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【医療心理学おすすめ本】仕事でも“本当に役立った”書籍20選【チーム医療/安全文化/行動変容】

この記事買える「医療心理学」の本を20冊紹介する。公認心理師カリキュラム準拠の基礎書から、医療安全・行動変容・認知症支援・行動経済学・ケアの人類学まで、現場で使える視点に絞ってレビューする。自分はこれらで〈患者−家族−医療者〉の三者関係を言語化でき、面接・カンファレンス・説明資料の質が上がった。

 

 

おすすめ本10選

1. 健康・医療心理学 入門 ―― 健康なこころ・身体・社会づくり(有斐閣アルマSpecialized)

 

 

医療心理学を「予防・医療・コミュニティ」の三面から要点整理した定番の入門だ。疫学・健康行動・ストレス−健康モデル・コミュニティ心理まで地続きで読めるため、医療と保健の橋が最短距離で繋がる。章の構成が明快で、学生の講読から研修の共通テキストまで幅広く使える。自分はここで“患者だけでなく地域を支援対象に入れる”視点を定着できた。

刺さる読者像:医療現場に入る前の地図が欲しい/保健師・医療ソーシャルワーカー・心理職の共通言語を作りたい/授業や新人研修の母体が欲しい。

2. 健康・医療心理学:ウェルビーイングの心理学的支援のために(公認心理師の基本を学ぶテキスト16)

 

 

公認心理師の必修科目を射程に、ストレス−疾病、医療現場の心理社会的課題、保健活動までを整理。評価・介入・連携の要点が“現場の場面”で描かれており、実装に直結する。ウェルビーイングを結果ではなく過程として扱う姿勢が強みだ。

刺さる読者像:国試対応と実務の両方を一冊で押さえたい/院内で「心理の役割」を説明する言語が欲しい。

3. 公認心理師カリキュラム準拠 健康・医療心理学 第2版

 

 

チーム医療・依存症の章が強化された改訂版。国試の網羅性と、病棟で役立つ実践項目のバランスがよい。ケースの流れに沿って〈評価→方針共有→介入→フォロー〉が見えるため、カンファレンスの準備に使いやすい。自分は面接メモを本書の見出し準拠にしただけで、多職種共有がスムーズになった。

4. 認知行動理論で考える健康・医療心理学――治療から予防まで、心理学を医療現場に応用する

 

 

認知行動理論(CBT)の枠で、慢性疾患の自己管理、服薬アドヒアランス、痛み、不眠、緩和ケア支援などを横断。心理教育→セルフモニタ→行動活性→問題解決の骨格が、“医療現場の場面”に具体化されている。看護・リハ・薬剤・医師との共有にも適した実践書だ。

刺さる読者像:疾患教育と面接をつなげたい/予防・行動変容の設計を学びたい/退院後のセルフケアまで視野に入れたい。

5. 医療の質・安全を支える心理学――認知心理学からのアプローチ(日本心理学会 心理学叢書)

 

 

インシデントの背後にある〈注意・記憶・判断〉の特性を、医療安全の文脈で解説。チェックリストやダブルチェックを“人への要求”ではなく“認知特性に沿った設計”として再解釈できる。ラベリングや引継ぎの言語設計まで踏み込むのが実務的だ。ヒューマンエラー対策の研修テキストにも最適。

6. 認知症に心理学ができること――医療とケアを向上させるために(日本心理学会 心理学叢書)

 

 

診断・医療、支援・ケア、保健・医療の三部構成で、認知症支援を多面的に描く実務派の総覧。非薬物療法、家族支援、BPSD対応、地域連携の設計までカバーし、院内外の連携にそのまま使える。自分は家族向け説明の図版を拝借し、理解の齟齬が減った。

7. 医療現場の行動経済学――すれ違う医者と患者

 

 

医師・患者双方の認知バイアスを見取り図にし、診療の意思決定を“設計課題”として扱う。説明のフレーミング、選択肢の並べ方、時間割引、ナッジの是非といった論点が、具体な診療場面に着地している。インフォームド・コンセントの質を上げたいチームに刺さる。

8. ケアをすることの意味――病む人とともに在ることの心理学と医療人類学

 

 

アーサー・クラインマンの古典。臨床面接を“病いの語り(illness narrative)”として再定義し、診断名の背後にある生活世界を取り戻す。心理学と医療人類学の交差点に立つ本書は、問診・家族面談・倫理カンファに効く“姿勢”をくれる。ケアを技法でなく関係構築として捉え直せる。

9. 病気のひとのこころ――医療のなかでの心理学(心理学叢書)

 

 

身体疾患から精神疾患までを視野に、医療現場の心理職の活動と患者理解の基礎をコンパクトに提示。症状・治療・生活の三層で支援を組み立てる姿勢が徹底しており、はじめての病棟実習にも心強い。章末のまとめがそのままメモとして機能する。

10. 健康・医療心理学(保健と健康の心理学標準テキスト)

 

 

健康心理・医療心理の基本概念を、保健の視点から分かりやすく束ねたテキスト。予防—医療—地域の循環を見通せる配置で、看護・保健・心理の“共通土台”になる。図表が豊富で、研修資料の素材としても重宝する。

エビデンスの主流からは外れる“タイプ論”。チームの雑談や自己理解のきっかけとしては使えるが、診療・支援の判断根拠にはしない前提で。あくまでコミュニケーションの“導入話題”として限定活用をすすめる。

11. 新版 医療と健康のための心理学

 

 

医療・保健・福祉を横断して、健康行動・ストレス・対人援助・地域連携を一枚の地図に載せ直す総合入門だ。最新の健康決定要因(社会的要因、格差、ヘルスリテラシー)と、個人支援のスキル(心理教育、動機づけ、自己効力感)を同じ温度で扱うので、臨床と公衆衛生を行き来する“視点の切替え”が身につく。図版が使いやすく、院内研修のスライド母体としても優秀。読後は、病室内の介入と地域での予防を“同じ言語”で設計できるようになる。

刺さる読者像:初学者/異動直後の多職種/保健医療の横断を整理したい教育担当/院内の共通テキストを探す人。

12. 医療心理学の新展開:チーム医療に活かす心理学の最前線

 

 

“心理の出番”を最新の医療現場に合わせてアップデートする論集。ケース・フォーミュレーションの共有、ICT活用、アウトリーチ、依存・身体合併、緩和ケアなど、実装課題に切り込む。
ポイントは〈評価→仮説→介入→再評価〉の循環を、多職種で同じフォーマットに落とす設計が随所に示されること。院内の運用改善ミーティングで、そのまま議題化できる具体性がある。

刺さる読者像:医療現場の“今”に合わせた心理業務を再設計したい/フォーミュレーション共有の型を探すチーム。

13. 基礎から学べる 医療現場で役立つ心理学

 

 

診療の“場面”を起点に、評価・介入・記録・連携の手順を具体化する実務テキスト。患者教育の言い回し、セルフモニタの導入、面接の地雷回避、家族への説明など“明日使う”項目が並ぶ。巻末のチェックリスト群が秀逸で、新人の行動指針として強い。面接記録のテンプレも実用的で、多職種間の情報共有が滑らかになる。

刺さる読者像:初配属の心理職/看護・リハ・MSWで心理視点を取り入れたい人/OJT台本を作りたい教育担当。

14. ポテンシャル健康・医療心理学(テキストライブラリ心理学のポテンシャル 9)

 

 

各トピックの“いま”を掴む展望型テキスト。慢性疾患の行動変容、医療者のバーンアウト、オンライン支援、地域包括ケアなど、論点の見取り図が短距離で得られる。深掘りは参考文献に回しつつ、まず議論の土台をそろえるのに最適。学部〜院生のゼミ素材としても機能する。

刺さる読者像:最新テーマの索引が欲しい/研究計画の背景づくり/院内の勉強会で“論点だけ”素早く共有したい。

15. 医療系のための心理学(KS心理学専門書)

 

 

医学生・看護・薬学・リハ向けに、感情・動機づけ・学習・対人の“医療で使う部分”を抽出した基礎書。一般心理の膨大さを適量に仕立て直しており、非心理職でも読み切れる。用語の定義が手堅いので、院内での“言葉の食い違い”が減る。実習前の教養固めにも好適だ。

刺さる読者像:非心理職の橋渡し入門/共通言語づくり/新人の速習パックを整えたい部署。

16. 医療系のための臨床心理学(KS心理学専門書)

 

 

面接・心理検査・支援技法・チーム連携を“医療の現実”に合わせて要点化。依頼・コンサルテーションの作法、守秘と共有の境界、紹介・逆紹介の手順など、現場でつまずきやすい“間”の扱いが丁寧だ。心理職に何を頼むかが明確になり、依頼文の質が上がる。

刺さる読者像:院内で心理職と協働する非心理職/依頼書・紹介状の質を上げたいチーム/コメディカル教育担当。

17. 公認心理師必携 精神医療・臨床心理の知識と技法

 

 

制度・法・連携・主要技法を要点主義で束ねた横断ハンドブック。急性期・慢性期・地域移行で必要な“最低限の実務知識”が1冊に収まる。オンコール前に確認したい項目がまとまっており、現場の“困った”に強い。院内説明の根拠確認にも便利だ。

刺さる読者像:当直・急配時に頼れる一冊が欲しい心理職/横断的に動く医師・看護師・MSW。

18. 医療心理学(著:忠井 俊明)

 

医療心理学

医療心理学

  • 星和書店
Amazon

 

現場の息づかいを保ちつつ理論を通す、語りに芯のある専門書。評価—介入—連携の“間”にある関係調整、倫理、語りの丁寧さが全編に貫かれる。症状だけを相手にせず、生活世界と病いの意味に寄り添う姿勢が手に入る。若手の壁を超える“考え方の型”が得られるはずだ。

刺さる読者像:ケースの“見立てと言語化”を磨きたい/中堅の学び直し/新人指導の語彙を増やしたい。

19. 医療心理臨床実践―「こころ」と「からだ」「いのち」を支える(心の専門家養成講座6)

 

 

周産期、慢性疾患、終末期、救急など“難所”での心理援助を具体に描く実践記述集。倫理・家族支援・多職種協働の勘どころが、一貫して臨床の言葉で語られる。ケースに沿って〈評価→共有→介入→振り返り〉の線が見えるため、ケース会議の進め方が自然に整う。

刺さる読者像:重症度の高い現場に入る/緩和ケア・周産期・救急の心理支援を強化したいチーム。

20. ケア―語りの場としての心理臨床 看護・医療現場での心理的支援

 

 

看護と心理の境界に“語りの場”をつくる実践思想。問診の深め方、沈黙の扱い、家族の声の拾い方、スタッフケアなど、ケアの現場で起こる微細な相互行為を、ていねいに言語化する。診断名優先の場に〈病いの語り〉を差し込むための技法と態度が得られる。カンファで“語りの共有”を導入するだけで、支援の質が変わるはずだ。

刺さる読者像:看護×心理でチームを強くしたい/家族面談の質を上げたい/倫理カンファの台本を磨きたい。

健康心理学と医療心理学の違い(使い分けガイド)

どちらも「こころ―からだ―社会」の相互作用を扱うが、健康心理学は“予防・増進(一次予防〜三次予防を含む広い生活圏)”医療心理学は“医療システム内での評価・介入(診断・治療・連携)”に重心がある。重なりは大きいが、ターゲットと評価指標が異なるため、現場では意図的に使い分ける。

観点 健康心理学 医療心理学
主な目的 健康増進・疾患予防・行動変容・ウェルビーイングの向上 診療過程の支援・心理査定・治療アドヒアランス・医療安全・チーム連携
主な対象 一般市民・地域・学校・職域・患者家族を含む広域 患者・家族・医療者(病院/診療所/在宅)
活動の場 地域保健・産業保健・学校・行政施策・企業の健康施策 外来・病棟・救急・周産期・緩和・リハ・在宅医療
典型テーマ 生活習慣(運動/睡眠/食/禁煙)、ストレス対処、健康リテラシー 疼痛・不眠・緩和ケア、せん妄/BPSD、服薬遵守、インフォームド・コンセント
主要アプローチ 行動科学・健康行動モデル・ナッジ・コミュニティ心理 心理査定(面接/尺度)、認知行動療法、ケース・フォーミュレーション、医療人類学
評価指標 行動指標(歩数/禁煙率)、主観的健康感、欠勤率、集団指標 症状尺度、機能・QOL、再入院/在院日数、同意の理解度、インシデント率
連携相手 保健師・産業医・学校/自治体・企業人事 医師・看護師・薬剤師・リハ・MSW・地域包括支援

現場での使い分け(具体例)

  • 禁煙支援:地域講座での動機づけ・環境設計=健康心理学/入院中の周術期禁煙プログラムと退院後フォロー=医療心理学。
  • 糖尿病:職域の食・運動の習慣化=健康心理学/外来でのアドヒアランス支援・血糖自己監視のセルフモニタ導入=医療心理学。
  • 睡眠:学校での睡眠衛生教育=健康心理学/入院患者の不眠に対するCBT-i導入=医療心理学。
  • 説明と納得:健診や予防接種の受診勧奨のフレーミング設計=健康心理学/治療方針の意思決定支援(ACP・IC)=医療心理学。

学ぶ順序の目安

  1. 健康心理学で“行動変容の基礎”(実行意図・セルフモニタ・環境デザイン)を押さえる。
  2. 医療心理学で“診療の文脈”(査定→方針共有→介入→評価/医療安全/チーム連携)に当てはめる。
  3. 両者を往復し、個人→家族→地域へと射程を広げる。

よくある混同と対処

  • 混同:「健康教室のスライドを病棟教育に転用」→ 対処:病態・薬理・リスク説明を追加し、IC文書と整合させる(医療心理学の要件)。
  • 混同:「病棟でナッジだけ」→ 対処:フォーミュレーション(仮説)と評価指標を必ずセットに。ナッジは補助輪。

要するに、健康心理学=“広い生活圏での行動設計”医療心理学=“診療プロセスに統合された心理支援”だ。記事の20選は両輪で選んでいるので、基礎(健康)→実装(医療)→往復の順で読むと、現場の改善に直結する。

 

健康心理学について詳しく学ぶには下記記事を読んでほしい。

www.bookbug.jp

 

 

関連グッズ・サービス

読んだ知識を“現場で回る仕組み”にするには、音声・電子・紙を組み合わせて〈学ぶ→実装→ふり返る〉を固定化するのが近道だ。以下は相性がよかった組み合わせだ。

  • Kindle Unlimited ― 医療安全、行動変容、ケア人類学など周辺分野を横断読みできる。ハイライトの一括検索で“定義のズレ”を素早く是正できた。
  • Audible ― 通勤・当直明けの耳時間を“復習枠”に変える。医療安全やナッジの章を繰り返し聴くと、カンファで自動的に想起できる。
  • Kindle Paperwhite 

    ― 章ごとの要点をハイライト→院内メモに転記→症例検討で参照、の流れが速くなる。外来や病棟で引用元の確認も容易だ。

小技:退院指導や家族説明のテンプレに〈If-Then実行意図〉と〈観察ポイント〉を固定欄として追加すると、遵守率と再来時の対話の質が上がる。

まとめ:今のあなたに合う一冊

医療心理学は「科学的根拠×臨床の語り×チーム設計」の三本柱で立つ。20選の中から、目的別に最短ルートを置いておく。

  • まず地図を作るなら:『健康・医療心理学 入門(有斐閣アルマ)』『公認心理師カリキュラム準拠 健康・医療心理学 第2版』
  • 行動変容をすぐ実装するなら:『認知行動理論で考える健康・医療心理学』『基礎から学べる 医療現場で役立つ心理学』
  • 医療安全・意思決定を強化するなら:『医療の質・安全を支える心理学』『医療現場の行動経済学』
  • “病いの語り”を取り戻すなら:『ケアをすることの意味』『病気のひとのこころ』
  • 多職種の共通言語を整えるなら:『新版 医療と健康のための心理学』『医療系のための臨床心理学』

今日の一手は、あなたの部署の説明用紙や引継ぎメモを一枚だけ更新することだ。選択肢の利点・不利点を対称に書き、次回までの観察ポイントを1行で添える。小さな設計変更が、患者・家族・チームの納得を底上げする。

よくある質問(FAQ)

Q: 健康心理学と医療心理学の違いは?

A: 健康心理学は予防・増進を中心に“生活圏の行動設計”を扱い、医療心理学は診療プロセスに統合された“評価・介入・連携・安全”を扱う。禁煙を例にすると、地域講座の設計は前者、周術期禁煙プログラムの運用は後者だ。

Q: 医療安全に心理学は本当に効く?

A: 効く。注意・記憶・判断の限界に合わせて手順・UI・言語を設計すると、ヒューマンエラーが系統的に減る。ダブルチェックは“怠慢対策”ではなく“認知設計”と捉えると実装が進む。

Q: 行動変容が続かない。何から直す?

A: ①If-Thenの実行意図を必ず書く、②セルフモニタの記録物を決める、③1週間後の“取り出し質問”を予約に組み込む。三点を固定すると遵守率が変わる。

Q: 家族説明のコツは?

A: 病名より先に“生活の困りごと”を1行で言語化し、選択肢は利点・不利点を対称に提示。最後に「次回までの観察ポイント」を箇条書きで渡す。納得の質が上がる。

Q: チーム医療で心理職の役割をどう見せる?

A: 面接メモと症例検討を〈症状・治療・生活〉の三層で書き、仮説(フォーミュレーション)→介入→評価の線で共有する。何を変え、どう測るかが一枚で伝わる。

Q: 勉強会を始めたい。最小構成は?

A: 60分で、ミニ講義10分→院内資料の“言語リライト”演習20分→自部署の一カ所だけルール改定10分→翌週フィードバック20分。改善は“小さく・確実に循環”させるのがコツだ。

――以上。必要なら、院内配布用のテンプレ(If-Then実行意図欄付きの退院指導紙、SBARベースの引継ぎメモ、1枚フォーミュレーション)も用意する。読んだ瞬間に一歩変える。それが医療心理学の最短学習法だ。


補足:実際にやった院内勉強会 5回シリーズ例(60–90分×5回)

下記は本記事の「全20選」と直結した構成だった。
各回とも〈目的→事前読書→当日メニュー→現場実装課題→評価指標〉の順で運用していた。もし同様の会をする場合は参考にしていただけたら。

第1回:医療安全(認知設計とコミュニケーション)

  • 目的:ヒューマンエラーを“怠慢”ではなく“認知特性”として捉え直し、手順・言語・UIを設計する。
  • 事前読書:5『医療の質・安全を支える心理学』/7『医療現場の行動経済学』/11『新版 医療と健康のための心理学』(安全文化の章)/10『健康・医療心理学(標準テキスト)』
  • 当日メニュー:
    • ミニ講義(15分):注意・記憶・判断の限界/ダブルチェックの設計原理
    • 演習A(20分):実在インシデントをSBARで“言語再設計”
    • 演習B(20分):投薬ラベル&引継ぎメモの“誤読削減”リライト
    • 合意(10分):明日からのチェックリスト更新点を3項目
  • 現場実装課題:自部署の「ダブルチェック手順」を1カ所だけ改定し、1週間データを取る。
  • 評価指標:インシデント/ヒヤリ比、情報欠落率、当直後の再確認率

第2回:行動変容(治療から予防まで)

  • 目的:服薬・自己管理・生活習慣の“続く設計”を、認知行動理論と将来記憶で組み立てる。
  • 事前読書:4『認知行動理論で考える健康・医療心理学』/1『健康・医療心理学 入門』/13『基礎から学べる 医療現場で役立つ心理学』/15『医療系のための心理学』
  • 当日メニュー:
    • ミニ講義(10分):実行意図・セルフモニタ・問題解決の基本線
    • 演習A(25分):退院指導パンフを「If-Then+観察ポイント」入りにリライト
    • 演習B(20分):慢性疾患ケースのフォーミュレーション(機能分析→介入選択)
    • 合意(10分):退院後フォローの電話/外来での“取り出し質問”を定型化
  • 現場実装課題:担当患者3名に「実行意図ワーク」を導入し、1週後の遵守率を記録。
  • 評価指標:服薬アドヒアランス、自己記録提出率、再入院/救外受診の短期指標

第3回:認知症ケア(病いの語りとBPSD対応)

  • 目的:診断名の背後の生活世界をチームで共有し、BPSDを関係・環境・意味づけから再設計する。
  • 事前読書:6『認知症に心理学ができること』/8『ケアをすることの意味』/9『病気のひとのこころ』/19『医療心理臨床実践』
  • 当日メニュー:
    • ミニ講義(10分):BPSDの機能分析/家族支援の要点
    • 演習A(25分):ケースの“困りごと”を〈行動・引き金・結果〉で可視化
    • 演習B(20分):家族向け説明文を「生活の困難→対応→次回までの観察」にリライト
    • 合意(10分):病棟の刺激・環境調整の即日変更1件を決める
  • 現場実装課題:1症例で〈観察→仮説→介入→再評価〉を1サイクル実施し、記録を共有。
  • 評価指標:夜間不穏の頻度、身体拘束ゼロ継続日数、家族満足度コメント

第4回:終末期ケア(意思決定支援とチームの持続可能性)

  • 目的:価値観の共有・意思決定・グリーフを、心理学とケアの語りで支える枠を整える。
  • 事前読書:19『医療心理臨床実践』/8『ケアをすることの意味』/9『病気のひとのこころ』
  • 当日メニュー:
    • ミニ講義(10分):意思決定のフレーミング/後悔最小の提示法
    • 演習A(25分):ACP面談の台本づくり(価値観→選択肢の対称提示→“次回までの観察”)
    • 演習B(15分):スタッフケアのミニ・デブリーフ(心理的負荷の言語化)
    • 合意(10分):病棟のACP記録様式に“価値観抜粋”欄を追加
  • 現場実装課題:今月のACP面談で「価値観→選択肢の利点・不利点対称提示」を実施し記録。
  • 評価指標:家族の理解度(NRS)、治療方針の後戻り件数、スタッフバーンアウト指標の簡易チェック

第5回:ケース・フォーミュレーション(共有可能な見立て)

  • 目的:〈問題→仮説→介入→評価〉の線を、多職種が同じ紙面で共有できる“型”にする。
  • 事前読書:12『医療心理学の新展開』/3『公認心理師カリキュラム準拠 健康・医療心理学 第2版』/13『基礎から学べる 医療現場で役立つ心理学』
  • 当日メニュー:
    • ミニ講義(10分):フォーミュレーションの要素と合意形成
    • 演習A(30分):実症例で“1枚フォーミュレーション”(生物・心理・社会・環境)を作成
    • 演習B(15分):KPI(行動指標・納得指標)の設定とレビュー頻度の合意
    • 合意(10分):来月からの症例検討フォーマットを決定
  • 現場実装課題:次回症例検討から新フォーマットを適用し、改善点を3週間後にフィードバック。
  • 評価指標:症例検討の所要時間、アクションアイテム実行率、部署間の共有スピード

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