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【泡沫 意味】泡沫のようなおすすめ小説。儚い美しさ。【泡 おすすめ 本】

人魚姫のおなはしからか「人生は泡のよう」なんていう表現もある通り、美しくすぐに消える儚い印象がする泡。ふわふわのさわり心地、空気を含み、風にのってどこまでも漂っていく自由で柔らかく女性的でファンタジックなイメージもあります。今回は、そんな「泡」をテーマにした小説を紹介いたします。

 

「日々の泡」

日々の泡 (新潮文庫)

(新潮文庫) ボリス ヴィアン・作
 プルーストの「失われたときを求めて」と同じくらい美しさに浸れる一冊だと思っています。シュールレアリズムらしい一見不可思議な設定。不思議なダンス、水道管からでてくるウナギなど、慣れるまではどういうこと?と思ってしまうかもしれません。やっと巡り合えた恋人は、胸に蓮の花が咲く病にかかり、治療には大量の生花に囲まれることが必要で・・・。愛する人のために働いたことのない主人公はあちこちへと奔走します。消えていく日々の泡、美しくはじけていくその瞬間瞬間。映画化がされているので、映画を観てからこちらを読むとイメージが湧きやすいかもしれません。

   

「泡をたたき割る人魚は」

泡をたたき割る人魚は

片瀬 チヲル・作
 第55回群像新人文学賞優秀作。水の中を漂うような不思議な浮遊感に溺れることができます。ずっと魚になりたかった薫。誰とも恋をしたくない、結婚の誓いをしても泡にならないことを知っている大人の女性。人と魚、島、関係性の境界。人から魚に変わっていく過程がリアルで、題名のように泡をたたき割ることによって魚へと転身を遂げます。神秘的で静かな世界観に漂える一冊です。

 

「シャボン玉同盟」

シャボン玉同盟

梨屋 アリエ・作
 思春期の少年少女たちの純粋さと毒々しさを描いた短編集。自分の嫌な部分をパズルのように外していく少女、パチンと消えていくシャボン玉に写る二次元の少女を愛する少年、一心不乱に恋にはまっていく少女など少しずつ奇妙な世界にはまりこんでいく青春の危うさが描かれています。

 

一瞬で消えていく儚さ、不安定さ、美しさこそ「泡」の魅力。不思議で美しい世界観にふわふわと漂ってみてください。

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