ローマ国、オーストリアなど様々な国での歴史物語は、まさに大規模なドラマ。
今回はそんな歴史と向き合いたくなった時に読むおすすめ本を紹介。
大河ドラマ好きにもおすすめかもしれません。
『アーサー王ここに眠る』
P ・リーヴ
物語の読み方に決まりはないのですが、アーサー王伝説が中世以降に様々な人によって作られてきたフィクションだということや、リーヴの作品が過去の多様なアーサー王物語を土台にしながらそれらを覆していること、この二つを頭に入れておいて読むと、もっと面白いでしょう。
アーサーがミルディンの期待に応えないまま亡くなってしまい、ミルディンもこの世を去った時、グウィナが選んだのはアーサーの武勲とその最後を希望の物語として語ることでした。なのでこの作品は虚構についての物語なのですが、そこから学び取れることは数々あるでしょう。
これから困難な社会に旅立つ大学生の皆さんにぜひシュミレーションとして読んでほしい本です。
『ピエタ』
大島真寿美
1740年、カール6世がウィーンで死去し、その皇位と領地をめぐってオーストリア継承戦争が始まりました。その次の年、やはりウィーンにいたアントニオ・ヴィヴァルディの訃報が彼の生まれ故郷、ヴェネツィアにあるピエタ慈善院・音楽院に届きます。主人公は45年前にそこに捨てられていたエミーリアです。幼いころにヴィヴァルディに会って指導を受けて以来、彼の才能と人柄と音楽の魅力に取り憑かれていました。
彼の教え子だったエミリアは院のこれからを考えると共に、師の思い出に浸っていました。そこに妙な事件が起こり始めるのです。
出会うことのない者が出会ってしまう、そういう街で繰り広げられる優しい悲喜劇。それは読むものをそっと幸せにしてくれるでしょう。
「まさに神が存在することの証明は音楽ひとつで十分であった」と言うセリフがぴったりですね。
『ミムス』
L・タール
長年の宿敵ヴィンランド王国テオド王の陰謀にはまり、モンフィールの皇太子フロリーンは父王フィリップとその側近とともに捕虜になってしまいます。父王は牢獄につながれて処刑の日を待つばかりの毎日です。一方のフロリーンは王の宮廷道化師ミムスの弟子にされてしまいます。 誰からも軽蔑される最下層の立場でありながら自由に振る舞い、何も恐れるものがないと言うミムスの生き方を見て、フロリーン王子は本当の王とはどうあるべきかを学んでいきます。
現在困難に立ち向かっている社会人に、どんな状況であっても学ぶべきことはあるのだということを教えてくれるオススメの一冊です。