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ひとりぼっちの絵本・児童書

  大人になってからは、寂しさや孤独を紛らわす手段を学んだせいか、子どものころのほうが、孤独ときちんと向き合えていたような気がします。そして、その孤独の質も透きとおった美しさがあった気がします。無力でどうしようもなく周りに振り回される子どもだからこそ、その孤独を一心に受けていたのかもしれません。

そんな子どもの頃の自分を大人になった自分がケアしてあげるためにも、ひとりぼっちの寂しさやその根底にある甘美さを感じてみてください。

 

アリスの見習い物語

アリスの見習い物語

 カレン・クシュマン(著) (あすなろ書房)
 14世紀のイギリス農村地帯。身分階級のあった時代、名前も家も家族もいないひとりぼっちの少女がいました。悲惨な環境にも負けず、他人に優しく強い意志を持ちながらも自分を「アリス」と名づけて産婆見習いとして自分の居場所を築いていく物語です。泣いたり笑ったりすることもできず、ただ必死に毎日生き抜いてきた少女の健気さと強さ。過酷な運命に振り回され、何度もくじけそうになりながらも挫けない姿に勇気をもらえます。1996年アメリカニューベリー賞受賞作品。

 

ペギーのちいさな家

ペギーのちいさな家

 エレイン ミルズ(著) (セーラー出版)
 ひとりぼっちの木の人形、ペギー。木枯らしの吹くなか、家を探す旅にでます。どの家を訪ねても断られてしまいますが、あきらめずに家を探し続け、すももの木が植えてある小さな空き家にたどり着きます。そこで出会ったものは?折り返しページで家の断面図や間取り、家具、インテリア、暮らしている人形を見せてくれる仕掛けです。お人形遊びやドールハウスが好きな方にもおすすめの一冊です。

 

スタンリーとちいさな火星人

 

スタンリーとちいさな火星人

 サイモン・ジェームズ(著) (あすなろ書房)
 お母さんがお仕事にでかけてしまった日、ちいさなスタンリーはお留守番をしなくてはなりません。寂しさに耐えかねたスタンリーは火星に飛び立ってしまいます。代わりに現れたのはスタンリーそっくりの火星人の男の子。ワガママし放題の火星人が大騒ぎしているなか、お母さんが帰ってきたて・・・。共働きのご家庭にもおすすめの絵本。子どもらしい可愛らしさが微笑ましい一冊です。

 

 だれかといっしょにいるのが当たり前、ひとりぼっちは寂しいという風潮がありますが、ひとりで孤独を乗り越えてきたこそ、昔より少しは強くいられるのかもしれません。寂しさや孤独を知っている人は他人の痛みも分かるもの。孤独な記憶も大切にしてあげてくださいね。

 

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