人間、生きていればどんな目に遭うか分かりません。
死ぬか生きるかまではいかなくても、とんでもない運命に翻弄されることがあるものです。
そんな理不尽な環境に立ち向かい、その環境を変えた人たちが描かれた3冊を紹介します。
『沈まぬ太陽』
沈まぬ太陽 文庫 全5巻 完結セット (新潮文庫) [文庫]
著・山豊子
アフリカ編、御巣鷹山編、会長室編の3点からなる国民的作家による社会化長編小説です。背景は経済大国へと急成長した昭和30年から60年代の日本です。
国営の国民航空会社で労働組合委員長を務める主人公恩地元は懲罰人事で不条理な海外赴任を命じられてしまいます。
史上最悪の死者を出した御巣鷹山の日航機123便墜落事故をモチーフにして、腐敗した巨大企業に翻弄される男が不屈の精神で立ち向かっていく姿を骨太に描き出します。
2009年には映画化もされました。
『変身』
著・フランツカフカ
ある朝目覚めてみると巨大な毒虫に変身していた主人公グレゴールザムザ。一家の大黒柱として働いていた自分が虫になってしまった事実を受け入れますが、
それに反して家族は経済的に自立していきます。人間と虫という二つの生き方と人生の不条理さを体験した希少な人間(虫)と言えます。
起きたら虫になっているってどんな感じなんだろうと興味がありますね。本当になるのは嫌ですけどね。それに自分が虫になった場合家族はどういう反応するのでしょうかちょっと怖いもの見たさで読んでみたいですね。
『春琴抄』
著・谷崎潤一郎
サスケは幼い頃から盲目の春琴に使え、彼女が高名な三味線奏者になってからもずっと回りの身の回りの世話を続けます。
ある事件により春琴の美貌が損なわれてしまい失意の底にある彼女を思うが故に、サスケは自らの目も失明させます。
愛を貫き通すサスケの姿に心打たれます。マゾヒスティックも度を超えると純愛になるんですね。
一度経験してみたい愛ですがちょっと怖いですね。美しく艶めかしい文体にもゾクゾクしますよ。
古典に触れてみたいんだけど何から始めていいかわからないと言う大学生に、まずおすすめの一冊です。
どんな状況になっても人は生きていけるし、また生きていかなければならないのです。
壁を乗り越えた先には違った景色が見えてくるかもしれませんよ。