宮崎駿監督の大ヒット映画『千と千尋の神隠し』はなぜ、人の心をあんなにも惹きつけるのでしょう。
そこには人の心の奥底にある異世界への憧れがあるのではないでしょうか。
そんな、自分では気づいていない深層心理を垣間見ることのできる本を紹介します。
なろう小説やラノベ小説で、異世界系嫌いな方にもおすすめです。
『霧のむこうのふしぎな町』
著・柏葉幸子
知らない町に行ってみたいと思ったことはありませんか?リナは、おとうさんにいわれて、夏休みを「霧の谷」ですごすことになりました。はじめてのひとり旅で、東京、仙台と2回も乗りかえて目的の
駅についたのに、誰も迎えにきていません。おまわりさんに道を聞くと、迷子か家出かと思われるし......もう帰っちゃおうかな。
自分で来たかったわけでもないんだから。でも、帰りの汽車は夕方しかありません。
40年ぐらい前の作品ですが、今でも読みつがれていファンタジー作品です。一説には映画『千と千尋の神隠し』に影響を与えたとも言われてます。
『銀河鉄道の夜 宮沢賢治童話全集11』
著・宮沢賢治
「銀河鉄道の夜」という作品は、宮沢賢治の童話の中でも特に有名です。賢治は、37歳の若さで亡くなるまで、このお話を何度も繰り返し推敲しました。未完成ですが、賢治の心が伝わる作品です。ジョバンニとカムパネルラが、銀河鉄道で旅をします。
銀河ステーション、白鳥の停車場......。幻想的な美しい風景の描写が続きます。ところが、途中でジョバン二だけがおろされてしまいます。そのさびしさは、たとえようもありません。
宮沢賢治の作品は、国語の教科書にもとりあげられていて、知っている子どもも多いですね。とりわけ幻想的で、自己犠牲の美しさが語られる本作は、賢治の代表作として紹介したい名作でしょう。
『だごだごころころ』
著・石黒ナミ子
むかしむかしあるところに、じいさんとばあさんがすんでいました。あるとき、ばあさんがじいさんのためにつくった「だご」(おだんごのことです)がぽろりとおちて、ころころところがって、川をとびこえ、くらいあなの中に入ってしまいました。
あなの中には、赤おにが住んでいます。「だご」をおいかけて
あなに入ったばあさんは、赤おにたちにつかまって、「だご」をつくれといわれます。類話の多い昔ばなしですが、本書は富山県出身の作者による話で、赤とんぼが助けてくれるという結末です。
赤とんぼが赤い理由もわかって、納得できる楽しいお話です。
描かれているテーマは子供時代に読んでも、大人になって読んでもその度に新たな発見があるでしょう。
子供時代に読んだよという方も、もう一度手にとって見ることをおすすめします。