大人から見ると、子供同士の仲間外れにするという行為は、なんてひどいんだろうと思うけど
子供の立場で考えてみると、そうでもしないと自分が当事者になってしまうとう意識があるのでしょう。
そんなときに救いになってくれるのが友達という存在なのですが、誰もが友達がいるとは限らないのです。
『島ひきおに』
著・山下明生
昔、海の真ん中の島に鬼が住んでいて、一人ぼっちで寂しがっていました。ある嵐の晩、沖を通りかかった漁船が遠くに光る鬼の目を引く家の光と見間違えて助けを求めて、鬼の島に行ったのです。
この話は作者山下明男さんの故郷広島県にある敷島という無人島にまつわる言い伝えをもとに作られています。作者自身が子供の頃、誰にも遊んでもらえず感じた孤独それがこのお話のベースになっていて、単なる民話ではない深みを感じることができるのでしょう。
『オットー 戦火をくぐったテディベア』
オットー―戦火をくぐったテディベア (児童図書館・絵本の部屋)
著・トミー・ウンゲラー
オットーはドイツの工場で生まれたテディベアです。デビットという男の子の誕生日プレゼントとしてもらわれ親友のオスカーと3人でいたずらしながら楽しく暮らしていました。
ある日ユダヤ人だったデビットは両親とともに強制収容所に送られてしまいます。オットーを託されたオスカーですが、ドイツが空襲を受けオットーは吹き飛ばされます。
離れ離れになったデビットとオスカー、戦場に投げ出されたオットーを待ち受けていた運命が、その後展開されるのです。
ヘビーな題材を扱っているにもかかわらずオットーのおとぼけな表情のおかげで、すっと物語に入っていけるのが不思議です。
『わたしのせいじゃない、せきにんについて』
著・レイフ・クリスチャンソン
一人の泣いている男の子、その後ろには14人の子供達、14人のうちの一人が言います。学校の休み時間にあったことだけど、私のせいじゃないわ。
次の一人が言います。始まった時のこと見てないからどうしてそうなったのか僕は知らない。
子供達が次々に男の子が泣いていることについて述べていきます。そして場面が変わり、黒いページに白い一文が書かれています。私のせいじゃない。
これはいじめに関わる子供たちの心理が描かれています。一人一人は皆自分のせいではないと思っていて何の責任も感じていません。
いじめ問題を考えるときに読むべき本ではないでしょうか。教師や教師を志す大学生に読んでほしいです。
SNSでのいじめなど、加害者側に当事者意識が薄れている昨今だからこそ
あらためて読まれるべき絵本なのです。