新元号の発表で「令和」という単語を聞いたとき、なんて美しいのだろうと感動しました。音の響き、やわらかでたおやかな洗練された新時代。古きもあり、新しきもある、素晴らしい元号だと思います。
「万葉集」は、全20巻4500余首からなる日本の現存最古の歌集。詠み人は天皇や皇族、歌人、農民などの幅広い階層の人々で、日本の豊かな文化と伝統を象徴する国書です。
令和のもととなった「梅花の歌」は梅の開花とともに春の訪れをうれしくおもうという歌。これからの日本が、明日への希望とともに一人ひとりが大きな花を咲かせるようにという願いをこめて名づけられました。
今回は、「令和」のもととなった万葉集を読んでみたいという方におすすめの本を紹介いたします。
日本文学から名づけられた新しい日本らしい時代の幕開けに、普段古典を読まないという方も是非、手にとってみてください。
万葉集 ビギナーズ・クラシックス 日本の古典
万葉集 ビギナーズ・クラシックス 日本の古典 (角川ソフィア文庫―ビギナーズ・クラシックス)
角川書店 (編集)
名歌約140首を厳選し、参考歌を含めて約200首が収録されています。
、恋・家族・友人・死など永遠不変のテーマを天皇から名もなき歌人までの思いがくみ取れるようにと、それぞれの歌の解釈を丁寧に解説されています。
原文、現代語訳とも総ルビ付きで、古典を読んだことがない方でも朗読できるように工夫されています。昔学校で習ったことがある歌など、声に出してみるとよりしみじみと感じ入ることができますよ。
万葉集 (まんがで読破 MD119)
バラエティ・アートワークス (著) (イースト・プレス)
和歌なんて分からない!でもちょっと気になる!という方にはこちらの漫画版がおすすめです。当時の社会や風習についても触れられており、視覚で感覚的に歌に触れることができます。激動の時代のなかで、それぞれの階層の人々がどういう思いを抱いて歌を詠んだのか、その心情を知りたいという方にもおすすめです。
万葉集のこころ 日本語のこころ
万葉集のこころ 日本語のこころ (WAC BUNKO 297)
渡部 昇一 (著) (ワック)
意外と知らない大和言葉についてや「万葉集」。様々な階層の人々の歌を分け隔てなく選んで作られた一冊の和歌集から見え隠れする「平等社会」への観念や、漢語など外来から得てきた知識を取り入れながら完成させてきた日本語についてなど、柔軟に時代に対応しながらも日本という独特の世界観を持つ国の秘密を言語学の観点から読み解かれた本。
上智大学名誉教授による素晴らしい日本を知ることができる日本人なら読んでおきたい本です。
万葉集 ビギナーズ・クラシックス 日本の古典 (角川ソフィア文庫―ビギナーズ・クラシックス)
NHKの「100分de名著」でも紹介された万葉集の本をはじめ、これから出版される新刊も楽しみな万葉集。和歌の世界観を味わったら、万葉集ゆかりの地へ旅してみるのもいいかもしれません。このグローバル社会だからこそ、日本ならではの良さをきちんと知っておくことが大切だと思います。