毎日の仕事に疲れた時、もしかしたら自分にはもっと向いている仕事があるのかもしれない…そんなふうに考えたことはありませんか?
でも本気で転職したいわけでもなく、ちょっと軽い気持ちで他の業界を覗き見したい、脳内だけでも違う業種を疑似体験したい…そんな気持ちを満たしてくれる小説を3冊集めてみました。
「ニコニコ時給800円」
海猫沢めろん
最低時給が国によって定められる前に書かれた、時給800円の仕事に就いている人々を描くオムニバス小説。具体的には漫画喫茶、アパレル店員、パチンコ店…等の身近なものばかり。
軽い文体で描かれいて人物同士のやり取りは漫画のようでかなりコメディタッチなのですが、確かにそこにあるのは各業界各業種のリアリティ。同じ時給800円でもこんなに違うのかと驚かされます。
「この世にたやすい仕事はない」
津村記久子
前職を燃え尽き症候群で辞めた主人公が、職安で紹介された様々な仕事を体験していく物語。こんな仕事この世にあるのだろうか、あるかもしれない…そんな一風変わった仕事ばかりが登場しますが、どんな仕事にも喜びとカタルシスを実感出来るように描かれています。
そんな中でも職を転々としていく主人公は何故その仕事を続けられないのか、主人公にとって、そして自分にとって働くとは何なのかを考えさせられます。
「みかづき」
森絵都
最後に、一つの業界に親子三代どっぷり浸かった家族の物語。昭和36年から現代まで、時代を追って変化してきた学習塾の経営というテーマが丁寧に描かれた小説。
学習塾と進学塾の違い、教育現場の変化、子供達に必要なものや塾に求められるものの変化など、教育って、塾ってこんなに奥が深いのか!と唸らされる一冊。
さいごに
いかがでしたか?読書体験は、もしかしたら自分もこんな生き方をしていたのかもしれない、と想像出来る手軽な遊びです。今回は仕事に焦点を絞って疑似体験出来る本を紹介してみましたが、読み終えた後で現在のご自身の仕事や働くという意識について見直すきっかけになったら幸いです。