2025-12-06から1日間の記事一覧
戦国も江戸も平安も、ついでに明治のデスゲームまで。ジャンルをまたぎながら、とにかく「物語の熱量」で殴ってくる作家が今村翔吾だ。歴史小説は好きだけれど、どこから入ればいいか分からない、という人も多いと思う。そんなとき頼りになるのが、史実の重…
澤田瞳子とは?──時代を越えて“息づく声”を書きあてる作家 澤田瞳子おすすめ本 21選 1. 『星落ちて、なお (文春文庫)』 2. 『若冲』 3. 『火定 (PHP文芸文庫)』 4. 『孤鷹の天』 5. 『龍華記 (角川文庫)』 6. 『満つる月の如し 仏師・定朝 (徳間文庫)』 7. …
生きづらさの理由が見えない夜、心の底で渦巻いていた何かに名前がつく瞬間がある。馳星周の物語は、まさにその「名前」を与えてくれる。暴力、喪失、孤独、救い。そのすべての狭間で、人がどのように立ち上がるのかを描き切る作家だ。 彼の小説を読むとき、…
歴史小説を読むとき、ただ出来事の年表をなぞるだけでは物足りないと感じることがあるはずだ。そこで立ち上がってくるのが、さまざまな時代と土地を旅するように読ませる川越宗一の世界だ。 樺太の極寒から、戦国薩摩、禁教下の長崎、南洋の海、そして革命前…
恋愛小説でもあり、ミステリでもあり、人生相談のようでもある。佐藤正午の小説を読み進めていると、自分の過去の選択や、あのとき言えなかったひと言まで引っぱり出される感覚になるはずだ。生まれ変わり、失踪、ドッペルゲンガー、消えた恋人……少し不穏な…
日常のどこかに裂け目があり、その向こうに見えない世界が続いている。そんな気配を言葉の表面に漂わせる作家がいる。恩田陸の小説は、強烈な事件がなくても心を揺らし、静かな部屋のなかでも風が吹き抜けるような余韻を残す。読み始める前より、少し世界が“…