死刑制度について、メリットや問題点は何か。
世界と日本はどうなのか。答えが見えない、様々な意見があります。
今回は死刑制度がテーマの本を三作ご紹介します。
どの本も、読んだ後に「死刑制度」について、自分ごとに考えるきっかけになれる本です。
また衝撃の結末をお求めの方にもオススメです。
どれも軽い気持ちで読み始めたのに読後感は重い。
けれどもイヤミスのような重さではありません。どうしたらみんな幸せになれるんだろうか…と壮大なことに思いを馳せるような、そんな気持ちになります。もちろんストーリーの面白さは抜群です。
許されるなら徹夜してでも読み終えたい、とページを捲る手が止まらない三作です。
『13階段』
一作目は、高野和明『13階段』(講談社)。
10年前に起きた事件で死刑囚となった男の冤罪を晴らすため、刑務官の南郷と、仮出所中の三上が奮闘します。文体は淡々としたものですが内容はとにかく濃厚です。特に死刑執行の描写はとても臨場感があり、その場にいるかのような衝撃を食らってしまうかとは、思います。
けれどもその衝撃の余韻を感じる間も無くストーリーはどんどん進みます。死刑執行する刑務官からの視点が秀逸です。
『イノセントデイズ』
二作目は早見和真『イノセントデイズ』(新潮社)。幼い子供を含む三人が死亡した放火事件の容疑者とされ、死刑判決を受けた田中幸乃。彼女を知る人たちによる視点から、彼女の人となりが説明され物語が展開していきます。
もうとにかく救いがなく、哀しい。誰か、誰か助けてあげて!ともどかしい気持ちで読むのをやめられません。「読後、あまりの衝撃で3日ほど寝込みました...」の帯は嘘ではありませんでした。
『雪冤』
三作目は大門剛明『雪冤』(角川書店)。京都で起きた殺人事件の容疑で死刑囚となった八木沼慎一。慎一の冤罪を信じて、父で元弁護士の八木沼悦史は無実を訴える活動を続けています。そんなところへ真犯人を名乗る「メロス」からの連絡が届きます。
ここからストーリーは一気に展開していきますが、次第に複雑になり終盤はどんどん絡み合ってほぐれない紐のようになっていきます。三作の中で、内容は一番難しいかもしれません。真犯人は誰なのか気になって読むのを止められません。登場人物、誰もが怪しくみえてきます。そして「メロス」という名前が禍々しさを引き立てます。これぞミステリー!という一作です。
さいごに
とにかく、どれも衝撃と深い余韻、どんでん返しを感じられること請け合いです。
特に社会人や大学生の方など、これらの本をきっかけに死刑制度について考えてみるのも良いかもしれません。でも、とにかく、まずはストーリーを楽しんでください。