ほんのむし

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「当たり前の生活を一変してしまう戦争」について描かれた本

戦争は悪いもので、悲しく、悲惨なものだから防がなければならない。たしかに言葉ではその通りで否定のしようもないのだけれど
経験がないと、実感としてはなかなかしっくりこないものです。
そんな戦争体験のない人にも、ありありとその気持が伝わってくる3冊をご紹介します。

 

『せかいいちうつくしいぼくの村』

せかいいちうつくしいぼくの村 (えほんはともだち)

著・小林豊
ヤモは、アフガニスタンにすむ小さな男の子です。ヤモのすむ村は、春にはきれいな花でいっぱいになります。李や桜、梨の花です。夏には実った果物を、町まで売りにいきます。
ヤモは、はじめて、おとうさんとロバのポンパーと一緒に、さくらんぼを売りにいきました。にいさんは、戦争にいっていて、いっしょにいくことはできません。
戦争がおわって、にいさんが早く帰ってくるといいのに、とヤモは願っていました。
1980年ごろにはじまったアフガニスタン内戦で、500万人をこえる人びとが故郷を追われて難民となりました。著者が戦争のさなかに訪ねたアフガニスタンの村がモデルとなっています。

 

『さがしています』

さがしています (単行本絵本)

著・アーサー・ビナード
1945年8月6白、朝8時15分。広島に原子爆弾が落とされました。その時刻をさして止まったままの時計が、広島平和記念資料館にのこされています。原爆によって、一瞬のうちに持ち主をなくしてしまった「ものたち」。
お弁当箱、ワンピース、やかん、めがね、ビー玉、日記帳のこされた「ものたち」は、わたしたちに語りかけます。持ち主だった男の子や女の子、おねえさんやおとうさん。笑ったり泣いたり、食べたりしていた人が、そこに生きていたことを。
米国生まれの詩人が、平和記念資料館が所蔵する2万1000点もの遺品の中から14点を選び、それぞれの声に耳を傾け、ことばに紡いだ作品です。巻末に、カタリベとなった遺品についての詳しい解説と、作者のことばがついており、背景を理解することができるでしょう。

 

『ナム・フォンの風』

 

ナム・フォンの風 (あかね・ブックライブラリー)

著・ダイアナ・キッド
ナム・フォンは、ベトナム生まれの女の子。今はオーストラリアで、ベトナム料理店をしているおばさんと暮らしています。ナムはいつも心の中で、とうさん、かあさん、いもうととおとうとたちに、今どこにいるのと、呼びかけています。
ベトナムにいたとき、とうさんは兵士に連れていかれました。かあさんたちを残して、ナムはおじいちゃんと小さなボートに乗って、国を出てきました。おばさんが、今日もベトナムのフオー・スープをつくります。そのかおりがすると、ナムにはとうさんの笑い声が聞こえます。


ベトナム難民の少女ナム・フォンが、今の自分の生活となつかしいベトナムでの暮らしを語っている。涙を流すことも、話すこともできなかったナムが、次第に先生や友だちに心を開いていく様子がていねいに描かれて、共感をよぶ。

犠牲になっているのは、いつも市井の民衆なのですね。ではどうやったら戦争というものはなくなるのでしょう。
なくならないまでも防ぐことができるのでしょう。その問いの答えは容易にはでてきません、なにしろ現在でも世界のどこかでは争いが起こっているのですから。

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