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【自傷行為】理解と回復のためのおすすめ本10冊【自分を傷つけてしまう人へ/リストカット/心の回復】

自傷行為は、誰にも言えない痛みの表現だ。切る、叩く、燃やす——それらは「死にたい」ではなく「生きたい」と叫ぶ心の裏返しでもある。苦しみを言葉にできないとき、本は代わりに語ってくれる。この記事では、実際に読んで「救われた」「考え方が変わった」と感じた自傷行為関連の本を10冊紹介する。すべてAmazonで購入可能で、支援者にも当事者にも役立つ一冊ばかりだ。

 

 

おすすめ本10選

1. 自分を傷つけることで生きてきた 自傷から回復するための心と体の処方箋

 

 

生きるために、自分を傷つけてきた。そんな矛盾を抱える人に寄り添う“心の救急箱”のような一冊。感情の爆発や身体の緊張にどう向き合うか、呼吸や身体感覚を取り戻すための実践的ワークが豊富だ。読んでいるうちに、胸の奥でこわばっていたものが少しずつ緩んでいく。

印象的なのは「心と体は分離できない」という考え方。痛みを感じる身体が、実は“生きようとする証拠”なのだと気づかされる。感情を無理に抑えるのではなく、丁寧に受け止めるステップが具体的に書かれており、まるで優しい伴走者に寄り添われているようだ。

刺さる読者像:
・「やめたいのにやめられない」苦しみを抱えている人
・感情を言葉にできず、身体で表現してしまう人
・自分を責める癖を少しでも緩めたい人

読むほどに、「生き延びる力はすでに自分の中にある」と気づかされる。回復への第一歩を踏み出すための処方箋として、心からおすすめしたい。

2. 自傷行為の理解と援助 「故意に自分の健康を害する」若者たち

 

 

日本の自傷研究の第一人者・松本俊彦が、当事者にも支援者にも等しく語りかける決定版。「なぜ傷つけるのか」「どう支えるか」を、医学・心理学・社会学の視点から多面的に掘り下げる。難解な専門書ではなく、現場の痛みと誠実に向き合った“生きた知識”が詰まっている。

この本の核心は、「自傷は生き延びるための手段でもある」という一文だ。生きるために自分を痛めつけてきた人にとって、その視点は衝撃でもあり、同時に救いでもある。著者の臨床経験から導かれた「関わり方の技法」は、家族・教師・友人など支援者の立場にも深い洞察を与える。

刺さる読者像:
・専門家だけでなく、自傷に関わるすべての人
・「なぜあの子はやめられないの?」と悩む家族
・自分自身を理解したい当事者

読後に残るのは、「非難ではなく理解を」。一見冷静な語り口に、深い慈しみと希望が息づいている。

3. 自傷・自殺する子どもたち (子どものこころの発達を知るシリーズ 1)

 

 

小中高生など、発達段階にある子どもが「生きること」に行き詰まり、自傷や自殺を考えるとき——その背後で何が起きているのかを描いた一冊。発達心理学の観点から、家庭環境・学校ストレス・SNS・トラウマなど多層的な要因を丁寧に紐解いていく。

特に印象的なのは、子どもが「助けて」と言葉にできないまま行動で表現してしまう構造を解説している部分。怒りや無気力、攻撃性の裏にある「誰かに見てほしい」「存在を確かめたい」という切実な願いを、臨床事例を通して浮かび上がらせている。読みながら胸が痛くなるが、それ以上に「理解すれば希望はある」と感じられる。

刺さる読者像:
・子どもや生徒に関わる教師・スクールカウンセラー
・親として何ができるか迷っている人
・思春期の心理を理解したい臨床心理学の学生

この本は「守るために知る」という姿勢で貫かれている。現場で悩む大人にとって、希望と責任の両方を教えてくれる名著だ。

4. リストカット・自傷行為のことがよくわかる本 (健康ライブラリー イラスト版)

 

 

イラストと図解で、自傷行為の基礎・誤解・回復プロセスをやさしく整理した入門書。医療監修のもとで正確な情報を伝えつつ、「読むだけで責められない安心感」がある。表紙の柔らかい色合いに反して、内容は驚くほど核心を突いている。

特に心に残ったのは、「自傷は人を操作するための行為ではない」という説明。行為を“他人に見せるか否か”ではなく、“心が何を求めているか”で理解しようとする姿勢に共感した。苦しみを抱える本人だけでなく、周囲の人が読むことで関係性の修復にもつながる。

刺さる読者像:
・専門知識がなくても理解を深めたい人
・感情が整理できず混乱している当事者
・「支えたいけど、どう話していいか分からない」家族や友人

専門書より軽く読めるが、内容は決して浅くない。心が限界に近いときでも受け止められる“入り口の本”として最適だ。

5. 「自傷的自己愛」の精神分析 (角川新書)

 

 

「自分を愛せない苦しみ」がどれほど深いかを、精神分析の視点で静かに描き出す。自傷を“自己破壊”ではなく“自己確認”の試みとして捉え直し、人がどのように自分を罰し、また癒そうとするのかを探る哲学的な一冊だ。

読み進めると、「自分を傷つけたい」気持ちは、実は「自分を感じたい」「存在を確かめたい」欲求の裏返しだと分かってくる。理論書でありながら、語り口はどこか祈るように穏やかで、痛みに寄り添う言葉が続く。「自己愛」という難しいテーマを、救いと赦しの視点から描いているのが特徴だ。

刺さる読者像:
・感情の源を深く理解したい人
・他人との関係で“自分を消してしまう”人
・「自分を嫌う自分」を変えたい人

難解な理論の中に、確かな希望がある。読後には「私は私を傷つけずに生きてもいい」と、少しだけ思えるようになる。

6. もしも「死にたい」と言われたら 自殺リスクの評価と対応

 

 

「死にたい」という言葉ほど、聞く側の心を凍らせるものはない。何を言えばいいのか、どうすれば止められるのか、正解が分からず息を詰めてしまう。だがこの本は、その瞬間に立ち尽くす私たちに、具体的な“動き方”を教えてくれる。

精神科医・臨床心理士・ソーシャルワーカーなど、実際に自殺リスクと向き合う支援者たちの現場知から生まれた実践書。特徴は、「評価」と「対応」という二つの軸で構成されている点だ。危険度を見極めるためのアセスメント項目、自傷衝動の背景にある心理状態、そして適切な介入のタイミングが、明確に整理されている。

印象に残るのは、「聞く勇気を持つことが、救いの第一歩」というメッセージだ。多くの人は“触れてはいけない話題”として避けてしまうが、著者たちはそれこそがリスクを高めると警告する。話を聞き、評価し、繋ぐ——その流れを恐れずに作ることが、命を守る最前線だと伝えている。

この本を読んでいると、「支援」とは特別な資格を持つ人だけのものではないと感じる。友人でも、家族でも、職場の同僚でも、「あなたが気にしてくれている」と伝えることが最強の予防になるのだと気づかされる。難しい専門用語を避けつつ、現場のリアルが随所に書かれており、読後には「何もできない自分」ではなく「できることがある自分」へと意識が変わる。

刺さる読者像:
・家族・友人・同僚が「死にたい」と言った経験がある人
・支援職・教育職として対応の指針を求めている人
・自傷と自殺の境界を理解したい人

専門書としても優秀だが、それ以上に“人間の誠実さ”を取り戻させてくれる。死にたいほどの痛みに、静かに手を伸ばす方法を知りたいなら、必読の一冊だ。

7. 自傷行為治療ガイド(第2版)

 

 

もしあなたが支援者なら、この一冊はまさに「治療の地図」といえる。心理療法・行動療法・関係療法など、複数の治療モデルを統合的に整理し、「現場でどう介入するか」を段階的に解説している。第2版では最新のDBT(弁証法的行動療法)やトラウマインフォームドケアにも対応し、世界基準の知見が盛り込まれている。

本書の最大の魅力は、単なる技法書ではなく「関係性の治療書」であることだ。自傷を繰り返す患者に接する中で生じる怒り、無力感、恐怖といった支援者側の感情にも光を当て、どう自己調整すべきかを具体的に教えてくれる。つまりこれは、「支援者を支えるための本」でもあるのだ。

印象的な章として、治療初期の「安全確保」と「関係構築」を扱う部分がある。患者の“コントロール欲求”を敵視するのではなく、「自己防衛のための工夫」と捉え直す姿勢が貫かれている。その柔らかい視点が、支援の持続性を高めているように感じた。

また、事例の豊富さも特筆すべき点。年齢・背景・併存疾患が異なる複数ケースが紹介され、それぞれに最適な介入法が比較されている。読むほどに、「治療とは完璧を目指すことではなく、回復のリズムを共に見つけることだ」とわかる。

刺さる読者像:
・心理職・精神科医・看護師など支援専門職
・自助グループや相談員として関わる人
・当事者で治療の仕組みを知りたい人

臨床現場では定番の一冊だが、当事者が読んでも多くの気づきがある。自傷を「問題行動」ではなく「関係の再構築の試み」として見つめ直す、この本の哲学は、読むたびに胸に深く残る。

8. 自分を傷つけずにはいられない 自傷から回復するためのヒント(松本俊彦)

 

 

自傷行為というテーマに長年向き合ってきた精神科医・松本俊彦が、「やめたいのにやめられない」人たちに語りかける本。当事者の声、臨床の現場、そして著者自身の葛藤が一体となり、“共感の力”で回復を支える構成になっている。

冒頭の一文——「あなたが自分を傷つけてきたのは、生き延びるためだと思います」——がすべてを物語っている。読み進めるほどに、自傷行為が単なる“悪い癖”ではなく、“痛みの翻訳”であることが分かる。著者はその痛みを否定しない。むしろ、「その痛みがあなたをここまで生かしてきた」と、静かに承認する。

本書は治療マニュアルではなく、“一緒に考える本”だ。読者に答えを押しつけず、問いを投げかけ続ける。だからこそ、ページを閉じた後も長く心に残る。たとえば「なぜ傷つけたくなるのか」「どうすれば衝動をやり過ごせるのか」といった問いが、自分の中でゆっくり熟していく。

また、回復の過程を“階段”ではなく“波”として描く点も印象的だ。良い日も悪い日も、どちらも大切なプロセスとして受け入れる。この柔らかい視点は、完璧主義で自分を責めがちな人にとって救いになるだろう。

刺さる読者像:
・自傷行為を繰り返して苦しんでいる人
・支援を受けながらも自己否定が抜けない人
・心療内科に通う前にまず「理解されたい」と感じている人

この本を読んで救われたという声は多い。私自身も、「痛みを抱えていても、人は少しずつ変われる」と信じられるようになった。静かだが、確かな力をくれる一冊だ。

9. 自傷・自殺のことがわかる本 自分を傷つけない生き方のレッスン (健康ライブラリー イラスト版)

 

 

松本俊彦監修の人気シリーズ。カラフルなイラストと図解で、自傷・自殺のメカニズムから回復の実践までをやさしくまとめている。心理学の専門書に比べると軽やかだが、内容は驚くほど実践的で、読む人の心に深く寄り添う。

印象的なのは、「自分を傷つけない日を一日つくる」というワーク。大きな目標ではなく、“今日一日”をどう生き延びるかという具体的な視点を提示してくれる。読者に完璧を求めない姿勢が、この本の最大の優しさだ。

また、「なぜ周囲は理解してくれないのか」「どう話せば分かってもらえるのか」といった、当事者が最も苦しむテーマにも丁寧に答えている。家族や友人が一緒に読むことで、対話のきっかけを生み出せる設計になっている。

刺さる読者像:
・専門書はつらいけれど、正しい知識を知りたい人
・家族やパートナーの行動を理解したい人
・回復の初期段階にいる当事者

心が疲れているとき、難しい言葉は頭に入ってこない。この本は、そんな状態の人の手に自然と馴染む。読める日も読めない日も、そっと傍に置いておきたい「回復の入門書」だ。

10. アディクションとしての自傷 ― 「故意に自分の健康を害する」行動の精神病理

 

 

“やめたいのにやめられない”という矛盾の中で、自傷行為を「依存症(アディクション)」という枠組みから読み解いた本。痛みを伴う行為なのに、どこかで安堵する――そのサイクルを神経生理学的・心理的に説明しながら、回復のステップを提示する。専門的でありながら、当事者にも理解できる丁寧な語り口が特徴だ。

読み進めるほど、「依存」という言葉の奥にある人間的な苦悩が見えてくる。快感や苦痛ではなく、「制御の喪失」と「緊張緩和」を繰り返す構造。これはアルコールやギャンブルと同じ“神経回路の学習”として扱われているが、著者は決して機械的には語らない。むしろ、その反復の中に「生き延びようとする努力」が隠れていると説く。

印象的な章は、“再発”をどう受け止めるかという部分。著者は、「再発は失敗ではなく、理解の機会」と言い切る。自傷行為が長期的に続く人ほど、この言葉に救われるだろう。何度でもやり直せるという姿勢が、臨床現場だけでなく読者自身の心にも響く。

刺さる読者像:
・自傷を長年繰り返している人
・回復を“治療”ではなく“習慣の書き換え”として捉えたい人
・依存やアディクションの理解を深めたい心理職・医療従事者

この本を読むと、自傷の「やめられなさ」に意味が見えてくる。依存という枠は冷たいようでいて、実はとても人間的だ。理解することは、罪悪感を減らし、回復への扉を開くことに繋がる。

関連グッズ・サービス

本を読んで終わりではなく、「心の回復を生活に定着させる」ためには、少しの工夫とサポートツールが力になる。痛みを抱えながらも少しずつ前へ進むために、書籍と相性のよい関連サービスやグッズを紹介する。

  • Kindle Unlimited:紙の本を開く気力がないときでも、スマホやタブレットで少しずつ読めるのが救い。松本俊彦氏の著書を含め、心理・医療系の名著も多く配信されている。暗い夜、布団の中で数ページ読むだけでも「誰かが理解してくれている」と感じられる瞬間がある。
  • Audible:声で本を聴く体験は、思考の速度をゆるめてくれる。自分を責める気持ちが強いときも、ナレーターの穏やかな声が安心をくれる。疲れた夜にBGMのように流すだけでも、孤独感がやわらぐ。
  • セルフケアノート/ジャーナル:ワークや感情記録に役立つ。自傷衝動が高まったときに「いま感じていること」を書き留めるだけで、少し距離を取れる。書くことで心の流れを“見える化”し、自己理解が進む。
  • 温感グッズ・アロマ・ブランケット:体温を取り戻すことは、心の安定にもつながる。痛みの代わりに「温かさ」を感じる体験を、日常の中に取り入れたい。お気に入りのブランケットを抱えるだけでも、“自分を大切にする時間”が生まれる。
  • 専門家とのオンライン相談:本を読んで心が動いたあと、次のステップとして心理士や精神科医に話すことで理解が深まる。最近はオンライン相談や夜間対応のチャット支援も増えており、「外に出られない日」でも助けを得られる環境がある。

 

 

本とツールを組み合わせることで、読書体験が“生きる実践”に変わっていく。無理をせず、自分のペースで始めよう。

まとめ:今のあなたに合う一冊

自傷行為の本は、読む人の状態によって響き方が変わる。衝動が強いとき、落ち着いているとき、支援者として向き合うとき——どのフェーズにも合う本がある。今回紹介した10冊は、理解から回復までの“地図”のような存在だ。

  • 気軽に読みたいとき:『自傷・自殺のことがわかる本 自分を傷つけない生き方のレッスン』
  • 深く理解したいとき:『自傷行為の理解と援助』
  • 心の寄り添いを求めているとき:『自分を傷つけずにはいられない』
  • 支援や治療を学びたいとき:『自傷行為治療ガイド(第2版)』
  • 理論と哲学を掘り下げたいとき:『「自傷的自己愛」の精神分析』

どの本を選んでも、共通して伝えているのは「あなたは独りではない」ということだ。痛みの記憶は消せないが、意味を変えることはできる。本を通じてその道を少しずつ歩いていけたら、それ自体が“回復の証”だ。

本を読むことは、誰かに頼る最初の一歩でもある。言葉が届く瞬間を信じて、自分を少しだけゆるめてほしい。

よくある質問(FAQ)

Q1: 自傷行為に関する本は、読んでつらくなることはない?

A: 正直に言えば、心がざわつくこともある。体験談や臨床例に触れると、過去の痛みがよみがえるからだ。読むときは「安全な時間と場所」を選び、途中で休むことを前提にしていい。本を閉じることは逃げではなく、セルフケアの一部だ。

Q2: 自傷と自殺は同じもの?

A: 違う。自傷は多くの場合「死にたい」よりも「生き延びたい」ための行為だ。ただし境界はあいまいで、自傷が自殺企図に発展することもある。だからこそ、早期の理解と支援が重要になる。本書で紹介した松本俊彦氏らの著作は、その線を正確に整理してくれる。

Q3: 家族や友人が自傷している場合、どうすればいい?

A: 無理にやめさせようとせず、まず「話してくれてありがとう」と受け止めること。行為を止めるより、孤立を防ぐことのほうが先決だ。必要に応じて医療・相談窓口につなげるサポートを。支える側も消耗するので、支援者自身のケアも忘れずに。

Q4: KindleやAudibleで読んでも効果はある?

A: もちろんある。むしろ疲れているときは、電子書籍や音声で「受け取るだけ」にする方が良い場合も多い。文字を追うことすらつらい夜には、声で語りかけてくれる本が支えになる。

Q5: 自傷をやめたい気持ちはあるけど、支援を受けるのが怖い

A: それも自然な感情だ。支援は“診断される場所”ではなく、“理解してもらう場所”だと考えてほしい。話すことに慣れていないなら、まずは本の中で「誰かの言葉」を借りてみよう。やがてその言葉が、自分の声になる。

「生きるのがつらい」と感じる日々の中で、本は静かな灯りになる。 どんな状態にいても、あなたの痛みを理解しようとする言葉が、必ずどこかにある。 焦らず、少しずつ。その灯りを探す旅に出てほしい。

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症状や悩みは人それぞれだが、関連するテーマをあわせて読むことで理解が深まる。

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