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心がほぐれる詩集ベスト3

 落ち込んだり、悔やんだりするときこそ、ことばは少ないほうがいい。ことばの意味は限定されないほうがいい。それこそがどんな状態のこころにもとどくから。ことばは時に無責任で心をかき乱してしまう。ひとり歩きしてどっかにいってしまうから。数少ないことばをそっと抱きしめて、何度も何度もかみしめて眠りについたほうがいい。
 詩集は意味が分からないと手に取らずじまいの人にこそ読んでもらいたい心がほぐれる詩集を紹介します。人間関係のしがらみに疲れたとき、大勢の人たちとつながりすぎたときにこそ読んでほしい本です。心を静めてくれますよ。

 

世界はうつくしいと

 

世界はうつくしいと

 長田 弘 (著) (みすず書房)
 人間の存在を自然の一部ととらえ、大いなる自然や風景に目を向けた限りなくやさしさに満ち溢れた詩集。難しいことばは一切使わずに日常のひとこまをきりとった描写が続きます。ことばの選択のひとつひとつが丁寧で、寡黙に語り綴られる「永遠」ではないからこそ輝く自然や瞬間の美しさと哀愁。声に出して言える今だからこそ声を大にして「世界はうつくしい」と言いたくなる作品です。
 著者が大の読書好きなだけあり、作品のなかでも作家への想いが綴られています。日本文学が好きな方はより世界観にのめりこむことができるでしょう。

 

新編タゴール詩集 (世界の詩 39)

新編タゴール詩集 (世界の詩 39)

 山室 静 (翻訳) (彌生書房)
 ノーベル文学賞を受賞したベンガル生まれの詩聖タゴールの作品から有名な作品を選別されたコンパクトな詩集。初期に書かれた生活に根差した愛情を温かく包み込む小さな視線と、晩年の自然の豊かさや平和を祈る大きな視線をもつ作品まで掲載されており、どれも慈愛に満ち溢れた詩作です。
 ベンガル語の原詩を自身で英訳したものを日本語に翻訳したもので、元の作品よりも簡素化されています。読みやすく、一生に何度でも読み返したい作品です。

 

マラルメ詩集

マラルメ詩集 (岩波文庫)

 マラルメ (著) (岩波書店)
 象徴派を代表するフランス詩人マラルメの詩集を現代語訳に大幅に改定されたもの。多くの注釈や解説を付属し、五七五のリズムを取り入れたり、ことばの壁を乗り越えてマラルメの世界観に大きく近づくことができます。ヴェルレーヌ、ボードレールなど多くの天才たちに影響を与えたマラルメ。解釈は難解といわれていますが、声に出して読んでみるだけでもこちらの翻訳は雰囲気をつかみやすいと思います。枕元においておきたい高尚な一冊です。

 

 人生の道に迷ってしまったとき、遠くで光りを届けてくれる灯台のように詩はあなたを導いてくれます。何度も読み返し、その清涼さと深い愛情にふれてみてください。

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