国際関係論を学び直したいと思っても、理論から入るべきか、歴史から読むべきか、安全保障や日本外交まで広げるべきかで迷いやすい。そんなときは、まず全体像をつかめる入門書を土台にして、理論と歴史を往復しながら、制度や安全保障へ伸ばすと流れが崩れにくい。世界のニュースが断片ではなく、ひとつの地図の上でつながって見えてくる。
- 読む目的別の入り方
- 国際関係論は、世界の出来事をつなぐための学問だ
- 読む順の目安
- 入門から全体像をつかむ本
- 理論を固める本
- 歴史と外交史を入れる本
- テーマ別に深める本
- 関連グッズ・サービス
- まとめ
- FAQ
- 関連記事
読む目的別の入り方
- まず全体像をつかみたいなら、1→4→6→12の順が入りやすい。理論用語だけに埋もれず、国際関係論の輪郭が見えてくる。
- 理論からきっちり入りたいなら、1→7→9→10→11が向く。学派の違いと論じ方の型が、少しずつ身体に入っていく。
- 安全保障や日本外交まで現実の問題に接続したいなら、4→14→16→18→20で読むと、抽象論と現場感覚の距離が縮まる。
国際関係論は、世界の出来事をつなぐための学問だ
国際関係論という名前から、国家同士の駆け引きだけを扱う分野だと思われがちだが、実際にはもっと広い。戦争と平和、貿易と金融、国際機構、環境、人権、難民、日本外交まで、国境をまたいで起きる出来事をどう理解するかを考える学問だ。リアリズムやリベラリズムのような理論は、その複雑な現実を読むためのレンズにあたる。ただ、理論だけを追うと乾いてしまうし、歴史だけを読むと整理の軸を失いやすい。だから独学では、全体像の見取り図、理論の骨組み、歴史の時間軸、日本や安全保障の具体論を、少しずつ重ねていくのがいちばん強い。国際関係論の勉強が進むと、日々のニュースが単発の事件ではなく、長い歴史や制度の延長として見えてくる。その感覚がつかめると、読み物としても一気に面白くなる。
読む順の目安
最短で筋道をつかむなら、1「国際関係論入門」→4「グローバル社会の国際関係論 新版」→6「国際政治学をつかむ 新版」→9「国際関係理論 第2版」→12「国際政治史〔新版〕」→14「戦後日本外交史 第3版補訂版」→16「国際機構 新版」→17「国際政治経済学[第2版]」の順がきれいだ。最初の3冊で地図をつくり、4冊目で理論の芯を入れ、5冊目以降で歴史と現実へ戻す。この往復ができると、国際関係論が「覚える学問」ではなく「考える学問」に変わる。
入門から全体像をつかむ本
1. 国際関係論入門(学問へのファーストステップ/単行本)
最初の一冊としてかなり扱いやすい。国際関係論という分野がどこまでを射程に入れ、どんな問いを立ててきたのかを、無理のない角度で見せてくれるからだ。国家間の対立や協調だけでなく、国際機構や非国家主体まで視野に入れてくれるので、「国際政治」と聞いて抱きがちな硬い印象が少しほどける。
この本のよさは、理論を先に権威づけしないところにある。リアリズム、リベラリズム、コンストラクティビズムのような枠組みも、抽象的な思想史としてではなく、世界で起きている現象をどう切り取るかという道具として見せてくれる。独学で最初につまずきやすいのは、用語を覚えても景色が変わらないことだが、この本はその壁を越えやすい。
まだ学習の軸が定まっていないとき、あるいはニュースを見ても国名と出来事がばらばらに見えてしまうときに読むと効く。読み終えたあと、次に理論へ進むのか、歴史へ進むのか、自分の関心の向きが見えてくる。広く浅いだけで終わらず、次の一冊を選ぶ足場をつくってくれる入門書だ。
2. 国際関係論 第4版(Next教科書シリーズ/単行本・ソフトカバー)
新しい版で国際関係論を押さえたい人に向く標準テキストだ。全体の整理の仕方が教科書らしく、項目の見通しがいい。学び直しでは、古典的な理論だけをなぞって終わるより、現在の国際環境を踏まえた見取り図があるほうが頭の中の配置が安定するが、この本はその役を果たしやすい。
教科書系の本は、ときに情報の並びが平板になりがちだが、本書は論点の配置が比較的すっきりしていて、読む側が迷いにくい。国家、制度、秩序、地域、争点といった項目がきれいに整理されていて、講義ノートのように使いやすい。机でじっくり読むだけでなく、気になった章から戻って確認する読み方にも向いている。
一冊目より二冊目に置くと力を発揮しやすい本でもある。すでに大まかな輪郭が入ったあとで読むと、知識が棚に収まっていく感じがある。とくに、断片的に国際ニュースを追ってきた人が、自分の知識を教科書の棚に並べ直したいときにちょうどいい。
3. 国際関係論(アカデミックナビ/単行本・ソフトカバー)
この本は、平易さと標準性のバランスがいい。やさしすぎる入門書だと物足りず、いきなり重い専門書だと手が止まる。そのあいだの、ちょうど歩きやすい道をつくってくれる一冊だ。理論、歴史、主要争点が一冊の中で無理なくつながっているため、独学で全体像を崩さず進めやすい。
読み味としては、講義を丁寧に受けている感覚に近い。専門用語を乱暴に省略せず、それでいて説明の速度が遅すぎない。国際関係論を勉強すると、どうしても「この学派はこう」「この事例はこう」と断片に切れやすいが、本書はそれらを分野全体の流れに戻してくれる。
最初から最後まで通読してもいいし、関心のある章から入って戻ってきても読める。ひとつの分野をちゃんと学んでいる実感がほしい人、教養書ではなく教科書寄りの手応えがほしい人に合う。独学で孤独になりがちなときに、横に先生が座ってくれているような安定感がある。
4. グローバル社会の国際関係論 新版(有斐閣コンパクト/単行本・ソフトカバー)
理論をただ並べるのではなく、いまの国際社会をどう読むかに接続しやすいのが、この本のいちばん大きな魅力だ。国際関係論を学ぶ理由が、単位や資格のためではなく、世界の動きを自分の頭で理解したいからだとしたら、この本はかなり相性がいい。
ページを追っていくと、抽象理論が現実の争点にゆっくり降りてくる。国際関係論の本を読んでいて、ときどき感じる「これは賢い人たちの議論だが、自分の生活にはまだ遠い」という距離が、この本では少し縮まる。ニュースで見た事件や外交問題が、学問上の論点として見え直してくる瞬間がある。
何かを体系的に学びたいが、教科書だけの乾いた感じは避けたい。そんなときに手に取りやすい。最初の一冊にも向くが、個人的には一冊目のあとに読む二冊目として強く勧めたい。本を閉じたあと、国際社会を見る目の焦点が少し合う。その変化がはっきり残る。
5. 新版 国際関係学: 地球社会を理解するために(単行本)
国際関係論を、狭い意味での国家間政治に閉じず、地球社会全体を理解するための学問として捉えたい人に向く一冊だ。歴史、理論、アクター、戦争と平和、グローバル経済社会まで大きく編まれていて、視界が広い。その広さが散漫ではなく、見取り図として機能している。
読んでいると、国際関係論が外交官や研究者だけの学問ではなく、私たちの日常ともつながっていることが見えてくる。遠い国の紛争、サプライチェーン、気候問題、難民、人権。そうした話題が、ひとつの領域の中で並び始める。世界の複雑さを前にして、思考が縮こまっているときに読むと、少し呼吸が深くなる。
一冊で広く学びたい人、学問の輪郭を掴みながら周辺論点にも目を配りたい人には頼もしい。細部の理論を詰める段階より、その前の「世界をどう切り分けて考えるか」をつくる段階で光る本だ。読後、自分の関心が安全保障に向くのか、経済に向くのか、人権や制度に向くのかも見えてくる。
6. 国際政治学をつかむ 新版(テキストブックス[つかむ]/単行本)
分量と難度のバランスが非常にいい。歴史、理論、アクター、イシューという構成がはっきりしていて、読み手の頭の中に自然と棚ができていく。国際政治学の入り口として定番感があり、独学で「何をどの順で把握すればいいか」が見えやすい。
この本は、背伸びしすぎないのに浅くない。そこが強い。教養書の軽さでは不安だが、いきなり本格テキストの重量はしんどい。そんな時期にちょうどよく、理解の速度に無理をさせない。章立てがよいので、ひと晩で一章ずつ読み進めても、知識が散らばりにくい。
学び直しの途中で、「分かったつもりなのに語れない」と感じ始めたときに読むと効く本でもある。用語の意味と、その用語がどんな問いから出てきたのかが少しずつ結びつくからだ。入門の最後、標準テキストの手前に置くと、次の理論書や歴史書がぐっと読みやすくなる。
7. 国際政治とは何か 地球社会における人間と秩序(中公新書/新書)
教科書より少し思考寄りの一冊で、国際政治をどう捉えるか、その見方そのものを鍛えてくれる。出来事の解説を読むというより、秩序とは何か、人間は国際社会の中でどう位置づくのかをゆっくり考える本だ。新書だが中身は薄くない。
国際関係論を勉強していると、つい事件や制度や理論名を追いかけることに忙しくなる。その前提である「国際政治とはそもそも何か」を立ち止まって問い直す時間は、独学では案外つくりにくい。本書は、その止まる時間をつくってくれる。静かだが、あとから効く種類の読書になる。
すぐ役立つ知識がほしいときには、もどかしく感じるかもしれない。けれど、理論が単なる暗記事項に見え始めたとき、この本は流れを変える。急いで答えを得たいときより、少し遠回りしてでも考える足腰をつくりたいときに向く。読んだあと、世界を見る姿勢がわずかに変わる。
理論を固める本
8. 国際政治学(New Liberal Arts Selection/単行本・ソフトカバー)
ここから先は、腰を据えて学びたい人の領域に入る。この本は分量も密度もあり、国際政治学を大学学部上級レベルでしっかりやり直したい人の中心に置ける。入門で見た論点が、ここではもう少し複雑な姿で現れてくる。
読みながら感じるのは、世界が単純な善悪や一枚岩の国家行動では動いていないという当たり前のことの重さだ。安全保障、制度、経済、規範、地域秩序。それぞれが絡み合う場面を、かなり骨太に追っていける。分厚いが、ただ難しいのではなく、考えるための材料が多い。
気力が落ちている時期に読む本ではないが、学習の芯を一本通したいときには非常に頼れる。とくに、入門書を何冊か読んだのに「まだ地盤が柔らかい」と感じている人には合う。一冊読み切るころには、国際政治学の景色が平面的な図から、奥行きのある地形へ変わってくる。
9. 国際関係理論 第2版(勁草テキスト・セレクション/単行本)
理論を正面から学ぶなら、やはり外しにくい一冊だ。リアリズム、リベラリズム、コンストラクティビズム、その周辺の議論まで、何がどう違い、どこで争っているのかを見失いにくい。理論書は読後に頭が霧になることも多いが、この本は論点の見取りが比較的よい。
強みは、理論を学派名の一覧にしないところにある。誰が正しいかを決める本ではなく、それぞれが何を説明でき、何をこぼしやすいかを考えさせる。だからこそ、ニュースや事例に理論を当てはめる遊びができるようになる。理論が記号ではなく、手に持てる道具に変わる瞬間がある。
理論に苦手意識がある人ほど、早めに一度触れておいたほうがいい。わからない部分があっても構わない。最初は三割でも、歴史や外交史を読んだあとに戻ってくると、別の本のように見える。独学ではその往復が大事で、この本は何度か戻るほど味が出る。
10. 名著に学ぶ国際関係論 第2版(有斐閣コンパクト/単行本・ソフトカバー)
理論史を「代表的な文献を通じて読む」という入り方ができるのが、この本の魅力だ。理論の教科書を読んでいると、学派名と要点だけが頭に残って、なぜその議論が出てきたのかが置き去りになりやすい。本書はその背後にある問題意識を感じさせてくれる。
ある議論がどんな時代背景から生まれ、何に反発し、何を説明しようとしたのかが見えると、理論は急に生きた言葉になる。名著を直接読むのはまだ少し重いと感じる人にとって、本書は橋になる。読書の温度が少し上がり、国際関係論が学派の地図ではなく、知的な対話の蓄積として見えてくる。
断片知識をつなぎ直したいときに向く本だ。知識は増えたのに、なぜか自分の中で一本につながらない。そんな感覚があるなら、この本はかなり助けになる。代表作を通してたどることで、理論の流れが時間の中で動き出す。
11. 国際関係論入門: 思考の作法(単行本)
タイトルどおり、知識より先に「考え方の型」を渡してくれる本だ。独学でありがちなのは、用語や歴史事項は頭に入っているのに、自分で問いを立てられない状態だろう。本書は、国際関係論をどう考えるか、その手つきを教えてくれる。
読んでいて気持ちがいいのは、正解をひとつに閉じないところだ。複数の視点をどう扱うか、どこで疑い、どこで仮置きするかが丁寧に示される。理論を覚えるより前に、この態度を持っているかどうかで、その後の読書の深さが変わる。派手ではないが、後から差が出る一冊だ。
勉強が少し進んだところで読むと、とくに効く。最初の一冊としても読めるが、個人的には何冊か読んだあと、自分の理解を整え直す局面で勧めたい。頭の中が知識で混雑しているときに、通路をつくってくれる。
歴史と外交史を入れる本
12. 国際政治史〔新版〕: 主権国家体系のあゆみ(有斐閣ストゥディア/単行本)
理論だけでは世界の動きが骨組みのまま見えてしまう。その骨に血を通わせるのが歴史であり、この本はその入口としてとても使いやすい。主権国家体系の形成と変化を軸に、国際政治史の流れをたどれるので、現代の秩序がどこから来たのかが見えてくる。
歴史書として読みやすいだけでなく、国際関係論の土台として読む意味が大きい。国際秩序はいつも揺れていて、いま見えている制度やルールも永久ではない。その感覚が持てると、現在の国際問題への見方も変わる。歴史が「昔の話」ではなく、現在を読む尺度に変わる瞬間がある。
ニュースを追っていても背景が薄く感じるとき、あるいは理論が現実から浮いて見えるときに入れるといい。独学ではこの本があるかどうかで、学びの厚みがかなり変わる。読み終えると、国際関係論の時間軸が一気に長くなる。
13. 国際政治史としての20世紀(単行本)
20世紀を、大国間関係と地域の連動の中で読み解く一冊だ。第一次世界大戦、第二次世界大戦、冷戦、脱植民地化、その後の秩序形成まで、現代国際関係の骨格に直結する時代がぎゅっと詰まっている。20世紀をどう理解するかで、いまの世界の見え方はかなり変わる。
この本のよさは、年代の羅列に流れないところにある。出来事ごとの説明だけでなく、その出来事がどのように秩序を変えたのかが意識しやすい。国家の意思だけでなく、地域の変動や国際構造の変化が重なって見えるので、歴史を読む感覚が立体的になる。
抽象理論より先に、歴史の手触りを入れたい人に向く。机に向かって一気に読み切るというより、章ごとに区切って読みながら、頭の中で地図を広げていく感じが合う。過去をたどっているのに、むしろ現在のニュースがくっきりしてくる本だ。
14. 戦後日本外交史 第3版補訂版(有斐閣アルマ/単行本)
日本から国際関係論を考え直したいなら、この本はかなり有力だ。戦後日本外交を通史で追いながら、日米関係、冷戦、アジア外交、国際協調の流れを掴める。世界史の中に日本を置くのではなく、日本外交を通して世界秩序の変化を見ていく読書になる。
日本の外交史を読むと、抽象的だった国際関係論が急に身近になる。教科書で見た同盟、抑止、協調、経済外交といった言葉が、日本の選択として具体的に現れてくるからだ。とくに、日本の立場から国際関係を理解したい人には、理論書だけでは得られない実感がある。
安全保障や日米関係に関心がある人はもちろん、国際関係論がどうしても遠く感じる人にも勧めやすい。自分の国の外交をたどることで、国際秩序の変化が体温を持つ。冷たい概念だったものに、決断の重さが乗ってくる。
15. 現代日本外交史 冷戦後の模索、首相たちの決断(中公新書/新書)
戦後通史よりも短いスパンで、冷戦後の日本外交に焦点を当てている。そのぶん、政策の揺れや首相たちの判断が見えやすい。冷戦後の世界は、敵味方の線が単純だった時代よりもずっと複雑で、日本外交もその中で模索を続けてきた。その迷いの質感が伝わる本だ。
国際関係論を勉強していると、時代が変われば前提も変わるという当たり前のことを、ときどき忘れる。この本は、冷戦の終わりが単なる区切りではなく、日本の選択肢そのものを変えたことを感じさせる。首相という人物の決断を通して読むぶん、政治の体温も残る。
14と組み合わせると、とても立体的になる。長い通史で大枠を押さえたあと、この本で近い時代の細部を読むと、歴史が急に近づく。現代日本の国際関係を考えたいとき、ただ年表を追うだけでは届かない部分に触れられる。
テーマ別に深める本
16. 国際機構 新版(岩波テキストブックス/単行本)
国連や国際機構をどう捉えるかを体系的に学べる本だ。国際関係論に入ると、安全保障や大国政治のほうが目を引きやすいが、実際の国際社会は制度とルールの積み重ねでも動いている。本書は、その静かな基盤に目を向けさせてくれる。
機構や制度の話は、うまく書かれていないと途端に眠くなる。この本は、仕組みの説明にとどまらず、なぜ各国がそこに参加し、どこで機能し、どこで限界が出るのかまで見えやすい。協調はきれいごとではなく、利害と制度のせめぎ合いの上にあることがわかる。
国際関係論を国家の力学だけで理解していると感じたら、この本を挟むと視野が広がる。紛争だけでなく、保健、開発、人権、環境のような課題を見るときにも役立つ。国際社会の骨格が、軍事だけではできていないことを実感させる一冊だ。
17. 国際政治経済学[第2版](単行本)
国際関係論を安全保障中心で理解していると、世界の半分しか見えていない感じが残る。そのもう半分にあたるのが、経済、制度、相互依存の視点であり、この本はその中核に置きやすい。貿易、金融、グローバル化を通じて、国際政治と経済が切り離せないことが見えてくる。
経済の話になると、数字や制度の複雑さに気後れする人も多いが、本書は国際関係論との接点がわかりやすい。通商摩擦や経済安全保障のような現在的な話題も、背景にある構造から捉えられるようになる。国家は軍事だけで競っているわけではない。その冷たい事実が、静かに腹に落ちる。
安全保障の本を読んでいても、どこか片輪に感じるときに入れるといい。とくに、現代世界のニュースを見ていて、経済制裁、資源、サプライチェーンが気になっている人には刺さる。読後、世界地図に港や工場や金融市場の気配が重なって見える。
18. 入門 人間の安全保障 増補版 恐怖と欠乏からの自由を求めて(中公新書/新書)
国家の安全保障だけではこぼれ落ちるものがある。その事実をきちんと考えさせてくれるのが、この本だ。紛争や軍事だけでなく、貧困、感染症、災害、生活基盤の崩れといった問題を、人間の生存と尊厳から捉え直す。国際関係論の視野を広げる一冊としてかなり有効だ。
安全保障という言葉に、どうしても軍事の硬いイメージがつきまとう人ほど、この本で見方が変わるかもしれない。守るべきものが国家の境界だけではなく、人の暮らしそのものだと見えてくると、国際政治の輪郭も少し変わる。理想論ではなく、現実の脆弱さから話が始まるところがいい。
国家中心の議論に息苦しさを感じているとき、あるいは国際関係論をもっと生活に近いところから考えたいときに向く。読んだあと、遠い世界の問題が抽象的な課題ではなく、誰かの毎日の不安として見え始める。その変化は小さくない。
19. グローバル・ガバナンス論講義(単行本)
世界政府が存在しない国際社会で、難民、環境、通貨、人権のような越境問題がどう扱われるのかを考える本だ。国家だけでは解けない課題に対して、誰が、どのルールで、どこまで責任を持つのか。その複雑さが正面から出てくる。
この本を読むと、国際関係論は戦争や同盟だけではないことがよくわかる。むしろ現代では、国境を越えてしまう問題のほうが増えている。そのとき、国家、国際機構、企業、市民社会がどう絡み合うのかを見る視点は欠かせない。秩序は命令でつくられるのではなく、調整と妥協の連続の中で現れる。
現代的な課題に関心がある人にはかなり面白い一冊だ。地味に見えるが、読後のニュースの見え方が変わる。難民問題も気候問題も、一国の政策だけでは語れないことが肌でわかる。世界の面倒くささを、そのまま引き受ける本でもある。
20. 新・国際平和論:対峙する理性とヘゲモニー(単行本)
平和論という言葉には、ともすると理想の話だけをしている印象がある。この本はそこに甘えず、理性とヘゲモニーの緊張の中で平和を考える。つまり、平和を願う言葉と、現実の力関係とのあいだにある深い溝から目をそらさない。
だからこそ、読書体験にも独特の重さがある。きれいな結論に落ち着かず、秩序を保つ力と、それが生む抑圧や不均衡を一緒に見つめることになる。安全保障や紛争研究へ進みたい人にとって、理想と現実のあいだを考える橋になる一冊だ。
気分が明るいときに読む本ではないかもしれない。けれど、世界の不安定さを前にして、単純な正義だけでは語れないと感じている人には深く残る。読後、平和という言葉の輪郭が少し変わる。軽々しく口にできないぶん、考える価値が出てくる。
関連グッズ・サービス
国際関係論のように研究の進み方が速い分野は、最新刊への切り替えやすさも読書環境として意識しておきたい。
関連分野まで横断して拾い読みしたいなら、電子書籍の読み放題は相性がいい。国際関係論そのものだけでなく、外交史、戦争史、地域研究の周辺まで覗きやすくなる。
歴史や外交史は、耳から入れると流れを掴みやすいことがある。移動中や家事の合間に聞いておくと、重い本へ戻ったときに地図が頭に残りやすい。
紙の本で学ぶなら、A4のノートを一冊決めて、理論・歴史・日本外交の三つに見出しを分けて使うと整理しやすい。国名や出来事をただ書き抜くのではなく、「この本で世界の見え方がどう変わったか」を一行でも残すと、読書が知識の在庫で終わりにくい。
まとめ
国際関係論の本は、理論だけに寄ると乾きやすく、歴史だけに寄ると軸を失いやすい。だからこそ、今回の20冊は、全体像をつかむ本から入り、理論を固め、歴史と日本外交で地面に降り、制度や安全保障へ伸ばす流れで並べると生きてくる。
- まず分野の輪郭を掴みたいなら、1・4・6・12から入る。
- 理論をしっかり固めたいなら、8・9・10・11を軸にする。
- 日本から国際関係を考えたいなら、14・15を早めに読む。
- 現代争点へ広げたいなら、16・17・18・19・20で視野を伸ばす。
一冊読み終えるたびに、世界地図の見え方は少しずつ変わる。その変化を急がず積み上げるのが、国際関係論のいちばんいい読み方だ。
FAQ
Q1. 国際関係論は完全な初学者でも独学できるか
できる。むしろ、最初の順番さえ間違えなければ独学しやすい分野だ。いきなり重い理論書や安全保障論から入ると息切れしやすいので、まずは1、4、6のような全体像をつかむ本で地図をつくる。そのあとで9や12に進むと、用語と歴史がばらけにくい。最初から全部わかろうとせず、同じ論点に別の本で何度か出会うつもりで進めると続きやすい。
Q2. 国際政治学と国際関係論はどう違うのか
重なる部分は大きいが、国際政治学は国家間の政治や安全保障をやや中心に据えやすく、国際関係論はそこからさらに国際機構、経済、人権、環境、非国家主体まで視野を広げて考えることが多い。実際の本ではかなり重なっているので、厳密に切り分けすぎなくていい。最初は「世界をどう読むかの学問」と捉えて入り、自分の関心に応じて政治、安全保障、経済、制度へ枝を伸ばしていくのが自然だ。
Q3. 安全保障に関心があるなら、どの本から入るのがいいか
安全保障だけに一直線で入るより、まず4や6で全体像をつかみ、14で日本外交を読み、18と20で安全保障や平和の見方を広げるほうが理解が深くなる。安全保障は軍事だけの話ではなく、同盟、経済、制度、人間の生存や尊厳までつながっているからだ。土台なしで専門論点へ行くと、強い言葉だけが先に残りやすい。少し回り道に見えても、基礎から入ったほうが結局は速い。
Q4. 日本の国際関係を知りたい場合、海外の理論書より日本外交史を先に読んでもいいか
いい。むしろ、そのほうが入りやすい人も多い。14や15から入ると、日本がどんな制約の中でどう選択してきたかが見え、理論が急に現実の言葉に変わる。そこから1や9へ戻ると、同盟、秩序、協調、抑止といった概念が空中戦にならない。ただし、日本外交史だけだと視野が国内寄りになりやすいので、12や16、17のような本で国際秩序全体にも必ず戻っておきたい。





![国際政治学をつかむ 新版 (テキストブックス[つかむ]) 国際政治学をつかむ 新版 (テキストブックス[つかむ])](https://m.media-amazon.com/images/I/41ziJ8jIRoL._SL500_.jpg)










![国際政治経済学[第2版] 国際政治経済学[第2版]](https://m.media-amazon.com/images/I/41Gf82BsRtL._SL500_.jpg)


