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【角田光代おすすめ本】家族と恋と「ふつう」の揺らぎを描く名作・代表作20選

育児、仕事、恋愛、家族。どこにでもいそうな人たちの、言葉にしづらいざらつきや欲望を、角田光代ほど正面から書いてきた作家はあまりいない。読んでいて胸が痛むのに、どうしようもなく「わかる」と頷いてしまう。その感覚を求めて、一冊、また一冊と手を伸ばしたくなる。

 

 

角田光代とは?

角田光代は1967年、神奈川県生まれ。1990年「幸福な遊戯」で海燕新人文学賞を受賞してデビューして以来、恋愛小説から家族小説、ジュブナイル、エッセイ、そして『源氏物語』の現代語訳まで、驚くほど幅広い作品世界を築いてきた作家だ。

1996年『まどろむ夜のUFO』で野間文芸新人賞、2003年『空中庭園』で婦人公論文芸賞、2005年『対岸の彼女』で直木賞、2007年『八日目の蝉』で中央公論文芸賞、2011年『ツリーハウス』で伊藤整文学賞、2012年『紙の月』で柴田錬三郎賞と、主要文学賞を次々と受賞してきた。さらに『源氏物語』訳で読売文学賞(研究・翻訳賞)を受けていて、作家であり翻訳家でもある存在だ。

テーマの中心にあるのは、「ふつう」に見える人間のひずみや孤独だ。専業主婦、ワーキングマザー、独身の女性、お父さん、子どもたち……社会の中で与えられた役割を演じながら、心のどこかで違和感を抱えている人々が、角田の小説には繰り返し登場する。その心理の揺れを、彼女は冷徹さと優しさを同時にまとった筆致で描く。

もう一つの大きな特徴は、物語が「事件」ではなく「生活」から立ち上がっていくところだろう。幼稚園の送り迎え、ママ友とのLINE、スーパーの特売、ローンの支払い、義理の親との距離感――そんな日常のディテールが積み重なり、気づいたときには取り返しのつかない地点まで来ている。その過程の書き方があまりにリアルで、読者は自分の生活と地続きの物語として読まされる。

映像化作品も多く、『八日目の蝉』『紙の月』『坂の途中の家』『月と雷』などはドラマ・映画を通して知った人もいるはずだ。けれど活字で読むと、映像では削ぎ落とされていた登場人物の逡巡や、言葉にならない感情の層がいっそう濃く感じられる。ここから紹介する20冊は、そんな角田光代の多面性をできるかぎり一望できるよう、長編・短編集・ジュブナイル・エッセイ・翻訳までをバランスよく選んだ。

角田光代おすすめ作品20選

どこから読むかで角田光代の印象は大きく変わる。骨太な長編から入るか、短編集やジュブナイルで声のやわらかさから味わうか。ここでは代表作→家族・母性→仕事・お金→友情・青春→短編集・エッセイ→翻訳、という流れで並べてみる。気になる場所から、遠慮なく飛び込んでほしい。

1. 『八日目の蝉』

不倫相手の子を身ごもった女が、夫婦の子どもを誘拐し、「母」として逃亡生活を送る。前半は誘拐犯である「母」の視点、後半は成長した娘の視点へと移り、二人の「母と子」の物語が重なり合っていく。中央公論文芸賞を受賞し、ドラマ・映画化で広く知られるようになった代表作だ。

この小説のすごさは、犯罪の是非を超えて、母性と執着の境界を徹底的に揺さぶってくるところにある。読んでいるあいだ、誰かを責めようとすると、すぐに別の視点からの「事情」が差し込まれ、簡単な答えを拒む。自分が親であれ子であれ、「もし自分だったら」と思わずにはいられない人は多いはずだ。家族の物語が好きな人、母親もののドラマを見て涙ぐんでしまうタイプの人には、避けて通れない一冊になる。

2. 『対岸の彼女』

専業主婦として娘を育てる葵と、女性だけの派遣会社を起こしたビジネスウーマン・聡子。かつて「いじめられっ子」だった中学時代の記憶と、今の生活が交錯しながら、二人の「友情」と「孤独」が描かれる。直木賞を受賞し、角田の名前を一気に広めた長編だ。

「女同士の友情」という一言では片づけられない、あの複雑な距離感が実に生々しい。大人になってから友だちができない苦しさ、家族のために自分を削ってしまう怖さ、仕事に逃げ込むように全力疾走してしまう危うさ。それぞれの人物の中に、読者自身のかつての姿や、今の自分の影がちらつく。職場と家庭の両方で「ちゃんとした自分」を演じて疲れている読者には、じわじわ効いてくるはずだ。

3. 『紙の月』

銀行の契約社員としてまじめに働いていた主婦・梨花が、若い恋人に貢ぐうちに、勤務先の金に手をつけてしまう。最初は小さな「つい出来心」が、やがて巨額横領事件へと転がり落ちていく過程を描いたサスペンスで、柴田錬三郎賞受賞作。

梨花は決して最初から悪女ではない。むしろ「いい人」でいたくて、よく見られたくて、誰かに必要とされたくて、少しずつ道を踏み外していく。読みながら、「自分だって状況次第では同じことをしていたかもしれない」と背筋が冷たくなる。その怖さが、この小説の中毒性でもある。お金と愛情、自尊心が絡み合う物語が好きな人や、金融ドラマが好きな人にも勧めたい一冊だ。

4. 『愛がなんだ』

会社員のテルコは、マモルのことが好きでたまらない。仕事中でも呼び出されればすぐ駆けつけるし、都合よく扱われていると分かっていても離れられない。いわゆる「こじらせた一方通行の恋」を徹底的に描いた長編で、映画化をきっかけに再評価された作品だ。

恋愛小説として読みながら、「ここまで自分を安売りしていいのか」と第三者的に怒りたくなる瞬間が何度もある。けれど、どこかでテルコの感覚もわかってしまう。その二重感情が、この小説の痛みであり楽しさでもある。過去の恋を思い出しながら読みたい人、ダメな恋をしている友人にそっと勧めたくなるような一冊を探している人に向く。

5. 『空中庭園』

空中庭園: 1

空中庭園: 1

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「家族の間で隠し事をしてはいけない」というルールを掲げる一家。父・母・高校生の娘・小学生の息子は一見仲の良い家族に見えるが、それぞれ胸の内に深い秘密を抱え、やがて家族のバランスは崩れていく。婦人公論文芸賞を受賞し、映画化もされた初期の代表作。

角田らしいのは、「正しい家族でいよう」とするほど、むしろ息苦しさが増していくところだ。家族の中で誰も悪くないのに、誰もが少しずつ相手を傷つけてしまう。読み終わったあと、当たり前のように囲んでいる食卓の風景が、ほんの少し違って見えるかもしれない。家族小説が好きな人、親子関係にモヤモヤを抱えている人に、静かに刺さる長編だ。

6. 『坂の途中の家』

坂の途中の家

坂の途中の家

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幼児虐待致死事件の裁判で、補充裁判員に選ばれた専業主婦・里沙子。被告人の若い母親の証言を聞くうちに、里沙子は自分自身の育児の苛立ちや、抑えてきた感情と向き合わされていく。ドラマ化もされた、母親の心を真正面から描く心理サスペンスだ。

虐待事件の裁判という重い題材を扱いながら、描かれているのは「完璧な母になれない」焦りと恐怖だ。子どもを愛しているはずなのに、言うことを聞かないときの衝動や、思わず手が出そうになる瞬間を、角田は容赦なく言葉にする。子育て経験のある読者は、目をそらしたくなる一方で救われる部分も多い。母親像に縛られて苦しい人にこそ読んでほしい一冊だ。

7. 『さがしもの』

古本屋に持ち込まれた一冊の本から、亡くなった父の素顔をたどる話、引っ越しのダンボールから出てきた漫画雑誌に偽名で載った自作を見つける話、本をめぐるささやかな出来事を集めた短編集。本が好きな人なら、どの話にも必ず「あるある」が見つかる。

どの短編にも、角田の「本への偏愛」がにじむ。読んでいると、自分の本棚を思い出したり、昔読みふけった文庫を掘り返したくなったりするはずだ。長編の重さに少し疲れたときに、好きな話からつまみ食いする読み方もできる。本好きの友人への贈り物にもぴったりだ。

8. 『キッドナップ・ツアー』

離婚して家を出ていった父親が、夏休みに突然現れ、娘を「誘拐」する。仕事もお金もろくにない父と、小学生の娘が、安宿や安い食堂を転々としながら旅をするジュブナイル小説で、児童文学賞も複数受賞している。

大人の目線から読むと、父の頼りなさに冷や汗が出る一方で、娘の視点に立つと、彼の不器用な愛情が胸に迫る。「親として立派であること」ではなく、「一緒に何かを体験すること」が家族の記憶になるのだと気づかされる物語だ。親子で同じ本を読みたいときの一冊としてもいいし、父娘ものが好きな人にも響く。

9. 『くまちゃん』

ダメ男にふりまわされる女性たちを描いた連作短編集。表題作「くまちゃん」では、恋人というには中途半端な男との腐れ縁が描かれ、どの話にも「別れればいいのに別れられない」関係が登場する。

角田はここでも、恋愛の「かっこ悪さ」から目をそらさない。友人に見せたくないメッセージの履歴や、しなくていい我慢の積み重ね……そんなディテールが、読み手の過去の恋を容赦なく引きずり出してくる。短編ごとに舞台も人物も変わるので、気分に合わせて一話ずつ読めるのも嬉しいところだ。

10. 『ツリーハウス』

ツリーハウス

戦中から現代まで、3世代にわたる家族の歴史を描いた大河小説。東京と沖縄、フィリピンを行き来しながら、「日本人として生きること」の複雑さや、戦争が家族に落とした影が浮かび上がる。伊藤整文学賞を受賞した長編で、角田作品の中でも特にスケールの大きい一冊だ。

日常の細部を描くことの多い角田が、歴史と家族をここまで正面から描いた作品は貴重だ。とはいえ、物語はあくまで個々の人物の選択と感情を軸に進むので、歴史小説が苦手な人でも入りやすい。時間をたっぷりとって、休日にゆっくり読みたい本を探している人には、この一冊をすすめたい。

11. 『笹の舟で海をわたる』

新興宗教に傾倒していく老女と、その家族、周囲の人々の視点が交錯しながら、信仰と孤独、家族のきしみが描かれる長編。信仰そのものを善悪で裁くのではなく、「なぜそこに救いを求めざるをえなかったのか」を丁寧に掘り下げていく。

身近な人が何かに強く傾いてしまったとき、周囲の人間はどう振る舞えるのか。読み進めるほど、簡単に距離を取って「やめなよ」と言うことの難しさが見えてくる。高齢の親や、田舎のコミュニティ、宗教やスピリチュアルなものとの距離に悩んだことがある読者には、特に刺さるテーマだ。

12. 『幸福な遊戯』

海燕新人文学賞を受賞したデビュー作。奇妙な三角関係の同居生活を描きながら、若者たちの不安定な心と、世界の輪郭のあいまいさを描き出す。のちの作品ほどテーマは整理されていないが、そのぶん生々しい「若い角田光代」の感性が立ち上がってくる。

デビュー作から読んでみると、後年の作品でも変わらず追いかけているモチーフ――自尊心の低さ、他人に合わせてしまう癖、自分の居場所が分からない感覚――が、すでにここにあると気づくはずだ。作家の原点を知りたい人、角田作品を何冊か読んでから「始まり」を確かめたくなった人に向いている。

13. 『森に眠る魚』

文教地区の幼稚園に子どもを通わせる5人の母親たち。最初はピクニックに行ったり写真館で撮影したりと、理想的な「ママ友グループ」に見えるが、小学校受験や夫の収入格差、価値観の違いが少しずつ関係を歪めていく。

ママ友コミュニティの閉鎖性や、子どもの将来を思うがゆえの競争心が、これでもかとリアルに描かれる。誰か一人が「悪者」なのではなく、環境と不安がじわじわと人間関係を蝕んでいく過程が怖い。子育て世代の読者には、読みながら胃が痛くなるかもしれないが、それでも目を離せなくなる一冊だ。

14. 『月と雷』

月と雷 (中公文庫)

月と雷 (中公文庫)

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「普通の家庭」を知らないまま育った女性・泰子と、かつて母に連れられて共に暮らしたことのある少年・智。放蕩癖のある母親との生活、そこで壊れた家族の像が、再会した二人の関係の中で少しずつ浮かび上がる。映画化もされた家族小説だ。

家族の形は一つではない、というありふれた言葉を、ここまで具体的な肉声として感じさせてくれる作品はそう多くない。泰子と智の距離感は、恋愛とも兄妹とも違う微妙なものだが、読者はその曖昧さのなかに、かけがえのないつながりを見てしまう。家族小説の中でも、少し変則的な関係に惹かれる人におすすめだ。

15. 『ロック母』

川端康成文学賞を受賞した表題作「ロック母」を中心に、「ゆうべの神様」などを収めた短編集。離島の実家に戻ってきた娘と、「壊れた」ように見える母親との関係が描かれる表題作は、母娘ものの傑作として語られることが多い。

タイトルから想像する「かっこいい母」とは違い、ここにいるのは不器用で、痛々しくて、それでもどこか愛おしい母親だ。音楽のエピソードや、田舎の風景が細やかに描かれ、読後に胸の奥に残るのは、単純な感動ではなく、複雑な余韻だろう。母親との関係に何かしら引っかかりを持っている読者ほど、強く響く短編集だ。

16. 『私のなかの彼女』

主人公・和歌の18歳から30代までを追いながら、恋愛、仕事、家族、そして「書くこと」の意味を描いた長編。祖母・母・和歌と3代にわたる女性たちの物語でもあり、河合隼雄物語賞を受賞している。

作家ものの小説でありながら、「何かを表現したいのに言葉にならない」というもどかしさは、創作に限らず、多くの人が覚えのある感覚だと思う。恋人との関係が少しずつ変質していく過程も痛々しくて、読みながら何度も立ち止まりたくなる。自分の人生をうまく説明できないと感じているときに読むと、和歌の不器用さに救われる部分がきっと出てくる。

17. 『三月の招待状』

大学時代からの友人夫婦の「離婚パーティー」の招待状が届くところから物語が始まり、その一年後の結婚式まで、5人の男女の30代を多視点で描いた長編。結婚、離婚、同棲、仕事――それぞれの人生の揺れが、連作短編のように綴られていく。

学生時代のノリを引きずったまま大人になってしまった人たちが、現実の重さにじわじわ追いつかれる感じが、いやというほどリアルだ。読者の年齢によって刺さるポイントが変わるので、20代で読んだときと、30代・40代で読んだときとで、印象が変わる一冊でもある。友人との距離感に悩んでいる人には、さりげなく効いてくる物語だ。

18. 『今日も一日きみを見てた』

アメリカンショートヘアの猫・トトとの暮らしを綴ったフォトエッセイ。猫を迎える前は「自分は犬派だ」と思っていた著者が、トトと暮らすうちに生活も感受性も変わっていく様子が、写真と文章で描かれる。

小説で見せる鋭い視線とはまた違う、ふわっと力の抜けた語り口が心地よい。猫を飼っている人なら「分かる」と笑いながら読めるし、これから動物と暮らしたいと思っている人にとっては、現実的な一面も含めた「動物との生活のリアル」を知る入門書にもなる。本編で心を振り回されたあと、少しだけ優しい気持ちでページをめくりたいときにぴったりだ。

19. 『源氏物語 上』

日本文学の古典『源氏物語』を、角田光代が現代語に訳した全3巻のうちの上巻。第一帖「桐壺」から第二十一帖「少女」まで、光源氏の恋と栄華が描かれる部分を収めている。原文に忠実でありながら、現代の小説のように読みやすい訳文が大きな評価を受けた。

「源氏物語を読みたいけれど、どの訳がいいのか分からない」という人に、角田訳はとても相性がいい。登場人物たちの心理の揺れが、彼女らしい透明な日本語で立ち上がるので、古典というより現代小説を読んでいる感覚に近い。角田作品から古典へ、古典から角田作品へと往復する読み方も楽しい。

20. 『まどろむ夜のUFO』

UFOに夢中な高校生の弟・タカシ、その仲間たち、几帳面すぎる同級生など、少し奇妙な人々との関わりを描いた表題作ほか、3編を収めた作品集。野間文芸新人賞を受賞し、角田が「純文学の書き手」として認められるきっかけになった一冊だ。

青春小説のようでいて、「どこにも居場所がない」と感じる人間の孤独を静かに浮かび上がらせる。ここで描かれているのは、UFOでも超常現象でもなく、「この世界に自分がうまくはまり込めない」という感覚だと思う。学生時代の居心地の悪さを引きずっている人には、痛くも優しい読書体験になる。

関連グッズ・サービス

本を読んだ後の学びを生活に根づかせるには、生活に取り入れやすいツールやサービスを組み合わせると効果が高まる。

角田光代の作品と相性がいいアイテムを、いくつか挙げておく。

まずは読み放題サービス。長編や短編集をまとめて楽しみたいなら、

Kindle Unlimited

に登録しておくと、気になった作品を「試し読み」感覚でどんどん手に取れる。図書館感覚で積読が増えていく感じが、角田作品の読書マラソンと相性がいい。

耳で物語を味わいたい人には、

Audible

のようなオーディオブックサービスも心強い。家事や通勤のあいだに、『源氏物語』のような長い作品を少しずつ進めていくと、「忙しくて読めない」というストレスがかなり減る。

紙の本派なら、軽い電子書籍リーダーを一台持っておくと便利だ。分厚い『ツリーハウス』や『源氏物語』もかさばらずに持ち歩けるので、カフェや旅行先での読書がぐっと楽になる。

もう一つ、気分を上げてくれるのが猫モチーフのマグカップやブックカバーだ。『今日も一日きみを見てた』を読みながら、猫柄のカップでお茶を飲んでいると、それだけで少し世界がやわらかくなる。こういうささやかな「儀式」は、重たいテーマの作品を読むときほど効いてくる。

 

 

 

 

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まとめ

角田光代の小説を続けて読んでいると、「ふつう」に見える日常の底に、どれだけ多くの感情が沈んでいるのかを思い知らされる。母親であることの息苦しさ、恋愛のかっこ悪さ、仕事とお金に振り回される心、友人との距離感の難しさ――どの物語にも、自分のどこかの断面が必ず紛れ込んでいる。

一気に全作を読む必要はない。むしろ、そのときの自分の状態に合う一冊をそっと差し込んでいくと、数年単位で響き方が変わる作家だと思う。今の気分に合わせて、こんな選び方もできる。

  • 気分でさっと刺されたいなら:『愛がなんだ』『くまちゃん』
  • じっくり家族と向き合いたいなら:『八日目の蝉』『空中庭園』『森に眠る魚』
  • 長期戦で読み込みたいなら:『ツリーハウス』『源氏物語 上』
  • 少し呼吸を整えたいなら:『さがしもの』『今日も一日きみを見てた』

ページを閉じたあと、すぐには言葉にならない何かが胸の奥に残ってしまう。けれど、その違和感こそ、明日を少しだけ違うふうに生きてみようとする力になる。どの一冊からでもいいので、今の自分に近い人物を探すつもりで、角田光代の世界に入ってみてほしい。

FAQ

Q1. 角田光代を初めて読むなら、どの一冊がおすすめ?

家族ものが好きなら『八日目の蝉』か『空中庭園』、仕事やお金のテーマに興味があるなら『紙の月』、恋愛の痛さを味わいたいなら『愛がなんだ』から入ると、自分の好みと角田らしさの両方をつかみやすい。重たいテーマが少し不安なら、『さがしもの』や『キッドナップ・ツアー』のような柔らかめの作品から入るのもいい。

Q2. ドラマ・映画で見た作品と、小説版の違いはある?

『八日目の蝉』『紙の月』『坂の途中の家』『月と雷』など、映像化作品は多いが、小説版では登場人物の内面の独白がはるかに細かく描かれている。映像では分かりやすく整理されていた人物像が、小説ではもっと矛盾を抱えたまま存在していて、そのぎこちなさがむしろリアルに感じられるはずだ。ドラマや映画でストーリーを知っていても、小説で読むと別物として楽しめる。

Q3. 長編が多くて読む時間が取れない。うまく続けるコツは?

平日は短編集やエッセイで短く区切り、休日にだけ長編を進める、といった「読むリズム」を決めてしまうと続けやすい。移動時間や家事のあいだに耳で物語を聞きたいなら、

Audible

のようなオーディオブックサービスを一度試してみるのも手だ。学生なら、書籍やサービスがお得になる

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のようなプログラムを使って、気になった作品を少しずつ広げていくと、金銭的な負担も抑えられる。

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