絵本というものは絵を添えることによって、文字だけでは伝えることができない表現ができる手段です。
これが写真なら、もっとリアルに読者に訴えかけることが可能になります。
そんな写真絵本という分野のおすすめ本を紹介します。
『二ひきのこぐま』
著・イーラ
寒い冬のあいだにほらあなの中で生まれた2ひきのこぐまが、春になるのを待ちかねて外に出てきました。2ひきは、あたたかいお日さまがうれしくて、草や花がうれしくて、かけまわってあそびます。
草原をはしり、林でかくれんぼをし、気がついてみると、おうちからずっとずっとはなれたところにきていました。木にのぼっても、おうちもおかあさんも見えません。
さあ、どうしたらいいのでしょう?迷子のこぐまたちは、おかあさんのもとに帰ることができるでしょうか?
動物写真の専門家イーラの写真絵本です。自分が撮った動物の写真を編集して、物語をつけたという手作り感あふれる貴重な作品です。
『キツネにもらったたからもの』
著・西村豐
野生動物の写真家の西村さんは、じつは動物ぎらいでした。山小屋で働いていたときのことです。こおりつくような寒い夜、空には満月が金色にかがやき、一面の雪が銀色に光っていました。
遠くに見える山々がシルエットになって、まるでかげ絵の世界です。その中を、1頭のキツネがギャーンギャーンとなきながら歩いていました。ふしぎなことに、その光景を見たときから、西村さんは動物となかよくできるようになったのです。
まるでキツネに魔法をかけられたようでした。
作者は、自然写真家で、子ども向けの著書には『干し柿』(あかね書房)、『ごたっ子の田んぼ』(アリス館)などがあります。
『クマよ』
著・星野道夫
わたしたちのすむ日本から遠くはなれた北の大地、アラスカ。そこに、クマは生きています。夏の草がしげる野原で子グマとあそび、川では、のぼってきたサケをつかまえます。
秋になると、ブルーベリーやクランベリ一の実をむちゅうになって食べます。寒さのきびしい冬、クマは雪の下にねむり、天空にはオーロラの光がおどるのです。
アラスカは遠くはなれているけれど、わたしたちも、クマたちも、同じ時間を生きています。
アラスカの自然と動物をテーマに撮影活動を続けていた著者の没後、著者の遺稿と写真メモをもとに作られた魂の記録です。
本来、読書というものは文字を読んで、頭の中でイメージを膨らませるという面白みがあるのですが
絵や写真と一緒にインプットすればより鮮やかな世界が目の前に広がることでしょう。
たまには文字一辺倒の世界からちょっと離れてみてはいかがですか。