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作家・宮部みゆきのおすすめ本

 ミステリーの女王と呼ばれている宮部みゆきさん。山本周五郎賞を受賞した「火車」、司馬遼太郎賞・芸術選奨文部科学大臣賞を受賞した「模倣犯」など、長編ながらも読者を惹きつける力強い文才のある方で、女性だけでなく男性にもファンが多い作家さんです。
 そんな宮部みゆきさんの読書リストは、スティーヴン・キング、コナン・ドイルの「シャーロックホームズ」シリーズ、松本清張、横溝正史などミステリー作家が中心とのこと。
 今回は宮部さんがインタビューでおすすめした本を紹介します。骨太な作品が多く、宮部さんの描く世界観の根源が垣間見れるかもしれませんよ。

 

人形の家

人形の家(新潮文庫)

 ルーマー ゴッデン (著) (岩波書店) 
 宮部さんが子供のころ、特に好きだったという作品。 幼い姉妹と人形たちの物語。木や陶器など素材がちがっても、オランダ人形のトチーは、両親と弟のりんごちゃん、犬のかがりと人形の家で一緒に暮らしている「家族」でした。ところが、一人の人形が登場することにより、不穏な空気が流れ始めます。人間社会の縮図として描かれる人形たちはとてもリアル。児童文学という形をとりながらも、中身はとても重い作品です。後半は心穏やかに読むことができない社会派文学です。

 

アラバマ物語

アラバマ物語

 ハーパー・リー (著) (暮しの手帖社)
 映画化もされた名作。無実の黒人青年と彼を弁護する白人弁護士の父の裁判を通して、当時の差別社会を8歳の娘のスカウトの目線で語られます。そこに語られているのは、黒人差別だけではなく、性差、移民などすべてのマイノリティの苦悩。差別や偏見について考えさせられる一冊。子どもの視点で語られる大人社会のおかしさに時にドキリとさせられながらも、既存の価値観を覆される一冊です。

 

キャリー

キャリー (新潮文庫)

 スティーヴン キング (著) (新潮社)
 スクールカーストの最下層である少女キャリー。狂信的な母親に性を否定されたことから、性格が歪みクラスでもいじめの的になっています。ふうつの学園生活をおくりたいと願っているのに、クラスメイトの残酷ないじめに耐え切れなくなったキャリーは、超能力を使い人殺しをはじめることに。残虐な殺戮はどこまでいっても満足するものではなく、自らも破綻の道へと歩んでしまうことに。
 青春ものとホラーを描く天才・スティーヴンキングによる傷心小説。殺人事件のなかにうずめく哀しさに心が引き裂かれる作品です。

 

 紹介したほかにも、時代小説も好んで読まれているそうです。
 山本周五郎さんの「赤ひげ診療譚」や岡本綺堂さんの「半七捕物帳」シリーズもお気に入りだそうです。
 藤沢周平さんの「隠し剣」シリーズや「よろずや平四郎活人剣」は、時代小説としてだけではなくミステリーとして評価されるべき作品だと仰っていました。
 宮部さんの描く時代ものもとても人情味あふれたミステリーで共通点を感じます。もっともっとミステリーの世界をのぞいてみたくなるブックリストです。

 

 

 

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