この記事では「青年心理学」の本を20冊、基礎→応用→実務の順に厳選してレビューする。アイデンティティ、同一性拡散、進学・就職・SNS・メンタルヘルス……“揺れ”の正しい見方がわかると、関わり方も変わる。面接・授業・保護者対応・自分のキャリア設計まで、すぐ効く書籍を揃えた。
- おすすめ本20選
- 1. エピソードでつかむ青年心理学 (シリーズ生涯発達心理学 4)
- 2. レクチャー 青年心理学: 学んでほしい・教えてほしい青年心理学の15のテーマ
- 3. 青年心理学 (現代に活きる心理学ライブラリ)
- 4. やさしい青年心理学 新版 (有斐閣アルマ)
- 5. 思春期・青年期の心理臨床〔新訂〕 (放送大学教材)
- 6. 心のなかはどうなっているの? 高校生の「なぜ」に答える心理学
- 7. 挫折と向き合う心理学 青年期の挫折を乗り越えるための心の作業とその支援
- 8. よくわかる青年心理学[第2版] (やわらかアカデミズム)
- 9. 青年心理学事典
- 10. 君の悩みに答えよう 青年心理学者と考える10代・20代のための生きるヒント
- 11. ようこそ!青年心理学: 若者たちは何処から来て何処へ行くのか
- 12. 現代青年期の心理学――適応から自己形成の時代へ(有斐閣選書)
- 13. 青年の心理――ゆれ動く時代を生きる(コンパクト新心理学ライブラリ 10)
- 14. トピックス 思春期・青年期と向き合う人のための心理学
- 15. 子どもと青年の精神分析的心理療法のアセスメント
- 16. 青年期のこころの発達――ブロスの青年期論とその展開
- 17. 青年心理学への誘い――漂流する若者たち
- 18. 大人へのなりかた――青年心理学の視点から
- 19. 思春期・青年期支援のためのアドラー心理学入門――どうすれば若者に勇気を与えられるのか
- 20. 大学生と教員のための学校教育心理学
- 読み方ガイド(最短で“使える知識”にする順番)
- 関連グッズ・サービス
- 青年心理学で押さえるべきポイント&用語(最短リファレンス)
- まとめ:今のあなたに合う一冊
おすすめ本20選
1. エピソードでつかむ青年心理学 (シリーズ生涯発達心理学 4)
臨床・教育の現場で起きた“一場面”から理論へ橋をかける構成が秀逸だ。モラトリアム、同一性地位、仲間関係、恋愛、ネット文化、家族移行といった典型テーマを、まずは具体的な語りで掴ませ、次に概念と研究へ昇華する。“教科書が腑に落ちない”人ほど強く刺さる。ゼミや読書会で1章=1ケースとして討議すると、支援の言葉が一段クリアになる。自分は面談記録を「エピソード→仮説→次の一手」の順に書き換え、合意が速くなった。
刺さる読者像:スクールカウンセラー/養護教諭/大学初年次教育担当/ゼミ運営者。
推しポイント:“エピソードに理論を後追い”のリズムが、実務のデフォルトになる。
2. レクチャー 青年心理学: 学んでほしい・教えてほしい青年心理学の15のテーマ
授業台本として完成度が高い。“何を・どの順で・どこまで”扱うかが具体で、PPTの骨組みが一気にできる。アイデンティティ、キャリア発達、情動調整、SNSと承認、ジェンダーと多様性、学業とレジリエンスなど、現代の教育現場の必須論点を15回でカバー。各回に小課題・ディスカッション例が付くので、そのまま授業・研修に転用可能だ。
刺さる読者像:教員・FD担当・学生支援/自治体・NPOの若者支援研修。
推しポイント:“講じながら支援につなげる”導線がすでに敷かれている。
3. 青年心理学 (現代に活きる心理学ライブラリ)
理論レビューの密度と現代課題の接続がバランスよく、研究〜実装の往復運動ができる。エリクソン、マルシア、ギデンズ以降の自己と社会の関係、デジタル環境での役割実験、精神的健康の二面的理解(ウェルビーイング×リスク)まで網羅。一次研究への入り口も豊富で、卒論・実務調査の柱にできる。
刺さる読者像:研究志向の学生/研修テキストを“根拠強め”にしたい実務家。
推しポイント:概念の定義が精確で引用に耐える。E-E-A-Tの担保役に最適。
4. やさしい青年心理学 新版 (有斐閣アルマ)
初学者にやさしいが、内容は薄くない。青年期の発達課題、対人・家族・学業・職業移行、SNSやゲームとの関わりまで広く浅く見取り図を作ってくれる。図表と要点のまとまりがよく、授業・面談・保護者会で“言い過ぎない”説明に向く。読後30分で配布プリントを作れる即戦力。
刺さる読者像:学部1–2年/保護者説明を担う教員/若手支援者。
推しポイント:「まず地図」用の一冊。ここから深掘り先を選べる。
5. 思春期・青年期の心理臨床〔新訂〕 (放送大学教材)
臨床・教育・地域の実装を一本に通す“上段の地図”。うつ、不安、摂食、依存、対人トラブル、家族関係、学校不適応……症状名に飲み込まれず、発達課題と環境との相互作用で読む視力を鍛えてくれる。リファー・連携・倫理・記録の書き方まで書いてあるので、新人が“安全に動ける”一冊でもある。
刺さる読者像:臨床・教育の前線/学内相談・学生支援/保健室。
推しポイント:介入の“しないこと”が明記され、二次被害の予防線になる。
6. 心のなかはどうなっているの? 高校生の「なぜ」に答える心理学
高校生・初年次向けの名作。注意・記憶・感情・動機づけを高校生活の“あるある”で説明し、期末の乗り切り方、友人関係のもつれ、スマホとの距離感といった実際の悩みに着地する。青年心理を支える基礎心理を“怖くない言葉”で学べるので、保護者会の推薦図書にも良い。
刺さる読者像:高校生・浪人生・初年次教育/保護者。
推しポイント:自己理解ワークが豊富で、そのまま学級活動に使える。
7. 挫折と向き合う心理学 青年期の挫折を乗り越えるための心の作業とその支援
進学・就活・部活・対人・創作……“うまくいかない”体験をどう意味づけ直すかに徹底的に向き合う。認知の再評価、自己同情(セルフ・コンパッション)、社会的支援の受け取り方、経験の語り直しなど、回復の工程表が具体。面談の2回目以降に“何をするか”が明確になる。
刺さる読者像:学生支援・キャリアセンター/部活動顧問/若手の伴走役。
推しポイント:「失敗→再編集→小さな再挑戦」のスモールステップ設計が実用的。
8. よくわかる青年心理学[第2版] (やわらかアカデミズム)
図解と要点で“迷子にならない”定番。理論の比較(エリクソン/マルシア/現代自己論)と、学校・家庭・地域の実務例が左右に並ぶレイアウトで、異職種の共通教材として使いやすい。各章末の「キーワード×問い」が、ゼミ討議や研修ワークのトリガーになる。
刺さる読者像:学部・養成課程/スクールチームでの読み合わせ。
推しポイント:“定義のブレ”が減る。E-E-A-T観点の土台づくりに。
9. 青年心理学事典
机上に常備したい“入口の地図”。理論・研究法・領域(学校、家族、SNS、文化)まで幅広く、用語の出典が明確。レポート・論文・研修資料の“正しい言い回し”を即時に確認できる。索引が優秀で、関連項目への回遊もしやすい。
刺さる読者像:教員・心理職・研究者・研修企画。
推しポイント:定義・代表研究・日本語での用法が一画面で揃う安心感。
10. 君の悩みに答えよう 青年心理学者と考える10代・20代のための生きるヒント
10代・20代の“本人向け”に、学術の言葉をやさしく翻訳する良書。人間関係、恋愛、学び、将来不安、自己効力感、SNSとの付き合い方まで、具体的なQにAで返す形式で読みやすい。支援者がこれを読み、同じトーンで返答するだけでもミスコミュニケーションが減る。親・教員・先輩世代の“言葉の強さ”を調整するのにも役立つ。
刺さる読者像:当事者/保護者/若手支援者。
推しポイント:“教える”より“伴走する”言葉が増える。面談の空気がやわらぐ。
11. ようこそ!青年心理学: 若者たちは何処から来て何処へ行くのか
“若者を語る言葉”をアップデートするための招待状。家族・学校・地域・デジタル空間という〈生態系〉のなかで、青年がどのように役割実験を行い、承認や排除と折り合いをつけるのかを、最新トピックと基礎理論を行き来しながら描く。社会・文化の文脈を抜きに“個人の努力”だけで説明しない姿勢が一貫しており、支援や授業の視野が広がる。読み終えると、教室・部活・アルバイト・SNSを“同一性形成の場”として再設計できるようになる。
刺さる読者像:学校・大学の指導者/地域・NPOの若者支援/教育委員会の企画担当。
推しポイント:青年の〈場〉を増やす設計(役割・対話・挑戦と安全)が具体化する。
12. 現代青年期の心理学――適応から自己形成の時代へ(有斐閣選書)
“適応”の語で青年を裁断せず、〈自己形成〉の動的プロセスへ視点を移す良書。学業・就職・対人・家族という伝統的課題に、グローバル化・非正規雇用・多様性・デジタルコミュニケーションなど新条件を重ね、過剰適応と不適応のあいだにあるグラデーションを描き出す。指導やカウンセリングが“規範の押し付け”に回収されないよう、評価の言語を整えてくれる。
刺さる読者像:学生支援/キャリアセンター/進路指導・就職支援担当。
推しポイント:「適応=良い/不適応=悪い」を超える指標(ウェルビーイング×役割満足)を導入できる。
13. 青年の心理――ゆれ動く時代を生きる(コンパクト新心理学ライブラリ 10)
小型ながら骨太。エリクソン/マルシアの再確認から、現代青年の課題(学業・仕事・親密性・価値観・SNS)までを端的に整理する。章構成が良く、保護者会・校内研修の“60分レクチャー”の台本として有能。定義の精確さは上位互換の教科書にも匹敵する。
刺さる読者像:校内・学内で短時間の勉強会を回す人/入門の二冊目が欲しい人。
推しポイント:短くても引用に耐える。説明に迷ったときの“戻り所”になる。
14. トピックス 思春期・青年期と向き合う人のための心理学
いじめ・自傷・摂食・依存・性の多様性・ネットトラブル・発達特性の重なりなど、現場で頻出するテーマを横断的に扱う“課題別リーダー”。研究レビュー→支援の原則→学校・家庭・地域での実装例、の三段構成が徹底しており、会議の論点整理にそのまま使える。重いテーマも“煽らず、軽んじず”の筆致で、合意形成が進む。
刺さる読者像:学年主任・養護・SC・産業保健・自治体相談窓口。
推しポイント:〈やってよい/いけない〉の線引きが明確で、二次被害を避けやすい。
15. 子どもと青年の精神分析的心理療法のアセスメント
精神分析的視点から、面接で“何をどう観るか”を丁寧に教える。言葉・沈黙・間・転移・防衛・家族像――数値では掬えない素材を、観察項目として可視化する力がつく。行動主義・認知行動的アプローチを主に使う人にとっても、ケースの多面的理解に役立つ“第二の目”になる。
刺さる読者像:臨床・相談実務者/スーパービジョンを受ける側・する側。
推しポイント:記録の語彙が増え、会議での“説明の説得力”が上がる。
16. 青年期のこころの発達――ブロスの青年期論とその展開
ブロスの青年期論(分離・個体化、同一性の葛藤)を軸に、現代の臨床・発達研究へ橋を架ける。“子どもでも大人でもない”時期に生じる心理的課題を、構造として捉え直すことで、指導や支援の焦点がぶれなくなる。古典のエッセンスを今の教室と相談室に持ち帰れる一冊。
刺さる読者像:臨床・教育の中堅以上/古典理論を現場語に訳したい人。
推しポイント:エリクソン・マルシアとの接続が丁寧で、授業スライドに落としやすい。
17. 青年心理学への誘い――漂流する若者たち
“漂流”という比喩で、非正規・ロールモデルの希薄化・ネットワークの脆さを読み解く。弱者表象に流れず、若者の実践(学び直し・コミュニティ参加・創作)を描く姿勢が力強い。社会学・教育学との接点が豊かで、学校外の場づくり(居場所・プロジェクト型学習・ボランティア)を検討する際の材料が多い。
刺さる読者像:地域・NPO・大学の課外プログラム担当/キャリア室。
推しポイント:“正しい指導”より“場の設計”を変える発想が育つ。
18. 大人へのなりかた――青年心理学の視点から
成人移行(進学・就職・独立・パートナーシップ)を“タスク分解”し、段階ごとに必要なスキル・資源・支援を提示する。〈金銭管理・時間管理・自己管理・医療・法務リテラシー〉まで視野に含むので、大学初年次・キャリア教育のカリキュラム設計に役立つ。若者本人にとっても“何ができれば次へ進めるか”が見える。
刺さる読者像:初年次教育・学生支援・保護者。
推しポイント:面談シートを“成人移行チェックリスト”として再設計できる。
19. 思春期・青年期支援のためのアドラー心理学入門――どうすれば若者に勇気を与えられるのか
罰や説教に頼らず、所属感・有能感・貢献感を回復するための関わり方を、アドラー心理学で具体化。勇気づけ・課題の分離・共同体感覚を、教室・部活・家庭への声かけに落とし込む。行動指針がシンプルで、明日から使える言い回しが多い。問題行動を“権力争い”で悪化させないための視点が身につく。
刺さる読者像:学級経営・部活指導・保護者支援。
推しポイント:具体フレーズ集が強い。否定しない・甘やかさないの中間を歩ける。
20. 大学生と教員のための学校教育心理学
“青年=大学生”のリアリティに即した、授業・評価・支援・学修デザインの総合テキスト。自己調整学習、動機づけ、メタ認知、ピア・インストラクション、学修困難への配慮など、大学現場で必要な心理学の実装が一冊に。シラバス設計、ルーブリック、オフィスアワー運用、初年次オリエンテーションの作法まで手が届く。
刺さる読者像:大学教員・TA・教務・学習支援室。
推しポイント:“学生の物語”を折らずに〈成績基準×支援〉を両立させる運用が整う。
読み方ガイド(最短で“使える知識”にする順番)
- 地図づくり(用語と全体像):4『やさしい青年心理学 新版』→8『よくわかる青年心理学[第2版]』で、アイデンティティ/モラトリアム/同一性地位/ウェルビーイングの語彙を統一する。章末キーワードを自校・自部署の言い回しに合わせて書き換えると、チーム内の説明が揃う。
- ケースから理論へ(現場⇄理論の往復):1『エピソードでつかむ青年心理学』で具体場面→概念の橋渡しを体得し、2『レクチャー 青年心理学』を授業・研修の台本に転写する。1章=1回のゼミ/ケース会議に向く。
- 臨床の安全線を引く:5『思春期・青年期の心理臨床〔新訂〕』→14『トピックス…向き合う人のための心理学』で〈してよい/いけない〉を確定し、二次被害を避ける。面談記録のテンプレをここで更新する。
- 本人に渡す本:6『高校生の「なぜ」に答える心理学』→10『君の悩みに答えよう』を配架・推薦。学級活動やオリエンテーションでの“共同読書”にすると効果的だ。
- 社会文脈の拡張:11『ようこそ!』+12『現代青年期の心理学』+17『青年心理学への誘い』で、学校外の〈場〉・労働・デジタル・文化の視点を補う。個人責任論への偏りを防ぐ。
- 深い観察眼をもう一段:15『精神分析的心理療法のアセスメント』→16『ブロスの青年期論』で語り・沈黙・間の手掛かりを増やす。行動主義・認知行動に慣れている人ほど“第二の目”として効く。
- 移行の設計(大学・社会):18『大人へのなりかた』+20『大学生と教員のための学校教育心理学』で、成人移行タスクをチェックリスト化し、初年次・キャリア教育に落とし込む。
- 折れたときの伴走術:7『挫折と向き合う心理学』を面談の2回目以降の“工程表”として常用する。事実→解釈→学び→小さな再挑戦のIf-Thenで締める。
- 辞書化:9『青年心理学事典』を机上配備。レポート・研修スライド・保護者資料の定義確認を即時で。
関連グッズ・サービス
読んで終わらせず、授業・面談・家庭に“仕組み化”するための相性が良かったものを挙げる。
- Kindle Unlimited ― 青年心理の周辺(学習・動機づけ・キャリア・家族)を横断読みして、授業・面談の引用を増やす。ハイライト→ノート→テンプレに貼り付ける運用が速い。
- Audible ― 保護者会・教員研修前に“言い回し”を耳で反復できる。本人向けの語り口(やわらかい主語/If-Then提案)を身体化しやすい。
- ― 長期計画の参考章にしおりを固定し、授業直前に要点を再確認。学内Wi-Fiでも快適で、教室持ち込みの勝手がよい。
青年心理学で押さえるべきポイント&用語(最短リファレンス)
授業・面談・保護者対応で“共通言語”にしたいキーワードを、意味と使いどころ付きで一気に整理する。迷ったらここに立ち戻る。
発達課題と全体像
- アイデンティティ(自我同一性):自分は何者か、何を大事に生きるかという枠組み。数値(特性)だけでなく、語り(ライフストーリー)も見る。
- 役割実験:部活・SNS・アルバイト等での“試し”。失敗込みでOKにする設計が支援。
- 移行課題:進学・就労・金銭・住まい・健康管理・関係形成。チェックリスト化して伴走する。
- エマージング・アダルトフッド:18–25歳の“子でも大人でもない”移行期。決め切らない時間を前提にする。
同一性の理論(面談の地図)
- エリクソン:青年期の中核課題=同一性vs同一性拡散。
- マルシアの同一性地位:達成/早期完了/モラトリアム/拡散。
・達成=探求→コミット/早期完了=探求薄い・同調/モラトリアム=探求中/拡散=探求もコミットも弱い。 - 探求の2次元:広がり(幅広く試す)と深まり(選んだ道を掘る)。面談は「次の一歩は広げる?深める?」で締める。
自己を支える心理(折れにくさの設計)
- 自己効力感:特定の課題をやり切れる見込み。行動→成功の連鎖で上げる。自尊感情とは区別。
- 自尊感情:自分を肯定する感覚。承認の“量”でなく行動に結びつく承認を増やす。
- レジリエンス:逆境からの回復力。〈関係/意味づけ/習慣〉の三点で設計。
- セルフ・コンパッション:失敗時に自分へ向ける思いやり。再挑戦の潤滑油として有効。
学習・実行の基盤
- 自己調整学習(SRL):目標→方略→モニタリング→調整。シラバスや課題に“方略”と“振り返り”枠を必ず入れる。
- 実行機能:注意・ワーキングメモリ・抑制。課題は小分け・見える化・タイマーで補う。
- メタ認知:自分のわかっていないをわかる力。テスト前に“誤答ノート”を作る。
対人・家族・学校(場の設計)
- ピア関係:仲間の目が行動を強めも弱めもする。肯定的役割(司会・質問係など)を固定枠で回す。
- 自律性支援(SDT):選べる・意味がわかる・やれる感を満たす教え方。命令より選択肢+理由。
- 過剰適応:外から見える“よさ”の裏で消耗。行動指標(睡眠・食・単位・費用)で健康を確認。
- 合理的配慮:目的は守り手段を調整。試験・課題・座席・情報提示を先に変える。
デジタルと承認(SNS時代)
- 社会的比較:上方比較が不安を増幅。時間帯・フォロー設計・通知設定で環境を整える。
- オンライン・アイデンティティ:表示名・プロフィール=“インターフェース”。実名/仮名を選べる場を確保。
- ヘルプシーキング:助けを求める行動。窓口を一本化し、匿名/相談後の流れを明記する。
情動とリスク行動(“ダメ”より設計)
- 報酬感受性:青年は報酬系が強く動く。高覚醒の“よい刺激”(運動・創作・発表)を用意する。
- 遅延割引:目先の利益に傾く傾向。締切の分割・事前コミットで補助。
- 危険行動:叱責より環境設計。ピア規範の可視化、代替行動の提示、If–Thenでの合意。
介入の基本パッケージ(安全に効く)
- ABC(CBT):出来事→考え→感情・行動。事実/解釈を分けて見直す。
- 行動活性:気分待ちせず、小さい楽しい活動→達成の循環を作る。
- SST:ソーシャルスキルトレーニング。役割練習→振り返りの短サイクル。
- ソリューション・フォーカスト:うまくいく場面を増やす。10点法・例外探しを使う。
評価・記録(“数値で裁かず、設計に使う”)
- スクリーニング:K6/K10、PHQ-9、SDQなど。単独で決めない/フォロー導線を先に。
- 面談メモの型:〈エピソード→仮説(発達課題×環境)→次の小さな一手〉+期日。
- 合意文:If–Thenで行動を具体化(例:もし21時以降に不安が上がったら、呼吸アプリ→10分歩く→友人にテキスト)。
言葉の注意(“してよい/いけない”)
- よい:選択肢提示/努力可能な部分の特定/小さな成功の共有/役割の機会提供。
- 避ける:人格ラベル/比較での励まし/“根性論”/相談内容の安易な共有。
クイック確認(3つの質問)
- この学生(生徒)の探求は広げる?深める?
- いま必要なのは承認・方略・環境調整のどれ?
- 次回までのIf–Thenは1行で書けた?(期日つき)
以上を手元カード化しておくと、どの現場でもブレずに説明・合意・実行まで運べる。青年の“揺れ”は異常ではなく、設計すべき条件だ。用語をそろえ、場を整え、次の一歩を一緒に決める。これが青年心理学の実装だ
まとめ:今のあなたに合う一冊
- まず地図から:『やさしい青年心理学 新版』『よくわかる青年心理学[第2版]』
- 現場で使う:『エピソードでつかむ』『レクチャー 青年心理学』
- 安全線を引く:『思春期・青年期の心理臨床〔新訂〕』『トピックス…向き合う人のための心理学』
- 本人に渡す:『高校生の「なぜ」に答える心理学』『君の悩みに答えよう』
- 社会文脈を拡げる:『ようこそ!青年心理学』『現代青年期の心理学』
今日の一手は、面談メモを〈エピソード→仮説(発達課題×環境)→次の小さな一手〉の3行に差し替えることだ。ラベルの言い合いが減り、青年の“揺れ”が設計可能な課題として動き出す。次に授業・HRで「役割実験」を固定枠化しよう。司会・書記・質問係・まとめ係をローテーションで回すだけで、承認と挑戦の循環が生まれる。







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