ドイツでもベストセラーとなったアクセル・ハッケの本
映画「アメリ」で使われている擬人化したユーモラスな動物の絵とランプを制作したミヒャエル・ゾーヴァとのタッグを組んだ大人の童話を多く出版しているアクセル・ハッケ。
アクセル・ハッケは大学で政治学を専攻し、南ドイツ新聞社で勤めた後、ルポライターとしてコラムを執筆し人気となりました。
YouTubeでも見られる彼のインタビュー動画を見ると、作風と同じようにご本人もユーモアがあふれるチャーミングな紳士。ひねりのきいた言葉のセンスといたずらっこのように微笑んだ顔はまるで少年のような魅力をもっています。
今回は、ドイツでもベストセラーとなったアクセル・ハッケの本を紹介いたします。日常生活のなかで起こるちょっと不思議なことが哲学の世界へと誘ってくれるような作品。
ゆっくりページをめくって味わってくださいね。
ちいさなちいさな王様
アクセル ハッケ (著) (講談社)
ドイツではクリスマスプレゼントとして定番のロングセラー小説。30万部を突破した誰もが知っている作品です。
ある日突然サラリーマンの僕のもとに現れた小指ほどの小太りの王様。王様がいうには、王様の世界では生まれたときが一番大きく、成長するにつれてだんだん小さくなっていくとのこと。
体の大きさではなく、生きていくうちにどんどん可能性を失っていく怖さに怯える人間に忘れかけている大切なことを王様が教えてくれます。
物事の視点を変えれば小さいと思っていたものが大きく、現実だと思っているのが本当は夢かもしれません。頭が柔らかく、大きく、自由になりたい人におすすめの一冊です。
キリンと暮らす クジラと眠る
アクセル ハッケ (著) (講談社)
アクセル・ハッケの小説のなかには想像上の動物がたくさん登場します。頭の中だけ、自分にだけ見える謎の動物たちはみんな愛らしく読んでいて微笑ましくなってしまいます。
こちらは、ヒキガエルやニシン、ウサギ、ワニ、サイ、キリン、クジラなど26の動物を取り上げ、動物学的なトリビアを語りながらどんどん妄想が膨らんでいきユーモアに着地するというクスっと笑えるエッセイ。
空想好きの方、動物好きの方におすすめのファンタジー作品です。
僕が神さまと過ごした日々
アクセル ハッケ (著) (講談社)
ぼくは妻と子どもを持つ中年作家のぼく。散歩途中にアパートの窓から落下してきた地球儀から守ってくれた老紳士は、なんと「神様」だという…。
神様は何のために降りてきたのか、そしてどうしてぼくを助けてくれたのか。すっかり仲良くなった神様はぽつりぽつりとこの世の真実を語り始めます。
生きているとぶつかる人生の矛盾、気づかされる人間の未熟さ。愚かな人間を作った神様の心は?
世界の中心にあるもの、嘆きながらも人を愛してくれる神、神を慰める人間。それでも明日を生きていたいと思わせてくれる美しく尊い大人のための童話です。
どの作品も130ページほどの短さで眠る前に読むのにぴったり。アクセル・ハッケにかかると、生活のなかの小さな悩みも高尚な宇宙のなかではちっぽけに思えてきます。
ブラックユーモアやヨーロッパ映画が好きな方にもおすすめのお洒落な世界観。サラリーマンが主人公の作品が多いので、社会人男性も手に取ってみてください。心が清らかになります。