私さえ良ければ他人はどうでもいいのよというような人。
ハッキリそう公言しなくても、あきらかにそんな態度を取っている人。
そんなエゴイスト、自己中心的な人は、身の周りでもいるかと思います。
今回紹介する主人公たちは、それの極端な例です。
読めば、この人たちの思考回路に少しは理解、共感をするかも。
『愛されすぎた女』
著・大石圭
三浦加奈はその美貌からタレントを目指すも花開かず、カード破産寸前の彼女は玉の輿を狙うために結婚相談所に行きます。
そこで出会ったのが年収1億円以上、離婚歴4回の岩崎一郎です。交際を重ねた後結婚すると彼のかなへの執着がエスカレートしていきます。
大石ワールド全開のエロティックホラー小説です。岩崎一郎のパラノイアぶりに背筋が凍ります。なるほどこれなら離婚歴4回も頷けます。
でも自分しか愛せない男もひどいですが強欲でやりたい放題の女もお互い様という気もしますが。
ちょっと普通と違う恋愛小説を読んでみたいという社会人にオススメの本です。
『白夜行』
著・東野圭悟
19年前に大阪で起こった父親殺害事件は決定的な証拠がないまま迷宮入りすることになりました。目が落ち窪み感情のない表情をした被害者の息子桐原亮司と、ずば抜けた美貌を保つ容疑者の娘西本雪穂。
全く別の人生を歩んでいた二人の周辺では、。亮司と雪穂の心理描写がほとんどないことでかえって読者の想像力を掻き立てます。
映画やテレビドラマ化舞台化もされた長編傑作ミステリーです。雪穂は自分の目的を果たすために他者を操作し自分の手を汚すことなくことを遂行していく、まさに生まれついての悪女という感じがしますね。
『幻夜』
著・東野圭吾
阪神淡路大震災の狂騒のなか、美冬と水原雅也は出会います。美しい容姿の美冬に雅也は引かれ、そしてある秘密を握られていることで彼女に利用されていきます。
彼らの行く先々で起こる数々の事件。その関連性に気づき始めた加藤敬二。名作白夜行を彷彿させる長編小説です。
美冬には影があり美しさの裏に強さを持ち合わせています。背筋が凍るほどの妖艶さがたまりません。
並外れた美貌と才知を武器に男を手玉に取る冷淡の女が怪しくも美しく描かれています。
でも彼女たちにも子供時代はあって、生まれつきの悪人というのはいないんですよね。
どこでターニングポイントが訪れたのか。
とても興味があります。