風邪をひいた子どもは、体のしんどさと一緒に、言葉にできない不安を抱えやすい。いつもなら笑って過ごせる時間が、だるさや熱で小さく縮こまってしまう。そんなときこそ、静かな絵本の時間が“安心の場所”になることを何度も経験してきた。この記事では、風邪で寝ている子どもに実際に読み聞かせて「表情がやわらいだ」「気持ちが落ち着いた」と感じた10冊を厳選して紹介する。つらい時間に寄り添ってくれる本は、回復のペースを無理なく整えてくれる。
おすすめ本10選
1. ぼくびょうきじゃないよ (こどものとも傑作集)
親戚のお兄ちゃんとの釣りを楽しみにしていたケンは、前日の夜に熱とせきで布団に入ることになる。気持ちは元気なままなのに、体が思うように動かない。そのやりきれなさが子どもの心に重くのしかかる。ケンは「びょうきじゃないよ」と言い張るが、その言葉の裏には“遊びたい”“がっかりしたくない”という気持ちが隠れている。この作品は、そんな子どもの本音を丁寧にすくい上げる。
体調が悪いとき、子どもは自分の変化をうまく言葉にできない。遊びたくても遊べない。休まないとよくならないのは分かっていても、気持ちが追いつかない。その葛藤を、くまのお医者さんの登場がやわらげていく。くまのお医者さんは叱らず、焦らず、ケンの気持ちを受けとめながら寄り添う。ケンは少しずつ安心し、体と心の緊張がほどけていく。
病気のときに“安心して休める”という感覚は、ただ薬を飲むよりもずっと回復に役立つことがある。読んでいると、ケンの不安がしずかにほどけ、呼吸が落ち着いていくのが伝わる。体調不良時の子どもの心の揺らぎを、角野栄子の言葉と優しい色使いが包み込むように整えてくれる。
この本が刺さるのは、 ・熱でしんどいのに気持ちだけ前に進こうとする子 ・「大丈夫」と言い張るけれど本当は不安な子 ・休むことが“がっかり”につながってしまう子 そんな子どもたちだ。
読み聞かせをしていると、表情のこわばりがゆっくりとやわらぎ、まぶたが落ちてくる瞬間がある。ケンと同じように「休んでいいんだ」と思える時間が生まれるからだ。実際、体調の悪い夜にこの絵本を読み終えたあと、子どもが自分から布団へ潜り込み、静かに眠りについたことがある。“読み聞かせの力”を強く感じた体験だった。
2. リサかぜをひく
水たまりで遊ぶのが大好きなリサは、いつも通り思い切り走り回り、全身びしょぬれのまま家に帰ってくる。ところが、翌朝になってくしゃみを連発し、ぐんと熱が上がる。風邪をひいたことを素直に認められない気持ちや、病院に行くときの不安が物語のなかで丁寧に描かれる。
「リサとガスパール」シリーズの特徴でもある、独特の色彩とパリの街並みが、体調のつらさとは対照的にやさしい空気をつくり出す。風邪で弱っている子どもの視界はふだんより狭く、暗く感じやすい。しかし、リサの世界は鮮やかで、ユーモアがあって、気持ちを軽くしてくれる。
この絵本が特に響くのは、 ・風邪で気分が落ち込みやすい子 ・病院や薬に苦手意識がある子 ・体調不良を「楽しいこと」で少し忘れたい子 だと思う。リサは病気になっても“いつもの自分”を失わない。元気なときの性格のまま、風邪と向き合っていく。その姿に、子どもは自然と寄り添い、自分のしんどさを重ねていく。
体調不良のとき、心の張りを少しだけ緩めたい。そんなときにこの絵本を読むと、子どもが安心して笑ったり、ゆっくり呼吸をしたりする変化がある。実際、風邪でぐったりしていた子どもが、この絵本を読んでいる途中でふっと表情を明るくしたことがあった。静かに寄り添うだけでは届かない“遊び心”が、回復のきっかけになるのだと思う。
3. おみまい、おことわり?
風邪をひいて寝込んだクマさんのもとに、陽気でおしゃべりなネズミくんが突然お見舞いにやってくる。クマさんは静かに休みたいのに、ネズミくんは「元気が出るよ」とあれこれ世話を焼こうとする。二匹の対照的な性格がユーモラスに描かれ、体調が悪いときの“気持ちのゆらぎ”が意外な角度から浮かび上がる。
体がしんどい日は、ほんの少しの音でも気になったり、普段なら何も思わない出来事が負担になったりする。クマさんの気持ちに共感しながら読む子もいれば、ネズミくんの明るさに気持ちを寄せる子もいる。それぞれの視点が自然に物語へつながり、弱っているときに必要な“距離の取り方”が見えてくる。
この本が刺さるのは、 ・風邪で気持ちが弱っている子 ・他人との関わりが少し重たく感じる子 ・でも、本当は誰かが気にしてくれると嬉しい子 そんな複雑な揺れを抱える子どもだ。
読み聞かせをしていると、クマさんの表情の変化に合わせて、子どもの表情も少しずつやわらいでいく。ネズミくんの明るさは、ちょうど良い距離感で“風邪の孤独”をほぐしてくれる。静かで落ち着いた笑いのある絵本は、しんどさの中で温度を上げすぎない安心感がある。
実際、この絵本を読んだ夜、子どもが「○○くんも、おみまい来てくれるかな」とぽつりとつぶやいたことがある。体調のつらさの中から、ゆっくりと他者への気持ちが戻っていく。その変化を目の前で感じた瞬間だった。
4. かぜひいちゃった (こねこちゃんえほん 6)
こねこちゃんが風邪をひいてしまった一日を静かに追っていく作品。発熱・せき・だるさといった症状が過剰にならず、子どもの目線で丁寧に描かれている。いもとようこの柔らかなタッチが、体調不良のつらさをやさしく包み込み、小さな読者の心を落ち着かせる。
風邪のときに子どもが抱えるのは、体のつらさだけではない。 ・遊べない不満 ・眠いのに寝つけないいらだち ・いつもと違う体の感覚への戸惑い こうした言葉にならない不安を、この絵本は“静かな日常の描写”でほどいていく。
こねこちゃんが布団で休む場面は、短い場面にもかかわらず、安心の空気がしっかり描かれている。読み手の声に合わせて、子どもの呼吸がゆっくりと深くなる瞬間がある。無理に「寝なさい」と押しつけるのではなく、「今は休む時間でいいんだよ」と自然に伝わるつくりになっている。
この本は、 ・発熱で不安が強い子 ・いつもより甘えたい気持ちが強くなる子 ・しんどい気分を少しだけ言葉にしたい子 にとても適している。
実感として、読み聞かせのあと、子どもが自分で布団の位置を整えたり、水分を少し飲んだり、回復に向かう小さな“自分の行動”を取り戻していく姿があった。絵本の力で、心のゆとりが戻っていく瞬間だった。
5. かぜ ひいちゃったかな? (講談社の幼児えほん)
「くしゃみが出る」「頭がぼんやりする」「ちょっと寒い」——そんな、風邪の入り口にある微妙なサインをやさしく描いた絵本。子どもが体調の変化に戸惑う気持ちを、無理に押さえつけず、そのまま丁寧に受け止めるような構成になっている。
風邪の初期症状は、子どもが理解しづらい。遊ぶ気持ちはあるのに体がついてこない。普段なら楽しいことが少しだけ重く感じる。そうした“気分のゆらぎ”を絵と言葉で見える化してくれるため、子どもが自分の状態を知るきっかけにもなる。
この絵本が刺さる子は、 ・風邪の時、自分の気分を言葉にしにくい子 ・体の変化に敏感で不安になりやすい子 ・「なんだか変」と感じたときに落ち着かなくなる子 などが多い。
読み聞かせをしていると、子どもが「ぼくもこういうときある」と小さくつぶやく瞬間がある。その言葉は、自分の体調を受け止める第一歩だと感じる。体調の変化を否定せず、怖がらせず、静かに受け入れさせてくれる絵本は、風邪のときに本当に頼りになる。
実感として、読み終えたあとに子どもが自分のペースで布団に横になり、「しんどいから、ちょっとねる」と言えた日があった。わずかな変化だが、“自分の状態を理解できる安心感”は大きい。
6. はやくかぜなおってね (くりのきえんのおともだち 3)
園児のまーくんが風邪でお休みする一日を描いた物語。園の友だちがまーくんのことを気にかけ、「はやくよくなってね」と気持ちを寄せてくれる。風邪で弱った心に、やさしい“つながり”をそっと置いてくれる作品だ。
体調が悪いと、世界がいつもより少し遠く感じることがある。音も光も、普段より鈍く響く。そんなとき、他者からの「おだいじに」という気持ちは、想像以上に大きな支えになる。まーくんに届いた友達の思いが、ひっそりとまーくんの心を温めていく描写は、読み手にもやさしい余白を残す。
この絵本は、 ・幼稚園や保育園を休んで寂しさが強い子 ・長引く風邪で気持ちが沈みがちな子 ・友達との関わりを大切にしている子 に特に響く。
風邪の間は、子どもは“ひとりで休む時間”がどうしても増える。そこにほんの少し友だちの存在を思い出せる物語が入り込むと、孤独感がすうっと引いていく。 読み聞かせをしていたとき、子どもが「明日、○○ちゃんに会えるかな」とつぶやいたことがある。その瞬間、気持ちの芯が少し戻ってきたのだと思った。
7. ノンタンいたいのとんでけ〜☆ (ノンタン あそぼうよ17)
「いたいの いたいの とんでいけ」——子どもにとって魔法のような呪文。この絵本は、その呪文を“見える形”にしてくれる一冊だ。ノンタンが痛みや不安と向き合う姿がテンポよく描かれ、体調不良で沈みがちな心をふっと軽くする。
風邪のとき、子どもは頭やのどの違和感を言葉にできず、“なんとなくつらい”状態に陥りがち。この絵本は「いたいの」がキャラクターとして描かれるため、子どもが自分のつらさをイメージしやすい。 可視化されることで、気持ちが整理され、安心感が大きくなる。
この本が合うのは、 ・痛みや体調の変化に敏感な子 ・不安を抱えやすい子 ・気分が落ちると泣いてしまう子 など。“気持ちの切り替え”が必要な子ほど、ノンタンの明るさが心に届く。
読み聞かせをしていると、子どもが自分でも「とんでけ〜」と言って真似をすることがある。これが大事で、自分自身で不安に向き合い、気持ちを整えるきっかけになっている。 泣きそうな顔が少しずつ緩んでいく姿を見ると、物語の力を強く実感する。
8. ノンタンおやすみなさい (ノンタン あそぼうよ2)
眠ることが苦手なノンタンが主人公の夜の物語。風邪でしんどくても「まだ寝たくない」という気持ちは、子どもによくある。本作はその気持ちを否定せず、ノンタンの遊び心に寄り添いながら、自然と“眠る流れ”へ導いてくれる。
夜、発熱やせきで寝つけない子は多い。暗い部屋に少し不安を感じたり、いつもと違う体調にソワソワしたり。そんな夜にこの絵本を読むと、ノンタンと一緒に“夜の空気”と仲直りできるような感覚がある。
この絵本は、 ・寝ることに抵抗がある子 ・夜の不安が強い子 ・熱が上がって落ち着かない子 にぴったりだ。
読み聞かせをしていると、ページをめくるごとに子どものまぶたの動きがゆっくりになり、呼吸が深くなる。 「もう寝なさい」と言うよりもずっと自然に眠りへ向かえる。 体調不良の夜には、この自然さが何よりの助けになる。
9. おやすみなさい おつきさま
世界中で読み継がれる“寝かしつけ絵本の古典”。 しんとした夜の部屋で、ものたち一つひとつに「おやすみ」と声をかけていく。ページをめくるたびに音が静まり、心が落ち着く。風邪で体が重い日にも、無理のないリズムが気持ちを整えてくれる。
この本の強さは、“反復のやさしさ”にある。 同じ言葉が繰り返されると、子どもの呼吸のリズムが揃ってくる。 暗がりが怖く感じる夜も、淡い緑とオレンジの色彩が安心感を届けてくれる。
この絵本は、 ・静かに眠りたい夜 ・熱で興奮して落ち着かない夜 ・背中にそっと手を添えて寝かしつけたいとき にとても良い。
読み聞かせをしていると、ページの反復とともに子どもの目がゆっくり閉じていく。 「読む」というより、「そばにいる」感覚に近づく時間がつくれる。 風邪の日の夜こそ、この静かな流れが救いになる。
10. おやすみ、はたらくくるまたち
一日よく働いた工事車両たちが、順番に眠りにつく物語。 「今日はもうおしまい」という合図が、風邪の日の子どもの気持ちにもそっと寄り添う。普段なら走ったり遊んだりしたい気持ちを抱えたまま寝るのは難しいが、この絵本は“休むことも大事な仕事”と自然に伝えてくれる。
働く車が好きな子は多い。 具合が悪くても、「ブルドーザーさんも寝るんだ」と知ることで、気持ちの抵抗が少し溶けていく。 体調不良で気持ちが荒れやすい夜も、車たちの穏やかな寝顔が安らぎを届けてくれる。
この絵本は、 ・風邪で疲れ切っているのに寝たくない子 ・いつも元気いっぱいで休むのが苦手な子 ・乗り物が大好きで気分を切り替えにくい子 にとても合っている。
読み聞かせのあと、重機たちが眠っていく様子に合わせて子どもの目がゆっくりと閉じていく。 “あきらめる”のではなく、“やさしく休む”方向へ導く力がある。 風邪の日のこの移行は、本当に大きい。
関連グッズ・サービス
風邪でしんどい日は、絵本の読み聞かせのあとに静かに休める時間づくりが大切だ。手軽に取り入れられるサービスやツールを挙げておきたい。
- Kindle Unlimited 電子絵本をすぐに開けて、布団の中でも画面を暗めに設定して読める。紙のページをめくる負担が少なく、体調が悪い夜に使いやすかった。
- Kindle端末 軽くて片手で扱えるため、寝ながら読み聞かせる時に役立つ。暗い部屋でも目に優しい表示ができ、静かな読み聞かせに向いている。
まとめ:今のあなたに合う一冊
風邪の子どもに読む絵本は、“安心できる時間”をつくることがいちばん大切だ。体調が悪いと、子どもの心は揺れやすい。今回紹介した10冊は、しんどさに寄り添いながら気持ちを落ち着けてくれる本ばかりだ。
- 気持ちの混乱が大きい夜には:ぼくびょうきじゃないよ
- 少し笑いたい気分なら:リサかぜをひく
- 静かに眠りたい夜には:おやすみなさいおつきさま
風邪の時間はつらいが、親子で寄り添えるやわらかな時間にもなる。本がそのきっかけになれば嬉しい。
よくある質問(FAQ)
Q: 風邪の子どもに絵本は負担にならない?
A: 文字が短く静かな絵本なら負担になりにくい。読み聞かせは子どもの呼吸を整え、安心させる効果がある。
Q: 寝る前に読むならどんな本がいい?
A: 反復リズムがある絵本(おやすみなさいおつきさま)や、静かな色彩の本が向いている。
Q: 電子版(Kindle)でも読み聞かせできる?
A: 可能。明るさを落とし、ナイトモードにすれば体調不良時でも使いやすい。









