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【バックパッカー必携】旅を描いたおすすめ本3選

「旅に病んで夢は枯野を駆け巡る」とは芭蕉の最後の句ですが、病床に伏してまで旅を夢見た芭蕉ほどではないにしても、旅にロマンを感じる人は多いのではないでしょうか。
本の世界でも実に多種多様な紀行文や物語が書かれています。
今回はそんな旅を描いた作品の中から、毛色の異なる3作品を紹介したいと思います。

 

『ガリバー旅行記』

ガリバー旅行記 (角川文庫)

ジョナサン・スウィフト

スウィフトの手による架空の旅行記です。
誰もが知っている作品だと思いますが、ガリバーが小人の国以外にも様々な国を訪れていることはあまり知られていない気がします。
ガリバーの訪問先には、例えばジブリ映画『天空の城ラピュタ』の元ネタにもなったラピュータや日本も含まれています。
ガリバーは他にも巨人の国や、不死者の住む国、知性を持った馬が治める国など、奇想天外な国々を歴訪します。
そしてこれらは、ただ単に奇想天外というだけでなく強烈な皮肉と諷刺を含んでもいます。
例えば小人たちの治めるリリパット国の政治状況は当時の英国のそれを反映したもので、リリパット国の大臣に関する描写は英国首相ウォルポールを暗に皮肉っています。
このように、実は全編にわたって皮肉なユーモアと諷刺にあふれた作品なので、歴史の勉強をしてから読むとより一層楽しめる作品です。
もちろん単純に奇妙奇天烈な旅行記として読んでも、驚きに満ちた面白い作品だと思います。
余談ですが、知性を持った馬が治めるフウイヌム国の話に登場する、人間によく似た野蛮な生き物ヤフーは、IT企業Yahooの由来にもなっています。
知っているようで意外と知らないガリバーの世界へ、みなさんも漕ぎ出してみてはいかがでしょうか?


『孤独な旅人』

 

孤独な旅人 (河出文庫)

ジャック・ケルアック

ビート作家の代表格、ジャック・ケルアックの作品です。ケルアック自身の体験を元に書かれた本作には、エッセイとも詩ともつかない不思議な魅力があります。
ケルアックというと、代表作の『路上』も旅を扱った作品で、本人も旅から旅へ生きた作家でした。『路上』はバックパッカーを大量に生み、ヒッピーが横行する60年代のアメリカ文化に多大な影響を与えた不朽の名作で、こちらもおすすめの一冊です。
また、「最初に思いついたのが最高の考え」という信条に基づき、猛烈なスピードでどんどんタイピングし一気に作品を書き上げてしまうという手法は、シュルレアリストたちが用いた自動筆記に通ずるものがあり、独特な詩的な文体を生み出すのに一役買っているように感じられます。
ただ、正直に言うとこの本は読みにくいです。一文が長く、慣れないうちは混乱すると思います。
しかしこの文体に慣れてくると、ケルアックの思考が直接流れ込んでくるかのような感覚になり、その詩的な表現、哲学性、独特のスピード感が病みつきになる一冊でもあります。
旅好きな人はもちろん、自己探求の途上で迷っている方などにも大いに感じるところがある作品だと思います。機会があったら手に取ってみてください。


『旅のラゴス』

旅のラゴス (新潮文庫)

筒井康隆

筒井康隆が描く不思議な旅の物語です。
SF的な世界観を持った作品ですがSF要素がメインというわけではなく、主人公ラゴスの生涯をかけた旅と成長が爽やかに描かれています。
ラゴスの人生は波乱万丈なものであるにもかかわらず、落ち着いた語り口のせいかどこか牧歌的な雰囲気があり、ゆったりと読むことが出来る一冊です。
序盤は主人公が不思議な世界を巡る冒険譚、といった雰囲気だったラゴスの旅は、物語世界の時間の進行や一人称の変化などを経て次第に人生そのものの隠喩のような様相を帯びていきます。
また、ラゴスにとって運命の女性とでもいうべきデーデの存在は物語にもう一つの軸を生み、この物語に印象的な奥行きを与えています。
ここには筒井康隆らしいドタバタ劇はありません。かわりに芯のある力強さとリリシズムを感じます。
読み終わった後しばらく余韻に浸っていたくなる、美しい物語です。
これから人生という長い旅を歩んでいかれるであろう学生さんには特におすすめしたい一冊です。

 

さいごに

以上、旅を描いた3作品。いかがでしたか?
ゲーテは「人が旅をするのは到着するためではなく、旅をするためである」という言葉を残しています。同様のことは読書にも言えるのではないでしょうか。人が読書をするのは結末を知るためでなく、読書をするためだと。
旅も読書も、一つの体験だと思います。今回紹介した本を体験し、楽しんでいただければと思います。

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