2025-12-14から1日間の記事一覧
村田喜代子の小説を読むと、ふと耳の奥で古い風の音がする。日常の隙間に潜む気配や、人間の身体に刻まれた記憶が、ゆっくりと立ち上がってくる瞬間がある。老い、土地、夢、民俗。そのどれもが静かに、しかし強く読者の心を揺らす。まずは彼女の軌跡と世界…
森敦を読むなら、まずは『月山・鳥海山』から入るといい。雪深い山寺、放浪の記憶、仏教的な思索が静かに重なり、物語を追う読書とは別の時間が流れはじめる。この記事では、代表作、思想、長編、短編、人生の順に、森敦の文学へ沈んでいくための5冊を案内す…
三田誠広を読むなら、まずは芥川賞受賞作『僕って何』と、長く読み継がれる青春小説『いちご同盟』から入ると作家の核がつかみやすい。そこから空海、日蓮、親鸞、天海へ進むと、若者の痛みを書いていた作家が、宗教や歴史の中にある人間の迷いをどう見てい…
唐十郎を読むなら、最初に押さえたいのは小説の代表作『佐川君からの手紙』、演劇思想を知る『特権的肉体論』、街と舞台が溶け合う『下谷万年町物語』だ。唐十郎は、紅テントの熱気だけでなく、都市の裏側に沈む声、肉体にまとわりつく言葉、現実がふっと異…
官能的な小説のイメージが強い池田満寿夫だが、実際に本を並べてみると、小説よりむしろエッセイや美術書、料理本まで横断する「生き方の百科事典」のような顔が見えてくる。芸術、恋愛、美、食事、そのすべてを全力で楽しみ、同時に徹底的に疑い抜いた人間…
鈴木結生を読むなら、まずは芥川賞受賞作『ゲーテはすべてを言った』から入るのが自然だ。言葉、引用、創作、そして自分の人生をどう物語に変えるのか。その問いが、次作『携帯遺産』へ静かにつながっていく。 若さや受賞歴だけで片づけるには、鈴木結生の小…
安堂ホセを読むなら、まずは芥川賞受賞作『DTOPIA』から入り、作家の出発点である『ジャクソンひとり』、さらに暗い緊張が深まる『迷彩色の男』へ進むと流れが見えやすい。社会の痛みを説明で処理せず、読者の視線そのものを少しずらしてくる作家だ。 読む目…
朝比奈秋を読むなら、まずは芥川賞受賞作『サンショウウオの四十九日』から入るといい。身体、医療、自我の揺らぎという作家の核が、いちばん鮮やかな形で見えてくる。 ただし朝比奈作品は、ただ「難しい純文学」として身構える必要はない。自分の身体が本当…