「考える人」になりたければ池田晶子を読むべし!
哲学の巫女との異名を持つ哲学者の池田晶子さん。難しい学術用語を一切使わず、日常で取り残されている純粋的な疑問を常に考え続けた哲学者です。どんな学会にも属さず、文筆家として雑誌のエッセイや講演活動を行っていました。
容姿にも恵まれJJモデルをしていたこともあるほどの美人で才女。惜しくも若くして癌で命を落とされましたが、人間の根源的な問題である「存在・生死・魂」についての著書は切れ味が鋭く、いつの時代でも考えさせられる問題ばかりです。
哲学に興味のある方、根源的なことを考えないと前に進めない方、生きづらさを感じている方におすすめです。
考える人―口伝(オラクル)西洋哲学史
池田 晶子 (著) (中央公論社)
大学の一般教養で哲学を勉強した方なら一度は聞いたことがある有名哲学者の名前がずらり。そして、授業中さっぱり分からず泣きそうになってしまったという方にこそおすすめの池田節炸裂の哲学講義。ロゴス、悟性なんてややこしい言葉は一切出てこないのに、原著の引用ですんなり気づきのヒントをくれます。
考えることの面白さを体感できる一冊。読み終えた後には世界を見る目が変わってしまう眠れなくなるレベルの面白さです。
14歳の君へ―どう考えどう生きるか
池田 晶子 (著) (毎日新聞出版)
14歳というどんな常識にも疑問を持てる純粋な時期にこそ、考える習慣をつけることが必要です。何が正しいのか、幸福とは何か、人と違うということは恐怖なのか、戦争はどうしていけないのか。答えは一切ありません。池田さんの導きで考え方のコツを教えてくれます。
「世の中そんなものだよ」と斜に構える大人になってはいけません。何を選んで生きていき死んでいくのかということを覚悟することこそが大人になる一歩なのかもしれません。周りに流されてしまいがちな14歳を過ぎてしまった大人の方もどうぞ。
オン!
池田 晶子 (著) ( 講談社)
難解な名作との評判の「死霊」を書いた埴谷雄高との対談。オン!とはギリシャ語で存在を意味します。二人の天才の対話によって高められていく存在の意義とは?意味を読み解くのではなく、感じる、気づくことができるようになると「死霊」を読み解く力がつきます。埴谷雄高さんの資料としてもおすすめです。
哲学書の解説をいくら読んだところで自分のなかで落とし込まなければ血肉とならないもの。池田晶子さんの本を読むと「正しく考える癖」が身につきます。考えなければ考えないでただ時間を過ごす生き方は可能ですが、やはり薄っぺらい人生しか歩めないもの。池田さんの墓標には「さて死んだのは誰なのか?」と記されているそうです。考え続ける人生、これもまた味があって良いものです。