熊のプーさん、テディベア、くまモンとクマは愛すべきキャラクターとして人気です。
本の世界でもクマを主人公にした楽しめる読み物が多くあります。
今回はそんな熊が中心のおすすめ本を3冊紹介します。
「どんべえ物語」
はじめに作家のムツゴロウこと畑正憲が書いた「どんべえ物語」。
ムツさんが一家そろって北海道・道東の無人島に移住したとき、猟師から野生のエゾヒグマの子どもを譲り受けます。どんべえと名付けた子熊は初めは野生の本能をむきだしにして噛んだり暴れたり反抗しますが、動物に対する愛情が並外れて強いムツさんは一緒の寝床に寝るなどして忍耐強く耐えます。
やがてどんべえは愛情を理解したのかムツさんを受け入れてくれるようになります。どんべえはじゃれているつもりでも野生の力は強く、ときにはムツさんにケガを負わしたりしますが、そんなことは意に介さず、やがてどんべえは大切な家族の一員となっていきます・・・。
愛とはこのように全身全霊を向けることだ、と言わんばかりのムツさんの哲学、どんべえの成長とそれを見守るムツさん一家、クマと人とのこころの交流が描かれていて、読み終えた時に涙とともに大きな感動が訪れる作品です。
「羆嵐(くまあらし)」
野生のクマの恐ろしさを描いたのが吉村昭の「羆嵐(くまあらし)」です。
大正4年、北海道天塩山麓の開拓村でおきた実際の事件を元にした小説です。この事件は日本最大の獣害事件“三毛別羆事件(さんけべつひぐまじけん)”として知られています。
冬眠を逃し、腹をへらした一頭の巨大ヒグマがエサを求めて次々と村民を襲うというストーリーです。村民が退治しようとあれこれ策を練りますが、狡猾で悪魔のような巨大ヒグマは村民の浅知恵を嗤うかのように見破り、次々と村民を牙にかけていきます・・・。
可愛いクマも、ときには悪魔に
この三毛別羆事件を生存者の証言を元にノンフィクション作品にしたのが木村盛武の「慟哭の谷 北海道三毛別・史上最悪のヒグマ襲撃事件」で、より生々しいリアリティのある作りとなっています。
実際の事件現場は今でもちょっとした観光名所となっているそうですが、これらの本を読んで行けるとはクマよりも度胸がありますよね。