学校を卒業し、社会人になって会社勤めを始めるようになると、日々現実的な話ばかりで非日常的なことを楽しむ機会はほとんど無い方も多いのではないでしょうか。
絵本の良いところは、手軽に非日常的な設定を楽しめることです。野菜が走ったり、果物がバーベキューをしたり、虎がお茶の時間にやってくる、なんて現実にはあり得ません。絵本では、そんな非日常的な設定が可能なのです。
「きんぎょがにげた」
五味太郎作
「きんぎょがにげた」は言葉はほとんど無く、絵でストーリーが進められていきます。
水槽の中でしか動き回ることがないはずの金魚が水槽から逃げ出して、あらゆる場所に隠れる設定です。子ども達は金魚を見つけて喜びます。シンプルな設定ですが、おもちゃの中に隠れた金魚などは見つけるのが意外と難しく、大人も一緒になって楽しむことができます。
「おやおや、おやさい」
石津ちひろ文/山村浩二絵
「おやおや、おやさい」は、キュウリやかぼちゃなど、様々な野菜たちがマラソン大会に出場する話です。「にんきものの にんにく きんにく むきむき」などダジャレのように面白い文章が書かれており、インパクトもあって子どもも覚えやすいです。
野菜にはひとつひとつの顔の表情までしっかりと描かれ、腕や足も付いています。かぼちゃが川に落ち、キュウリが宙に浮いている場面は周囲のギャラリーのびっくりした表情も面白く、子どもも大喜びです。
マラソン大会で誰が一位になるのか、予想しながら読み進めるのも面白いです。
「くだもの だもの」
石津ちひろ文/山村浩二絵
「くだもの だもの」も小さな子に人気のおすすめの絵本です。海水浴場でスイカやキウイなど様々な果物が登場します。「おやおや、おやさい」と同じく、ダジャレのような面白い文章で書かれています。
マンゴーやパパイヤなど、日頃からあまり食べることのない果物も出てきます。この絵本をきっかけにして果物の図鑑などで調べてみるのもおすすめです。各ページに登場する果物の表情も豊かで面白いです。
「きょだいな きょだいな」
長谷川摂子作/降矢なな絵
「きょだいな きょだいな」は、巨大なピアノやトイレットペーパー、桃など日常生活では考えつかないような意外性のあるシーンが設定されています。100人の子ども達がやって来て、その巨大な物で遊ぶ姿がとても楽しそうに描かれています。
巨大な桃から出てくる桃太郎、巨大な扇風機に飛ばされる子ども達など、子どもがわくわくするような場面がたくさんあります。
「おちゃのじかんにきたとら」
ジュディス・カー作/晴海耕平訳
「おちゃのじかんにきたとら」は、小さな女の子ソフィーとお母さんがお茶をしようとしている時間にやってきた虎の話です。虎が食べ物を全部食べてしまった、と言うシンプルなストーリーですが、絵が可愛くてほのぼのします。
現実では絶対にあり得ないようなストーリー展開ですが、登場している人物が誰もイライラせずに、起こった出来事をありのまま受け入れて穏やかに終わるストーリーは、日頃から人間関係でストレスを抱え込みやすい社会人にもおすすめです。
さいごに
意外性のある絵本を読むと、新しい発見や気分転換ができるので、忙しい社会人にもおすすめです。また、子どもに非日常的な設定で描かれている絵本をたくさん触れさせることで、想像力を鍛えさせることも可能です。