黒色が好きな方の特徴
黒には、高級感やゴシック、権威の象徴というイメージのほかにも、暗闇や深層心理を表現したいという意味があり、ストイックな世間に疲れた方が好む色といわれています。スーツや喪服などのフォーマルな洋服にも黒色が使用されるように、冷静さや頭脳明晰さをアピールできる色でもあります。相手の信頼を得たいときにも効果があるそうです。
今回は、そんな黒色を象徴する小説を紹介いたします。あなたが自覚していない本当の自分の姿に出会えるような本です。
終りなき夜に生れつく
アガサ・クリスティー(著) (早川書房)
著者自身がベスト作品に選出したクリスティーの中では異作と呼ばれる探偵や刑事が登場しないミステリーサスペンス。呪われた土地、ジプシーが丘で出会った男女が繰り広げるダークでロマンティックな物語です。ポアロやミスマーブルが登場しない分、読者は「なんとなくの違和感」に翻弄させられます。
誠実な詐欺師
トーベ・ヤンソン(著) (ちくま文庫)
ムーミンシリーズで有名な著者による大人のための中編小説。誠実だからか愛想がふるまえず、他人の悪意を見逃せないカトリとお金持ち故に世間知らずでお人よしのアンナの同居生活。優しさ故にとった行動が後々悪意に変わったり、互いに影響を受けあうことによって崩壊していく自己もある。人と人との愛、人間性、偽善、支配などを描き出す読めば読むほど奥深い作品です。
シーシュポスの神話
カミュ(著) (新潮文庫)
ギリシア神話を題材に書かれた不条理に対する人間の抵抗を描いた本。不条理を受け入れるために自殺を否定し、不条理とともに生きていく方法を模索したカミュ。自分が置かれた環境を否定せず、感情的にならずに立ち向かっていく、あがき続けていくことこそが生きる意味だと教えてくれます。ダークサイドに陥っても人間性を保てるかどうかは本人次第です。
世界は広く、美しい 地球をつなぐ色<黒>
長倉 洋海 (著) (新日本出版社)
闇、影、重さ、憂い。いろんな色を混ぜるとできるのが黒色。黒が見えるのは光があるから。光があるからこそ黒はいっそう深く輝きます。トルコ、中央アジア、太平洋の心が惹きつけられる美しい黒の写真が掲載された写真エッセイ集です。
どれも高級感あふれる重厚な本です。しっとりと深層心理の奥底に入り込んでくる黒の世界をご堪能ください。