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【記憶 本 おすすめ】記憶との対話。記憶の仕組みがテーマのおすすめ小説

 生きていることは一瞬一瞬が過去になっていくこと。ついさっきのことも記憶することから生命は繋がっていきます。温かな記憶も悲しい記憶も、何でもない日常のふとした出来事も、自分を形成する大切な一部です。今回は記憶をテーマにした本を紹介いたします。

 

密やかな結晶

 

密やかな結晶 (講談社文庫)

 小川 洋子(著) (講談社文庫) 
 毎日「何か」が消えて行ってしまう島のお話。記憶を失ったことも忘れてしまう。どんな悲しみの記憶でさえ、アイデンティティを確立するために必要なもの。記憶の中で生き続ける大切なものも確かに存在します。あとには何も残らない虚無感と静寂。そして美しき恐怖の世界。著者ならではの静かで美しく儚い文体に心震える一冊です。

 

シナプスの入江

 

シナプスの入江 (福武文庫)

 清水 義範(著) (福武文庫)
 記憶の食い違い。同じ体験をしたのに、どうしてこんなにも記憶が違うのか。自分の頭にある記憶と他人の記憶を辿るうちに、真実はどうだったのかえすらわからななくなる。自分は確かに覚えているのに、そこにいなかったと言われると自分の存在さえ危うくなっていく不安感。科学的ホラーともいえる誤記憶の物語です。

 

失われた過去と未来の犯罪

 

失われた過去と未来の犯罪

 小林 泰三(著) (KADOKAWA)
 ある日、全人類が記憶障害に。10分しか持たない記憶を維持させるため、外部記憶装置というメモリに頼って生活するようになった人類。SNSを使った記憶システムは取り出し可能で、メモリが他人の記憶を乗っ取るといった現代的SF作品。人格とは何か、身体と心について考えさせられます。

 

めざめる

めざめる

 阿部 海太 (著) (あかね書房)
 毎日めざめ、一瞬一瞬を生きている私たち。目に映る美しい自然、可愛い犬との触れ合い、眠っている間にももう一人の自分が目覚め、星や宇宙が動き出す。生命の記憶があふれ出す意識の目覚めを感じられる美しい絵本です。

 

 懐古主義というわけではないけれど、経験したことが今を生きるパワーをくれることも私たちは知っています。大切な記憶をひとつずつ積み重ねて生きていきたくなるような本たちです。

 

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