ほんのむし

読書はみんなのサプリ

【霧 おすすめ 本】霧がテーマのおすすめ小説。霧の向こう側の世界。

 うすもやがかった景色。一歩先には何があるのか分からない恐怖。霧というミステリアスなキーワードは文学の中でよく登場します。今回は霧を扱った作品を紹介いたします。クリアではない世界、正解がない迷いの壁に突き当たっている方、どこか遠くを彷徨いたい気分のときにおすすめです。

 

きりのなかのサーカス

きりのなかのサーカス

 ブルーノ ムナーリ(著) (フレーベル館)
 トレーシングペーパーを使って表現した霧。町の様子が幾重にも重なって表現され、カラフルなサーカスの世界が現れる色彩と穴空き、紙質の変化で幻想的な世界観を表現したアート絵本です。霧が立ち込める様子、晴れていく様子とつかみどころのない霧の揺らめきが見事に再現されています。子どもだけではなく、大人もコレクションに加えたい絵本です。

 

夜と霧の隅で

夜と霧の隅で (新潮文庫)

 北 杜夫(著) (新潮文庫)
 初期に書かれた5つの短編集。表題作は芥川賞受賞作です。敗戦の色が濃くなったドイツの精神病院で、完治の見込みがない精神病患者が虐殺されそうに。ナチスに抵抗しようとした精神科医が人々を救おうと悩み、苦しみ、狂気に陥っていく様を描いています。医学の敗北、専門家の弱さや無力感。死の影がつきまとう霧のような言葉では言い表せない重さに圧倒される作品集です。

 

霧の旗

 

霧の旗 (新潮文庫)

松本 清張(著) (新潮文庫) 
堀北真希さん主演でドラマ化された作品。冤罪で獄死した兄をもつ桐子は、弁護を断った弁護士に復讐を試みる。法律の限界、裁判制度の落とし穴をつく社会派ミステリー。救えるはずの兄を救えなかったという後悔の念からどんどん犯罪に手を染めていく美しく悲しい女性。現実にはない霧の旗をひたすら振り続けるしかない桐子の姿に胸が締めつけられます。

 

 上記以外の有名な作品では、フランクルの「夜と霧」のように暗い歴史を伝えるもの、映画「千と千尋の神隠し」の原作である「霧のむこうのふしぎな町霧のむこうの不思議な町」のようなファンタジーもあります。是非、手にとってみてください。

Copyright © ほんのむし All Rights Reserved.

Privacy Policy