私達が生きる上で必要な衣食住、特に”食”は最も話題になり情報ニーズが高いものではないでしょうか。
そのせいか食を描いた漫画は数多く存在します。今回はその中でも特に、何かを食べることは生きることと密接に繋がっているのだと描かれている漫画を紹介いたします。
「女の子の食卓」
女の子の食卓 1 (りぼんマスコットコミックスDIGITAL)
全8巻 志村志保子
一話ごとに違う女の子が食べ物・飲み物を通して描かれるオムニバス短編集。登場するのはジャガイモのニョッキやホットバタードラムなんていうオシャレなものもありますが、中には自販機で買うアイスクリームや自宅で飲む麦茶、そして雀荘で食べるインスタントのカップ焼きそばと、グルメとはとても言えないものも多いです。
人々が何気なく口にする食べ物・飲み物が人生の一部として存在していると感じられる、心が深くえぐられる秀逸な漫画。
「銀のスプーン」
全17巻 小沢真理
イケメン大学生の主人公が、家族や友達や恋人と食を通じて触れ合い成長していく姿を描いた漫画。
家族が深刻な事情に向き合わされたり、弟や妹が学校で嫌な思いをしたり、主人公に思いを寄せる女の子が現れたり…生活の中の何気ない事件の中で必ずみんなで食卓を囲む場面が描かれ、食は人と人を繋ぐツールとして扱われている印象が強いです。食事の内容そのものよりも、食で繋がった人間関係が描かれた漫画。
「おいしいロシア」
シベリカ子
ロシア人のご主人と一緒にロシアに滞在した著者のコミックエッセイ。全ページフルカラーで描かれた絵が、人物も料理もロシアの風景もとにかくキレイでカワイイ!そして美味しそう!パラパラと絵を見ているだけでも楽しい本です。
食べ物の話がメインですが半分近くはそれ以外の、現地に住んだ人にしかわからない文化や習慣が楽しく描かれ、近いのに意外と知らない国であるロシアのことが食をきっかけに少し身近に感じられる漫画です。
さいごに
数年前から食を扱った漫画が一気に増えましたが、その人気の裏には食という行為の中に垣間見える人々の生き方があるのではないかと私は考えます。グルメ漫画に求められているのは食事の内容というより、それに伴って描かれる人生なのではないでしょうか。