カッパや鬼というと、人間を誘拐したり、襲ったりといったイメージが合って昔話の中でも、なかなか良いイメージはないですよね。
でも、そんな型にはまったやつばかりでもないんですよ。
そんなこれまでのイメージを覆すようなお話を紹介します。
『おっきょちゃんとかっぱ』
著・長谷川摂子
おっきょちゃんは、小さな女の子。裏の川で遊んでいたら「ほいほいほい」と呼ぶ声がして、赤い顔をしたこどもが、家の上に顔を出しました。
それは、かっぱのガータロでした。ガータ口は、おっきょちゃんに、おまつりのお客になれといいます。そこでおっきょちゃんは、ガータ口につれられ、水の中に入っていきました。
水底のかっぱのまつりはにぎやかで、なにもかもが、ゆらめいてきれい。おっきょちゃんは、さかなのかたちの水ぶえを買ってもらいます。
おっきょちゃんが河童たちと暮らした水底の幻想的な生活が、流れるような水彩画で描かれています。ふしぎな、少しこわいお話です。怪談にはちょっと早いけど、少し冒険したい年頃の子供にどうぞ。夏の読み聞かせに最適ですよ。
『かはたれ散在ガ池の河童猫』
著・朽木祥
河童の八寸はたったひとりで住んでいました。家族の河童たちは、外に出かけたきり帰ってこなかったのです。ある夏の日、八寸は河童の長老に、人間の世界に猫として出かけて修行をしてくるようにといわれました。
長老が「河畳猫の術」をかけると、八寸は小さな猫になりました。けっして水を浴びてはいけない、浴びたらもとのすがたにもどると、長老に固く注意を受けます。
明け方、八寸はこわごわ住宅地におりていきました。
舞台は鎌倉。ネコに化けた小さな河童と女の子の交流を、静かに描いています。
『かみなりのちびた』
著・松野正子
くもひこうきにのって七色の虹を目指すひろしは、かみなり子のちびたにつれられて、空の上までやってきました。これから、雲飛行機の競争がはじまります。
真っ青な空には、かみなりのこどもが乗ったしろい雲飛行機がならんでいます。ひろしも、ちびたが操縦する飛行機にのりました。ごろごろっとかみなりがなって、スタートです。
雲飛行機は、ずつとむこうの七色の虹を目指して飛びます。ひろしとちびたの、ゆかいな冒険がはじまります。
小さなかみなりの子ちびたが、突然ひろしの前に現れては、思いがけない事件を起こしたり、いたずらしたり。子どもの等身大の夢をかなえてくれる物語です。男の子の読みかせにオススメですよ。
人間から見たら怖い存在の彼ら、でも逆の立場に立ってみれば、人間の方こそ怖い存在なんでしょうね。
現代に生きる我々にとっても異文化コミュニケーションに当てはめてみれば納得できる部分もありますね。