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老いるってどういうこと?~おじいさん・おばあさんが主人公の絵本

 人間はだれしも年をとってしまうもの。悲しいことに老化や死を免れることはできません。逃れられない苦しい試練であり、経験したことがないからこそ、いっそう恐怖を抱いてしまうのかもしれません。
 しかし、老いる、年を重ねるということは一概に悪いことではありません。どんな時を積み重ねてきたか、どういう風に老いていきたいのか良いお手本になってくれるのは身近なおじいさんやおばあさん。
 今回は心が温かくなるおじいさん・おばあさんが主人公の絵本を紹介いたします。大切な人の死に悲しみを抱いている方、死に関心を持ち始めたお子さまへの読み聞かせにもおすすめです。

 
だれにも話さなかった祖父のこと

だれにも話さなかった祖父のこと

 マイケル モーパーゴ (著) (あすなろ書房)
 片方の耳がなく、唇がまくれあがっていて、指が半分しかない祖父。そんな祖父が怖くて、見つめてはいけないと母親に言われて育った「ぼく」は、大きくなってから祖父の家へ遊びに行きます。無口でめったに笑わない祖父のだれにも話さなかった複雑な心とは?
 戦争によって受けた深い傷、辛い運命を引き受けて生きてきた勇気。しみじみと心に沁みわたるヒューマンドラマの絵本です。

 

さよなら エルマおばあさん

さよなら エルマおばあさん

 大塚 敦子 (著) (小学館)
 多発性骨髄腫という血液のガンを患い、余命一年と宣告されたエルマおばあさん。猫のスターキティが語りてとなり、死と向き合うことがどういうことなのか教えてくれます。死を宣告されても取り乱さず、自分らしく最後まで生きたおばあさんの写真絵本。
 死は怖いものではない、美しい人生とは何かを伝えてくれる心がやすらかになる物語です。

 

ふっくらふしぎなおくりもの

ふっくらふしぎなおくりもの (えほんはともだち)

 佐藤 さとる (著) (ポプラ社)
 心優しいおじいさんとおばあさんは、お正月にそなえた鏡もちをかじりにきたねずみを追い払わず、「ねずみは福の神の使い」といって分け与えてあげます。
 そしてある日、しばかりに行ったおじいさんはねずみに導かれて「若返りの道」へと誘われます。曲がっていた腰もぴんと伸び、若いころの姿に戻ったおじいさんは・・・。
 パートナーと共に年をとっていくことがどれほど幸せなことかを教えてくれる作品。イラストに描かれたシワのひとつひとつも愛おしく思える作品です。

 

 子どものころから老いることを普遍的なことととらえて、恐れすぎず、しっかり向き合っていく力をつけてほしいと思います。老いていくということは、生きていくといういことなのですから。

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