かれる。そこに落とされる言葉には、投稿者本人も気づかない欲望や嫉妬や祈りがまぶされており、読者はその濁りの層をゆっくり覗き込むことになる。

タイトルに「ハッシュタグ」とあるが、作品自体は決して軽いノリのSNS文学ではない。むしろSNSの明滅する光の裏側に潜んでいる“影のかたち”を、麻布競馬場が冷静な文体で拾い上げていく。投稿する側と見る側、主語と目的語、承認する者と承認されたい者。その距離感が、物語の端々でぎしぎしと軋む。

印象的なのは、登場人物たちが“自分の投稿を見ている自分”を常に意識しているところだ。SNSへの投稿は、現実の自分よりも強い存在になり、時には生き方そのものを縛る。フォロワー数、バズ、ストーリーズの足跡。これらが人生の指標のように扱われてしまう現代で、ハッシュタグはアイコンを飾るためのラベルであると同時に、“逃げ場のない価値観の鎖”でもある。

物語の中盤にある、何気ない日常を投稿する女性の話が忘れられない。彼女は幸せそうに見える写真を並べるが、その写真の外側には、言葉にならない孤独と恐れが沈殿している。本人ですら直視できないその沈殿を、投稿という行為だけがかろうじて抑え込んでいる。読んでいると、ページの白い余白に、彼女の呼吸の弱まりがじんわり染みてくる。

SNSを題材にした小説は数多いが、麻布競馬場の描くSNSには“悪人”がほとんど出てこない。誰も攻撃したくて攻撃しているわけではなく、承認を求めすぎて他人を押しのけようとするわけでもない。ただ、自分を保つために投稿し、自分が壊れないように反応を待つ。そんなギリギリの感情の綱渡りを、圧倒的な静けさで描く。

読みながら、ふとスマホの画面を裏返したくなる瞬間がある。自分のタイムラインに流れてくる友人の写真、フォロワーの成功報告、知らない誰かの豪華な生活。その光が、いつもより冷たく感じられる。それでも人はSNSから離れない。いや、離れられない。その矛盾もまた、麻布競馬場はきちんと物語の器に入れて見せる。

どんな読者に刺さるかと言えば、SNSとの距離感に悩んだ経験がある人、承認欲求を持て余した夜を過ごしたことがある人、あるいは誰かの投稿に胸がざわついたことがある人。この作品は、そうした人たちの心の表面にそっと触れて、言葉にならなかった痛みを可視化してくれる。

読み終えたあと、静かな余韻が残る。SNSという光の海で溺れかけている誰かの姿が、少しだけ他人事ではない気がしてくる。その優しい残酷さが、この作品の魅力だと思う。

 

4. この部屋から東京タワーは永遠に見えない(上) ヤングジャンプコミックスDIGITAL

コミカライズ版を最初にめくったとき、正直に言えば少し身構えた。あの淡々とした痛みをどう絵で表現するのか——文章の“余白”こそが麻布競馬場の強みだと思っていたからだ。だが読み進めるほど、漫画という形式がこの世界に新しい陰影を作っていることに気づいた。

まず、登場人物の表情が怖いほど繊細だ。原作では言葉にされなかった微細な感情の揺れが、眉の角度や視線の落ちる方向によって形を持ち始める。たとえば、タワマンの夜景を見上げる若い男性の横顔。羨望の熱と諦めの冷たさが同時に漂っていて、その混ざり物が画面に滲む瞬間がある。原作では“感じていたはずの温度”が、ここでは見えてしまうのだ。

また、部屋の描き方が抜群にうまい。狭くはない。けれど、広いわけでもない。ちょっと手を伸ばせば壁に触れる、あの微妙な閉塞感。家具のレイアウト、照明の色温度、夜の光の入り方。どれも「こういう部屋、東京に本当にある」というリアリティを帯びている。漫画家の観察眼が、都市の空気を真っ直ぐに掴んでいる。

“上巻”は、麻布競馬場作品の核である「見えないものに振り回される苦しさ」を読者に体験させるためのイントロとして機能する。描かれているのはドラマチックな事件ではなく、小さな傷の積み重ねだ。SNSで誰かの成功談を見たとき、胸の奥がざらつく。そのざらつきを、漫画という形がさらに増幅させる。読み手は登場人物の表情を逃せないからだ。

原作を読んでいない人にも読みやすいが、すでに原作を知っている人ほど「あ、この場面はこう見えるのか」と驚かされる。物語の“隙間”に少し光が差すような、そんな一冊だ。

5. この部屋から東京タワーは永遠に見えない(中) ヤングジャンプコミックスDIGITAL

中巻に入ると、物語の空気が少し変わる。登場人物たちが抱える“見えない焦燥”が、静かに濃くなっていく。上巻で提示された「景色の格差」が、より立体的になっていく印象だ。

特に胸を刺したのは、あるカップルのすれ違いの描写だ。部屋の広さ、家賃の重さ、SNSで見かける“幸せそうな同年代”。そのどれもが直接的な悪ではないのに、二人の心を少しずつ削っていく。漫画ではその削られ方が、コマ単位で細かく可視化される。無言のまま視線をそらす瞬間の表情、沈黙のなかで呼吸が揺れる小さな描線。その一つひとつが、痛いほどリアルだ。

麻布競馬場の原作が持つ静けさは、漫画になることで逆に「沈黙の重み」へと変わる。文字で読んだときよりも、部屋の温度が低く感じられることさえある。そして読者は、登場人物たち以上にその温度を体感する。

また、中巻では“見栄”の描写が一歩深く踏み込まれている。SNSで背伸びをした投稿をする人、誰かの投稿に潜む僅かな虚勢を見抜いてしまう人。SNSがただのツールではなく、価値観を固定する“外側からの視線”として描かれる。その外側の視線が、じわじわと主人公たちの心を圧迫していく。

ページをめくる手が少し重くなるが、その重さを感じられること自体が、この中巻の価値だと思う。ここで初めて、漫画版が原作とは別の作品として自立し始める。

6. この部屋から東京タワーは永遠に見えない(下) ヤングジャンプコミックスDIGITAL

下巻は、三冊のなかでもっとも胸に来る。原作もそうだが、この作品の本質は“派手な事件が起こらない痛み”にある。その痛みが、漫画版ではより静かで、より鋭く存在感を持っている。

クライマックスに向かうにつれ、登場人物たちの“見えない傷”が一気に輪郭を持ち始める。誰かの人生に嫉妬しながらも本気で嫌いになれない気持ち。自分の選択が正しかったのか疑う夜。窓の外に広がる東京の光が、いつもより遠く見える瞬間。そうした感情が、繊細な線と絶妙なコマ割りによって丁寧に描かれる。

漫画版の最大の強みは、原作の“余白”を失わずに、視覚の説得力を足せているところだ。部屋の暗がりで、主人公が一人で座っている構図。無言のコマのあとに続く短いセリフ。その組み合わせが、心の深部をえぐるような痛みに変わる。

読後感は重い。しかし、ただ暗いだけではない。東京で生きていくということ、自分の人生を選び続けるということの現実が、静かに胸に残る。漫画版を読んだからこそ見える景色がある。原作と合わせて読む価値は十分以上にある。

8. 5分後に、虚しい人生。 本当に欲しかったものは、もう(集英社文庫)

この短編集は、麻布競馬場の作品を初めて読む人にとっても良い入り口になるが、既存読者が読むと「まさに麻布競馬場だ」と膝を打ちたくなる一冊だ。タイトルどおり、どの物語も“虚しさ”を核にしている。だがその虚しさは単純な絶望ではなく、むしろ“人生の手触りそのもの”として描かれている。

特に心に残ったのは、日常のちょっとした選択が人生の方向を変えてしまう話だ。人間は、何かを選ばずに生きることができない。選ぶたびに「別の自分」が生まれ、「選ばれなかった自分」が消えていく。その積み重ねが、じんわりと虚しさを生む。それをたった数ページで描けるのが、麻布競馬場の恐ろしいところだ。

文章の密度は高く、台詞も短い。その短さが、心の奥を刺す。たとえば、ふとした後悔を思い出す瞬間。誰かを羨んだまま眠れなかった夜。誰にも見せなかった後悔の傷。この短編集は、その“誰にも見せない傷”の集合体のようでもある。

読み終えたあと、静かに胸の内に沈殿する影。それを「虚しい」と片付けてしまうのは簡単だが、むしろその影の中に、人生の深い部分が隠されているのだと感じた。麻布競馬場の世界観をもっと広い角度から知りたい読者には、ぜひ読んでほしい。

 

関連グッズ・サービス

本を読み終えた後の余韻をそのまま日常に持ち帰るには、読書時間や思考の流れを支えてくれるツールを組み合わせるといい。麻布競馬場の作品は静かな余白が大切なので、自分のペースで浸れる環境を整えておくほど深く入っていける。

● Kindle / Kindle Unlimited

麻布競馬場の文章は光と影がはっきりするので、暗めの部屋で電子で読むと作品の陰影が引き立つ。 Kindle Unlimited を使えば、通勤や深夜のひとり時間で“1編だけ読む”という使い方がしやすい。自分の生活にそっと物語が入り込んでくる感じが心地いい。

● Audible

作品の冷静で落ち着いたトーンは、 Audible の淡々とした朗読とも相性がいい。散歩しながら聴くと、街の景色が物語の延長になっていくようで、特に東京の夜を歩く日は不思議な没入感がある。

● Kindle端末(Paperwhite)

余白の多い麻布競馬場作品とは、光が柔らかい電子ペーパーの相性が抜群だ。ブルーライトが少ないので、夜の読書に集中しやすい。自分の部屋の暗がりの中で読むと、物語の静けさがそのまま部屋の空気に溶けていく感覚がある。

 

 

● ノイズキャンセリング・ヘッドホン

麻布競馬場の文章は“静けさ”が主役なので、雑音を消す環境があると圧倒的に入りやすい。AirPods Pro や WH-1000XM5 などのノイキャンヘッドホンがひとつあるだけで、読書時間の質が変わる。気が散る日でもスッと世界に入れる。

 

● Prime Student(学生読者向け)

作品の読者層には大学生も多いので、学生なら Prime Student無料体験 を組み合わせるとコスパが異常に良くなる。読書用の文庫・電子書籍と、日用品・飲料など大学生活の買い物が一気に軽くなる。

● Amazonプライム(動画・配送を生活に馴染ませたい人)

麻布競馬場作品を読んだあと、気持ちの切り替えにやさしい映像作品を流したくなる夜がある。 Amazonプライム無料体験はこちら に入っておくと、生活の“静けさのバランス”が取りやすい。

● 小さめのデスクライト(暖色)

作品の読後感を壊さずに読めるのは、実は照明の選び方が大きい。暖色系の小さなデスクライトをつけて読むと、都市小説がもつ冷たさと自室の温度がほどよい距離で混ざる。読書時間が小さな儀式のようになる。

 

 

まとめ

読み終えたあとに残るのは、名前のつかない感情だ。焦燥でもなく、虚無でもなく、羨望と罪悪感と期待の混ざった、あの曖昧な重さ。麻布競馬場は、その曖昧さを“曖昧なまま”描く作家だと思う。だからこそ、読者は自分の心のどこかにあった黒い粒を見つけてしまう。

東京で生きるということ。SNSに触れながら孤独になるということ。誰かに見られたいのに、見られすぎると怖くなるということ。麻布競馬場作品は、それらを劇的ではない日常のなかにそっと置いてくる。だからこそ静かに刺さる。

FAQ

Q1. どの本から読むべき?

最初は原点となる『この部屋から東京タワーは永遠に見えない』を推す。次に『令和元年の人生ゲーム』へ進むと、時代の輪郭が一気に立ち上がる。

Q2. SNSを使わなくても楽しめる?

SNSはテーマの一部にすぎず、核心は「人の心の揺れ」だ。SNSの知識がなくても問題ない。

Q3. 電子と紙、どっちがおすすめ?

暗い部屋で読むなら Kindle Unlimited が合う。移動中なら Audible が心地よい。

関連記事

Copyright © ほんのむし All Rights Reserved.

Privacy Policy