世間には何気なくページをめくっていたら、どんどんおもしろくなって読むのがやめられないという本があります。
さあ、読もう!と気合いを入れずに手にとった本ほど、そういう傾向があるようです。
そんなかっぱえびせんのような、中毒性のある本をご紹介します。
『秘密結社の手帖』
著・澁澤龍彦
手帳とタイトルにあるように秘密結社のすべてがわかる大辞典というよりは、秘密結社に関する簡潔なハンドブックのような本です。
しかし取り上げられる秘密結社はテンプル騎士団やフリーメーソン、クークラックスクランといった有名どころからブードゥー教などのキリスト教徒土着の信仰が混ざった宗教の成り立ち、自分を豹だと思い込んでいるアフリカの団体、日本の真言立川流まで世界中の多岐にわたります。
それらに関する政治的、宗教的か犯罪的かそれらの複合かといった問いにもとっても的確で読みやすい本です。
ちょっと陰謀論に凝っているという大学生に読んでほしい本です。
『ひらがな暦 三六六日の絵ことば歳時記』
著・おーなり由子
366日文の日々についての書簡とイラストが載っています。どこから読んでもいいのですが、自分の誕生日やこの本手に取った日を選んでみ見てみましょう。
その日が何の日かについての付記もあります。語りかけてくれるような独り言のような柔らかな文体がとても心地よいですよ。
例えば価値のない日々を送っていると沈み込んでいる時や、反対に何か体にエネルギーはあるけれど何をしたらいいのかちょっと分からないという日にもこの本は良い友人になってくれるでしょう。
『世にも奇妙な職業案内』
著・ナンシー・リカ・シフ
この本には本当に様々な職業が挙げられています。ポテトチップ検査師、ビンゴ読み上げ人、犯罪現場フォトグラファー、男子トイレサービス(女性)などで実際になってみたいなと思ったのはミミズ農場主です。
ミミズはほとんど世話をする必要がなく、土壌改良などに役立てられるといいます。他にはゴルフボールダイバーという池ポチャのボールを拾って再生会社に売るという仕事もあるのだそうです。
収入や名誉やありきたりな夢を考えないならば職業とはこんなに豊かで、それはすなわち人間の生活の豊かさを意味しているのだと教えてくれます。
今の仕事で果たしていいのかと悩んでいる社会人に読んでほしい本です。
本を読む目的って人それぞれ違うと思います。
なにか知識を得るためのもの、娯楽のためなどいろいろですね。
だけど目的を持たずに手に取り、それにどんどんハマっていくという読書もいいものですよ。