様々な事情、理由があって、親元から離れて暮らさなければならない子供たちがいます。
それは育児放棄や、虐待などいろいろですが、そういう環境でもたくましく育つさまは健気で頼もしいですね。
そんな過酷な環境に置かれた子供たちの本を紹介しましょう。
『リンゴの丘のベッツィー』
著・ドロシー・キャンフィールド・フィッシャー
ベッツィーは、赤ちゃんのときからおばさんに大切に育てられてきました。体が弱く、泣き虫で、ひとりでは何もできません。
それなのに、おばさんの家を離れて、いなかの農場にいくことになってしまいました。農場でベッツィーを迎えたのは、かわいい子ネコ、バターづくり、リンゴもぎ、先生がひとりだけの小さな学校、そして、働き者でやさしいアンおばさん、大おばさん、大おじさんでした。
バーモント州の自然の中でのびのびと育つ少女を描いた、1917年刊行の古典的な作品です。当時をよく伝える挿絵が添えられ、現代の読者も楽しませてくれます。
『ムーン・キング』
著・シヴォーン・パーキンソン
リッキーは、自分の家にいたくありません。おかあさんとくらしている男の人が、なぐるからです。リッキーは、ケースワーカーに連れられて、里親の家にいきました。
その家には、子どもたちと物があふれています。子どもたちは、おしあい、へしあい、うなずいたり、笑ったり、もうたいへんなさわぎ。
でも、リッキーはだれとも口をききませんでした。その夜、目を覚ますと、かみの毛がタンポポのわたげのような女の子が笑いながら立っていました。
リッキーは、思わずにっこりしました。
家庭に問題がある子どもたちがひとときをすごす家。父さんと母さんと9人の子どもたちが暮らす家にやってきたリッキーが、心やさしい友だちを得て心を開いていくようすを、独特の繊細な筆致で描いています。
『あしながおじさん』
著・ジーン・ウェブスター
親のないジェルーシャは、施設で育って17歳になりました。もう外に出て働く年ですが、ある大金持ちの援助で大学にいけることになります。
その人の望みは、ジェルーシャがしっかり勉強し、月に1度手紙を書いて報告すること。ただし、お金持ちの名前もひみつなら、会うことも、手紙の返事をもらうこともできません。
ジェルーシャは、たまたま玄関に、その人のかげがうかびあがるのを見ました。とても背の高いかげでした。そこで「あしながおじさん」と呼んで、手紙を送り続けます。
長いあいだ日本の少女たちに愛読されてきた名作です。ジュディ(ジェルーシャ)の大学での新しい体験に対する驚きや喜び、人間観察のするどさ、積極的な行動力など、今も魅力を失っていません。
『あしながおじさん』はどちらかというとシンデレラストーリーなので明るいですね。
実際にはキツイ環境の例が多いのですが、だからこそ『あしながおじさん』に憧れる人が多いのでしょうね。