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被爆国だからこそ知っておかなければいけない、読んでおきたい書籍3冊。

太平洋戦争(大東亜戦争)が終わって早70年、だんだん戦争の記憶は人々のあいだから薄れてきていますが
それでも広島・長崎の原爆投下という大事件は風化することなく現代に語り継がれています。

 

『八月の光』

八月の光 (光文社古典新訳文庫)

著・朽木祥
1945年8月6白、原爆投下。ヒロシマでは、一瞬にして7万人もの人びとの命が奪われました。
すごい威力の爆弾が街を焼いてしまったのです。住んでいた犬、働く人びと、偶然居合わせた人、すべてを。
光子のお母さんも、そのひとりです。あの日の朝、銀行に行くと家を出て、道の角を曲がるときに、ふり返って手をふったのが、光子がお母さんを見た最後でした。
銀行の前の椅子に腰をおろして開店を待っていたお母さんは、一瞬にして小さな黒い影になってしまったのです。
ヒロシマで被爆した人びとの「あの日」の物語3編を収めています。「あの日」を共有し、生き残った人びとが背負わされた理不尽な罪の意識、「なぜ、私ではなかったのか」という問いかけが重いですね。人びとが確かに生きていたことを記憶し続ける大切さを訴える良作です。

 

『ぼくは満員電車で原爆を浴びた11歳の少年が生きぬいたヒロシマ』

ぼくは満員電車で原爆を浴びた: 11歳の少年が生きぬいたヒロシマ

著・米澤鐵志(語り)/由井りょう子
爆心地近くで被爆し、生き残った少年、米澤敏志さんは、広島の爆心地付近で被爆し、奇跡的に生き残った、数少ないひとりです。1945年8月6日の朝、深澤さんは、すしづめの電車の中で、100個の雷が一度に落ちたようなすさまじい音を聞きました。
そして「ピカドン」の光を浴びました。爆風で窓ガラスが割れて、人びとの体に突き刺さりました。粉々になった建物のあいだをぬけ、火をさけて、お母さんと必死に逃げたのです。その日、見たこと、体験したこと、そして、それからの日々の記録です。
爆心地から750メートルの電車内で被爆した米澤少年は、頭髪が抜け、高熱が2週間続くが、奇跡的に回復しました。その体験を聞き書きのスタイルで描き、事実の重さを浮き彫りにしています。巻末に被爆に関する歴史的事実がまとめられ、全体の理解を助けてくれます。

 

『絵で読む広島の原爆』

広島の原爆 (福音館の科学シリーズ)

著・那須正幹
この絵本には、投下される前とあとの間の様子が、細かく描かれています。同時に、核兵器の原理や、太平洋戦争の状況、歴史的背景、核にまつわるさまざまな問題などについて、くわしく解説してあります。
みなさんは、本やテレビで、戦争を体験した人の話を読んだり聞いたりすることがあるでしょう。修学旅行で広島にいく学校もあるでしょう。戦争について考えるときに、貴重な資料となる本です。
広島への修学旅行の事前学習に適した資料がないという現場の声に応えて生まれた本です。
克明な絵は、被爆者の証言をもとにして描かれたものです。原爆の原理、歴史的経緯、被爆以後の問題までを網羅した解説で、広島の原爆の全体像がとらえられます。

 

悲惨なものだから目を背けようとしないで現実を知ることから、二度と起こさないという決意が生まれるのではないでしょうか。
この記録達は、そんなことを語りかけてくれているようです。

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