やさしい心をもった子どもはやさしい大人になるもの。子どものころから他人の気持ちを汲み取って、悲しい気持ちに寄り添える人になってほしい。そう願うおかあさんおとうさんは多いのではないでしょうか。今回はやさしい気持ちになれるロングセラーの絵本や児童書を紹介いたします。ずっとそばにおいて読み伝えていってください。
ききみみずきん
木下 順二(著) (岩波書店)
日本民話で有名な「ききみみずきん」と「うりこひめとあまんじゃく」の二本を収録。昔ながらの日本語と控えめなイラストが美しく、ゆっくりした時間を味わえます。教科書にも採用された「夕鶴」などで有名な動画画家の初山滋さんがイラストを担当しています。お母さん世代も知っているようで知らないおはなしなので、お子さまと一緒に楽しめると思います。世代を超えて大切にしたい絵本です。
ノンちゃん雲に乗る
石井 桃子(著) (福音館書店)
ノンちゃんは優等生の良い子。ある日かんしゃくを起こしていけに落ちてしまい、雲に乗ったおじいさんと出会います。おじいさんに身の上話をしているうちに、自分のことや家族のこと、身の回りの大切なことに気づいていくというおはなしです。戦前に書かれたとは思えない名作児童小説。読んだあとは爽やかな気分になれます。レトロでおしゃれな表紙も素敵です。
葉っぱのフレディ―いのちの旅
レオ バスカーリア(著)(童話屋)
アメリカの哲学者の著者がおくる「生きていること、死ぬこと」の意味。大きな木で葉っぱとして生まれ、大きくなり、いろんな経験を積んで人の役にたち、やがて老いをむかえ、土に吸収され新しい芽となる。変化しつづけることはこわいことではないと教えてくれる一冊。死をこわがるお子さまにも読んであげてください。永遠につながっていく命を感じさせてくれます。
小さな可能性
マルヨライン ホフ(著) (小学館)
小さな女の子キークのおとうさんは戦場で医療に携わる仕事をしています。そんななか現地で行方不明になってしまいます。おとうさんが帰ってくる可能性を少しでも高くするにはどうしたらいいんだろう。小さいからこそ耐えられない不安や間違い。大人はその気持ちとどう向き合うのかを考えさせられる絵本です。2007年金の石筆賞作です。
どんな状況でも、自尊心や他人への配慮を忘れないやさしい子どもに育つには、読書で想像力を鍛えることが大切です。好きな本を読み続けることも大事ですが、たまに大人からも「これ読んでみたら?」と薦めてあげると、より世界観が広がることでしょう。