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【星新一 代表作 おすすめ】ショートショートだけじゃない! 星新一の作品3選

去年没後20年を迎えた星新一。読みやすい文体と意表をつくストーリー展開が魅力の作家でもあります。また、ショートショート(短編よりさらに短い小説)の草分けとしても知られ、SFを中心に1000編を越える作品を書いた巨匠でもあります。
今回はそんな星新一の作品の中から、ショートショート以外のジャンルも織り交ぜて三冊を紹介いたします。

 

『ボッコちゃん』

ボッコちゃん (新潮文庫)

星新一自らが選んだ50編が収録されたショートショート集です。
作者本人が選んだだけあってどの作品もとても面白く素晴らしい完成度で、"ショートショート"という極限まで無駄をそぎ落とした形式の冴えと、星新一自身の持つ個性を存分に堪能できる作品集です。
ちょっとした隙間時間に楽しむもよし、落ち着いた場所で一気に読むのもよし。一話が短いので気軽に読むことができます。
星新一のショートショートの醍醐味があじわえる、おすすめの一冊です。


『気まぐれ指数』

 

気まぐれ指数 (新潮文庫)

星新一といえばショートショートですが、実は長編も書いています。その中で個人的におすすめなのがこの『気まぐれ指数』。
ストーリーは物凄くご都合主義的にも感じる作品ですが、作中に溢れるポジティヴな雰囲気には抗いがたい魅力があります。
星新一らしい軽妙で少し皮肉なユーモアの面白さはもちろん、個性的な登場人物や長編ならではの二転三転するストーリーには読んでいて思わず夢中になってしまうこと請け合いです。
上手く構成された物語なので、この本は一気読みするとより一層楽しめると思います。


『人民は弱し 官吏は強し』

民は弱し 官吏は強し (新潮文庫)

この作品は星新一の中では少し異色な一冊かなと思います。伝記作品で、星新一の父について書かれた本です。
星新一らしい読みやすさはそのままに、明治・大正・昭和を駆け抜けたエネルギッシュな人物、星一の半生が描かれます。
特に前半の製薬会社を立ち上げてからの活躍ぶりには清々しい魅力を感じます。
しかし、表題にもあるように人民は弱く官吏は強い。星一は目覚ましい活躍をする反面敵も多く、やがて奸計にはまり権力によって潰されてしまいます。
星新一の作品はあまり不の感情が表に出てこない印象があるのですが、この本では登場人物の無念と共に作者自身の怒りも感じました。
伝記作品としても社会派の作品としても面白いですが、何より星新一を形作る要素にこういう側面があったのだと知り、本書を読んで以降は他の作品を読むにあたっても少し視点が変わった気がします。
また、同様に父を題材にした評伝『明治・父・アメリカ』もおすすめです。こちらは星一の前半生を描いたもので、明治の人のハングリー精神に驚かされるとともに、感動的でやる気の出る名著です。


星新一は生前、昔書いた作品の細かい点をを時代に合わせて書き直し続けていたそうです。それが星新一の魅力の一つ、読みやすさに繋がっているのかもしれません。
手軽に読めて面白い、意外性と軽妙なユーモアに溢れた星新一の世界は一度ハマると病みつきになりますよ!

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