若い人に圧倒的人気をえているラッパーの呂布カルマさん。ヒップホップの典型にとらわれないオリジナルのスタイルを確立し幅広いファン層に刺激を与えています。MCバトルや様々な大会で優勝経験があり、深夜番組「フリースタイルダンジョン」にもレギュラー出演されています。
ラッパーとしては異例の経歴の持ち主で、マンガ家になりたかったそう。美大卒業後フリーターを経験し、トラックの運転手もこなしていたそうです。
即席で言葉を紡ぐセンスを鍛えたのはやはり読書。今回は呂布カルマさんの創作に影響を与えた本を紹介いたします。
ザ・ワールド・イズ・マイン
真説 ザ・ワールド・イズ・マイン コミック 全5巻完結セット (ビームコミックス)
新井 英樹 (著) (小学館)
ヤングサンデーに掲載されていた漫画ですが、この作品は多くのクリエイターに影響を与えたそう。「命は、平等に、価値がない」と暴力的でありながらも、ページをめくる手がとまらない圧倒的ストーリー。タブーがない世界で繰り広げられる人間の動物的な姿を受け止める点で、いやらしいことや残酷なことも歌うことで共感されたそうです。
東京プー
すぎむらしんいち (著) (講談社)
「ヤングマガジン」で連載されていたコメディ漫画。人情話・バイオレンス・エロ・サブカルと様々な要素がバランス良く散りばめられたオシャレな作品と絶賛されています。記憶喪失の男性が自分を取り戻すために奮闘するストーリー。人間のダメなところも受け入れるやさしさをもった作品です。優等生な姿勢を嫌う姿はラッパーとして、人間の悪いところをさらしだす勇気があるかもしれません。
蒲田行進曲 (角川文庫)
つか こうへい (著) (KADOKAWA)
小説も映画もご覧になってはまったそうです。
もともとは舞台作品ですが、銀幕スターの銀ちゃんと付き人のヤス、美人女優の小夏の三角関係を描いた人間の醜さと正直さを描いたつかこうへいの代表的作品。先第86回直木賞を受賞したのでご存知の方も多いのではないでしょうか。人間の泥臭さは昭和の良いところを感じさせ、どうしても憎めない銀ちゃんのキャラクターに中毒になります。
ピックアップされた三冊はどれも良い意味で男くさく、一本筋の通った作品ばかり。これからも面白いラップを聞かせ続けてほしいですね。呂布カルマさんのファンの方も是非ご一読ください。