サーカスのピエロ、トランプのクラウン。人を笑わせる滑稽な存在。知っているようで実は知らない道化やピエロ。子どもから大人まで心を惹きつけて離さない彼らの存在について学べる本を紹介いたします。
ホスピタルクラウン 病院に笑いを届ける道化師
ホスピタルクラウン 病院に笑いを届ける道化師 (Sanctuary books)
大棟 耕介(著) (サンクチュアリ出版)
ホスピタルクラウンとして病院をまわり、闘病中の子どもたちに笑いを届ける著者のエッセイ。辛さや苦しさ、病から逃げることはできない。でもほんの一瞬でも忘れることはできる。
心に寄り添うこと、笑いの大切さ。そこにいるだけで優しい気持ちにさせてくれるホスピタルクラウン。人を楽しませることの大切さが感じられる本です。
道化の宇宙
山口 昌男(著) (講談社文庫)
演劇・音楽・映画などのさまざまなジャンルから、琉球芝居や道化劇などバロック時代から現代までの道化の世界を紹介した本。
権力と道化についてなどの社会的切り口から、道化と形而上学など哲学的切り口まで道化について様々な考察がなされた知的好奇心をくすぐる一冊。道化の技術についても語られており、芸術論としても楽しめます。
ピエロの赤い鼻
ミシェル・カン(著) (扶桑社)
小学校教師の父がピエロの恰好をして人に笑われるのが大嫌いだった少年。そんな嫌悪感を抱く少年に叔父は、父がレジスタンスの活動家だった頃の話をはじめます。
第二次大戦中、独裁政権下のフランスの田舎町。毎日繰り返される戦争で人々の精神は極限状態でした。戦争の悲惨さ、恐怖を取り除いた「笑い」の力。ジャン・ベッケル監督で映画化もされたベストセラー作品です。
人を笑顔にさせるということは、とても尊いことだと思います。宮廷演劇からはじまった道化の歴史。現代のピエロにいたるまで、彼らは人々を笑顔にしてきたのでしょう。
時代や国によっても笑いのツボは違いますが、現代のサーカスのピエロのように、世界に笑顔を届ける存在でいてほしいと願います。