母と娘というのは男の家族とはまた違った微妙な関係性があると言います。
仲が良かったり、悪かったり、付かず離れずの関係なのだそうですね。
そんな母娘の情景を描いた本をご紹介します。
『わたしのおかあさんは世界一びじん』
わたしのおかあさんは世界一びじん (ゆかいなゆかいなおはなし)
著・ベッキー・ライアー
ウクライナには、ひろいひろいこむぎばたけがあります。ワーリャのおとうさんも、おかあさんも、あさはやくから、はたけではたらいています。
ワーリャはまだ6さいの女の子ですが、いつも、大すきなおかあさんのそばで、こむぎのたばをしばるおてつだいをします。
ところがある日、はたけでうっかりねむってしまい、ワーリャはまいごになってしまいました。おかあさんのなまえをたずねられたワーリャが、「わたしのおかあさんは、世界一びじん!」とこたえたので、たいへんなことになりました。
ウクライナの昔ばなしをもとにしたこの話は、作者が幼いころに母親から聞かせてもらったものだそうです。画家は「エルマーとりゅう』の挿絵で知られる人で、1945年にアメリカで刊行されました。
母親なら娘からこんなこと言われてみたいですよね。女の子を持つ母親におすすめの本です。
『かあさんのいす』
著・ベラ・B・ウィリアムズ
そのお金で、大きないすをかうの。わたしのかあさんは、しょくどうのウェートレスをしてはたらいています。
かあさんは、かえってきたとき、きげんのいいときもあるけど、すごくつかれているときもあります。でも、うちにはゆっくりすわれるいすがありません。
かじでやけてしまったからです。だから、おばあちゃんとかあさんとわたしの3人で、大きなびんにお金をためています。
びんがいっぱいになったら、そのお金で、大きないすをかうのです。バラのもようがついていて、すごくふわふわで、すごくきれいで、すごく大きいいすを。
女の子の一人称で語られる家族の暮らしぶりはつつましいけど、思いやりと愛情にあふれています。読者も幸せな気持ちで満たされる、印象深い絵本ですよ。
『ラモーナとおかあさん』
著・ベバリイ・クリアリー
ラモーナは小さいから、なにもさせてもらえません。ラモーナは7さい半。むずかしい年ごろです。
おねえちゃんのビーザスはなにをしてもいいのに、ラモーナは、小さいからと、なにもさせてもらえないのです。
ラモーナが、こうしたらみんながよろこぶだろうなと考えてやったことは、みんなにみとめてもらえないし、考えなしにやってしまったことは、大そうどうをひきおこすし......。
おかあさんに「だいじなラモーナなしにはやっていけないわ」といってもらいたいのに、なかなかうまくいきません。
ラモーナを主人公にした物語は、「ゆかいなヘンリーくん」シリーズ全14冊のうち後半の7冊。前半に登場するラモーナはまだ4歳だったのに、最終巻の『ラモーナ、明日へ』では4年生に成長しています。
次女と母親との関係という当事者にとっては分かる分かる!と思わず言ってしまう本でしょう。妹という立場の人におすすめしたい本です。
すでに母親になった人も、これらの本を読むと娘時代を思い出して腑に落ちるシーンがたくさんあるでしょう。
たまには娘さんの気持ちになってみてもいいかもしれませんよ。