邦画や映画など有名なハードボイルド作品はありますよね。
今回はそんなハードボイルド好きな方にオススメの一冊を紹介いたします。
タイトルは「いつか、虹の向こうへ」。
ハードボイルドとは少しかけ離れた題名ですが、読んで行けばこの意味の深さがわかってきます。
「いつか、虹の向こうへ」
最初、この本を手にとった時、特に深い意味はありませんでした。
作者の伊岡瞬さんの事も知らなかったですし、ドラマ化されていた事も、横溝正史賞やテレビ東京賞をW受賞した作品とも知りませんでした。ただ、タイトルに惹かれてふと買った本でした。
最初、読み始めはゆるい感じというか、ほのぼの系なのかなと思いました。ところが、どんどん話は急展開していきます。
どんな話か
元刑事の尾木遼平と3人の居候、そしてそこに紛れ込んできたある少女。この5人の登場人物には何らかの過去をひきずっている感じは最初からあったものの、その過去の悲しみの大きさ、傷ついた心の痛みの大きさが、どんどん明るみになっていくにつれ、もうページをめくる手が止まらなくなっていきました。
紛れ込んできた少女を契機に事件に関わり、巻き込まれていくのですが、その話の展開が息つく間もなく、でも、ただの推理小説では決してない、物凄く深い人間ドラマが存在しています。
傷ついた人間同士がこうして集まり、そして誰が誰をどう助けるとかではなく、その相手の存在自体にそっと心を寄り添わせて生きている。この本を読みながら何度も涙が出ました。
タイトルの意味について
タイトルの「いつか、虹の向こうへ」は、この作品の登場人物の一人、ゲイの石渡さんが書いた童話のタイトルです。
作中、この童話の全容が出てきますが、まさかこのタイトルがこのような内容の童話のタイトルであったのか・・・と、この本を読めばみなさん、このタイトルの深さに凄く考えさせられ、また、心をえぐられるような思いをする事と思います。その内容は、ここに書くより、ぜひ読んでいただきたいと思います。
最後に
社会人にも、大学生にも、男子にも、女子にも、オススメしたい本です。私自身、読書が好きで、小さい頃から今に至るまで、かなりの本を読んできました。けれど、偶然この本に出会い、ああ、私の知らないところで、まだこんな素晴らしい本があったのだと、手にとって良かったと、思ったので、本当に色んな人にオススメしたいです。